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「惑星学が解いた宇宙の謎」 井田茂

2007-07-02 23:57:09 | Books
惑星学が解いた宇宙の謎 (新書y)
井田 茂
洋泉社

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珍しく自然科学系の本を読みました。

きっかけは著者の井田茂氏が、確かNHKだったと思うけど、テレビに出て爆笑問題と対談しているのを見たこと。
詳細覚えてないけど、ちょっと面白そうな話をしてたので興味を持って。

著者は惑星学を専門とする理論天文学者です。
惑星学というのは、文字通りに読めば「惑星」を研究する学問ということだけど、要は太陽を周る水金地火木土天海(冥は最近外されましたね)の惑星、すなわち太陽系の形成過程を研究するというのが元々の位置づけ。
太陽はどのようにしてできたのか、太陽を周回する惑星の形成過程はどのようなものだったのか、それぞれの惑星は大きさ・質量・組成などがどうして大きく異なるのか、月や土星の環はどのようにしてできたのか、等々。

で、忘れちゃいけないのは、太陽系というのは大宇宙の中ではほんの一部でしかないということ。
銀河系には、太陽と同様の恒星が無数に存在し、そしてこの太陽系が属する銀河系も大宇宙の中では、数多存在する銀河系の一つにすぎない。

そうなると当然気になるのが、太陽以外の恒星にも太陽系と同様の惑星系が存在するのではないか、という疑問。
この「系外惑星」は長らく観測されることが無かったんだけど、観測テクノロジーの飛躍的向上の結果、1995年に初めて発見されたとのこと。
その後、この本が書かれた2002年までの間に70個を超える系外惑星が発見され、惑星学は新たなステージに。
つまり、系外惑星が存在するってことは、この大宇宙のどこかに地球型惑星が存在し、そして生命体の存在する星もあるんじゃないか、という展望が開けたというわけ。

著者の文章は、精一杯素人にも理解しやすいよう工夫がされているんだとは思うけど、あんまり例え話などが挟まれないので、物理学や化学の門外漢である自分は正直ちんぷんかんぷんなところもたくさんあったけど、それでもこの学問世界の面白さ、ロマンを十分に感じ取ることができました。

何より面白いなと思ったのは、こうした天文学の発展には、観測技術の向上が不可欠なわけだけど、観測されたデータを元にして宇宙や太陽系や惑星の形成過程を理論化するにあたっては、結局のところ人間のアイデア・発想に基づく大胆な「仮説」が拠り所になるということ。
それこそが著者のような理論天文学者の出番なわけで、観測学者と理論学者のコラボレーションが天文学の発展をもたらしているということです。
で、仮説を立てるに当たっては、その学者の宗教観や思想がその方向性に影響を与えています。
地球のような知的生命体の存在する星が形成されたのは奇跡的偶然によるもので、他では起こりえないという「選民論」的立場を採る学者もいれば、著者のように地球がこのように形成されたのはけっして奇跡ではなく、宇宙には同様の惑星も存在しておかしくないという「平民論」的立場のもと仮説を立てる学者も存在する。

いずれにしても、ここ十数年の間でのこの分野の進展は目を見張るものがあるようで、何十億年というスケールで何が起こったかを突き止めようという学問が、たった数十年で飛躍的に進むというのも、なんだか不思議な感じ。
この本が書かれてからすでに5年が経過しているわけで、きっとさらに多くの知が切り開かれていることだろうと思うので、ぜひ直近の状況を解説してくれるような、この分野の本も読んでみたいな、と思ったのであります。

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