Monsieur Lazhar, Fellag, アラブお笑い


 『ぼくたちのムッシュ・ラザール』Monsieur Lazhar、東京・銀座まで出かけてやっと見ました。
 
 例によって予備知識はほとんど無しで見に行きました。フェラーグが主役やっててアルジェリア人がケベックで先生をやる話、くらいのところを聞いたので、あとは意識的に情報に耳をふさいでおきました。

 これは「移民映画」ではないですね。またケベック州の「地方映画」でもないですね。もっと普遍的なこと、近しいひと、かけがえのないひとの死にどう向き合ったらいいのか、と考える映画です。
 アルジェリアでテロリストによってもたらされた死も(現時点のアルジェリアではもうこんな酷い殺人は横行していないはずというところがひっかかりますが)、先生の立場にある人の心理的な脆さとあらゆるところにハラスメントを見る過保護的制度のもつ非情さとがあいまって到来した痛ましい死も、死には変わりはなく、それがひとびとにもたらす喪失感、罪悪感にも究極的には違いはなかろう、というメッセージがそこにはあると思います。

 こんなことを考えるのはやっぱり例のシンポジウムのふたつのメッセージの形のことが念頭にあるからでしょうか・・・

 映画自体は、異常な事件が次々起こるようなタイプのものではなく、淡々とした物語で、好感がもてました。
 それにしてもフェラーグはうまいなあ・・・

 ところでフェラーグはわたしにとっては、スケッチDjurdjurassique Bledや映画Le Gone du Chaabaで昔からお馴染みの・・・アラブお笑いの第一人者なのですが、なんかこの「アラブお笑い」というジャンルの存在自体あまり日本では意識されないようなので、いつかまとまった紹介ができれば、と思ってます。

 要するにフランス語を使ってアラブ人の視点からのギャグをとばすお笑い系のひとたち、humoristesというのはかなり存在するのですが、そういう人たちがいること自体あまり日本では知られてないと思うんです。

 もちろんわたしだって全てのギャグを理解などできないのでほんの上っ面をなでるだけですが、とにかく「こういうものが存在する」ことだけは伝えておかないといけないと思いますよ。

 しかし、なんというか、「笑い」というのは一番、文化の差異を超えにくいものなんですねー。
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