そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

所得倍増と、地デジ規格と、レベニュー債と

2010-06-10 00:07:46 | Economics
経済ニュースでいくつか気になるものがあったので、以下簡単に。


中国が「所得倍増」計画
中国共産党・政府が、次の5ヶ年計画で労働者の賃金を2倍に増やす計画を盛り込もうとしているとのこと。
背景には低賃金労働者による労働争議の多発がある模様。

現在の中国経済の状況は1960年代高度成長期後半の日本経済の状況に似ているという説の正しさを示しているように思えます。
関志雄氏の言うように、やはり中国は、農村の安価な余剰労働力というアドバンテージを失いつつあるのでしょうか。


日本の地デジ、中南米導入加速 規格採用の果実は韓国勢に
総務省の強力な売り込みもあって、コスタリカ、パラグアイなど中南米8カ国で日本方式の地デジ規格が採用されたが、日本方式を採用したブラジルでは日本製よりも韓国製の機器のほうが普及し始めているという皮肉な現象が顕在化しているという。
日本が規格採用に躍起になっている間に、韓国勢は規格に対応した製品を売り込むことだけに照準を合わせ、成功しているとのこと。

どこまで事実なんだか分かりませんけど、いかにも日本人らしい戦略観の無さですな…
これも「思考停止」の弊害が顕在化している一例でしょうか。


青森県が日本版レベニュー債の発行を検討、有料道路の通行料収入を元利払いに
レベニュー債というのは、公共施設から上がる収入を元利金の返済原資として発行される地方債で、米国では一般的だけど、日本ではなじみが無く発行されたら国内初だそうです。

自治体本体の財務負担が発生しない、投資家が当該事業の収益性を判断してレベニュー債を購入するので無駄な公共事業を削減できるといったメリットがあるようです。

一方で、日本でこれまでレベニュー債が普及しなかった理由についてはこんな解説がある。
大和総研/レベニュー債はなぜ実現しないのか
公営企業が、自治体から「自立」しておらず財政支援や暗黙の政府保証があるがゆえに、事業採算性からレベニュー債の信用力を読むことができない(したがって市場機能がうまく働かない)、という説明です。
今回の青森県の事例でこのあたりがどう解決されようとしているのかは分かりませんが、自治体の財政も厳しくなって、公営企業が「自立」せざるを得なくなってくると、逆説的にレベニュー債発行の環境が整ってくると言えるのかもしれません。

ゴールドマン・サックス証券が財務アドバイザーに入っているとのことですが、青森県とゴールドマンの組み合わせって、なんか違和感w

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 属人化という「思考停止」 | トップ | 「手紙」 東野圭吾 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Economics」カテゴリの最新記事