セネガルと日本、どっちがえらいか?


 Jeune Afrique2012年2月26日-3月3日号↑が、大統領選の混乱のさなかのセネガルにおける諸信徒団の政治的関わりの話を載せてます。
 これ、これ。
 どこかで調べれば分かったのかもしれませんが、わたしはセネガルの専門家ではないですからそこまでやっている暇がなくて、かの国のこの側面については疎いままでした。この号のおかげで少しは分かったように思います。

 現大統領のワッドWade氏がMouridiya教団の信徒Mourideであることは知ってましたが(ちなみに立候補を拒否されたワールドミュージックのスーパースター、ユッスー・ンドゥルYoussou Ndourもムリドです)、信徒数の上ではTidjaniya教団の方が多いというのは知りませんでした。この最大宗派とワッド大統領が良好な関係を結んでいることはかなり政治的に大きいことのはずです。あとQadriyaというのとLayenismeというのがセネガルの四大信徒団なのだそうです。
 建国の父サンゴールSenghorはキリスト教徒ながらMouridiyaを援助していたそうですが「ある種のけじめ」はつけていたようです。彼の後継者Abdou Diouf(今の「国際フランコフォン組織」OIFの長ですね)はTidjaniyaの出でした。
 ワッドになってから共和国大統領がムリディヤ信徒団への帰依をあからさまに見せるという事態になり、セネガルの知識層は一斉に眉をひそめた、というのですね。

 日本で政教分離というのはぜんぜん解決済みの問題ではないのはみなさま御承知の通りです。

 これがセネガルの話となると日本の人は、アフリカの政治のことなんかあまり知らないので、セネガルの政治と宗教、セネガルの民主主義が云々といっても、何の関心も抱きえないのでしょう。
 これが日本人にとっても、まずい。
 世界はどんどん進歩しているのに、日本人の頭の中では自分の良く知らない地域、とくにアフリカはずっと停滞したまま、のように思えてしまう。後で、あっ、と気がつくころにはもう、遅いはずです。

 セネガルは、ディウフからワッドに代わるときに、日本より立派な政権交代をやってのけたと思っています。それだけに今回、ワッドが無理やり権力にしがみつくことは、かなり進んだこの国の民主主義をまた一からやりなおしにしてしまう危険をはらんでいると思います。それは、なんとしても避けて欲しいです。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« Bon anniversa... サラームさん... »
 
コメント
 
 
 
サヘル地域の危機のことも (ボン 大塚)
2012-03-03 10:18:43
それから、サヘル地域の諸国の干ばつと飢饉に
関するニュース情報も日本ではほとんど
入ってこず、知られていないように思います。
数百万人の難民と子どもたちの危機的状況が
伝わらないことに悲しさと憤りを感じています。
十数年、「ストリートチルドレンを考える会」
という小さい支援団体の会員でいるため、
ラテン・アジア・アフリカの子どもたちに
関する情報も少しは知る事ができるのですが
多くの人は知る機会もないのではと残念です。
大震災を経験した我々には、難民たちの心身の
痛みもわかり心を寄せることができるのにと。
 
 
 
頭の向き (raidaisuki)
2012-04-05 16:47:27
ボン大塚さま

 コメントまことにありがとうございます。結局長くお返事しないままにしてしまいまして申し訳ありません。
 これも大きな意味での資本主義、マーケット至上主義の悪弊なのだと思います。この世界では金にならないもの、もしくは誰かの「利益」につながらないものは存在しないも同然ですから。
 大学みたいな教育機関は、そういうことであってはならないはずなのですが。
 
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