ラ・二ーニャ・デ・ロス・ぺイネス


 日本で、その音楽が生産、享受された現地でも手に入らない貴重な音源を含んだ企画盤が出ることがあります(そういうとき、日本って国は本質的に「正倉院」なのかな、っていう感を新たにしますね。(^_^) )。

 ちかごろライス・レコードさんから出されたこの1890年生まれのカンテ・フラメンコの女王、La Nina de los Peines のアルバムなど、まさにそういうものです。
 これは素晴らしいです。心がむき出しになっています。「歌」というのは、こういうものだと思います。

 現代の録音技術に慣れた耳には、古いレコードから復刻した音はあるいはとっつきにくく、享受するというのには抵抗があるかもしれません。
 ただ現代フラメンコのアレンジも凝り、きれいに録られた録音によって、広い意味で自らと近くなった音楽を愛好できるようになった耳は、その祖先であるこの音を愛することがきっと可能だと思います。

 わたしは組織的にフラメンコを聞いたことはありませんが、何度か書いている通りこのジャンルほど恐ろしい音楽ジャンルはないかもしれない、という予感を持っています。

 そして、やっぱりこの音楽にはたしかに「アラブ」要素が色濃く残っているのです。
 この二ーニャ・デ・ロス・ぺイネスのアルバムに付いている解説で田中勝則さんはこんな仮説をたてておられます。

 「非ジプシーの人たちだって、スペイン文化がいまだにイスラム的な要素を受け継いでいることは知っている。そういった音楽が心の底では好きなのだ。でも、自分たちがやってしまってはいけない音楽でも、差別される別の民族がやっている分には、問題がない・・・。エンジョイすることもできる・・・。こうして生まれた<擬似イスラム音楽>がフラメンコだった・・・。」

 ちなみにこのCDは「私はアルジェリアの生まれ」という曲で始まっています。二ーニャ自身はセビリアの生まれなのですが。

[追記] ところで、携帯のカメラの画面が縦長すぎますね。CDを撮るときには、横にしてもちょっとうるさそうですね。これ、なんとかならないですかね。こんなもんなのでしょうけどね。
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