楽しいこと

 国際学類が面白くなくなってしまったという某くんに、raidaisukiからのメッセージ。

「面白いこと、楽しいこと」について。
   
 わたしがいつも思うのは、資本主義、マーケットシステムがそれ買えやれ買えと、消費者の喉元まで差し出してくるものには、ろくなものはないなあ、ということ。(これは残念ながら金沢大学の提供する教育にもそういうところがゼロではない、と言わなければならない。それはどうしてもある程度はそうなるのを許してほしい)
 資本主義は、宣伝を消費者の頭に刷り込んで、マーケットを囲い込んで大きな利潤をあげるのが大好きなのですよ(このあたりブローデル=ウォーラーステイン参照)。 

 「留学」というのをして日本の消費者を絡め取ろうとする戦略のワナから一度脱出すると、まわりは全部外国なわけで、日本人の多数に受けて買ってもらえてお金になる「もの」ばかり置いているわけではない。
 そこで「面白い」と思えるものは、たぶんほんとうに面白い。あなたに合ってるもののはず。

 でもそういう自分に合うもの探しは、気合を入れていれば、日本に居続けたってできるはずなのです。 
 問題は、お金儲けしたい人たちが躍起になって売りに来るものなんか見向きもせず、自分に合った、自分がほんとうに面白く、楽しいと感じられるものを独力で見つけ出して、あえてそれを愛する勇気をもつこと。人は、人の感性はひとりひとり違っているものだから、ほかのひとと完全に合わせることは基本的に不可能だし、自分で探すしかないもの。

 わたしがある種のアフリカ音楽、アルジェリア音楽を楽しく聞いて、それについて楽しげに話すのは、そういうことです。わたしがアフリカ音楽の良さを本気で力説すると、みんな不思議そうな顔するけれど、それは要するに自分の感性をよく知っていないのかもしれないと思うんですよ。人生の早い段階で、日本で宣伝力のある業界の人が、若い人の頭に「あなたはこういうのが好きであり、ほかのものは好きではない」というのを刷り込んじゃうんですよ。

 アメリカ音楽やJポップ「好き」という人の「好き」って、ほんとにほんとに「好き」なんだろうか? つまり自分に本当の「楽しさ」をもたらしているだろうか? 単に流行の先端にわたしは遅れていないと思いたいから、他のみんなと同じものを楽しく思えているという「一体感」を楽しんでいるだけではないの?(「一体感」だったら、わたしはアルジェリア人と一体感を味わうので十分元が取れてますよ)

 以上のことを言ったうえで、やっぱりアメリカ音楽というのは、その最良のものは世界の音楽的感性のベースをなしていると思います。
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