トルコとドイツ(2)


 新学期で忙しいです。アルジェリアのナイトクラブの思い出話は明日あさってゆっくりしながら書きます。

 忙しい中、映画ひとつ、見てきました。これは学生たちに「見とくといいよ」と言った手前があって、見ないといけなかったんです。

 さて、前にも書きましたが、わたし、映画のタイトルに「愛」という字が入っていると区別不能になってしまうという悲しい定めのもとに生きています。

 ファティア・アキン監督の『そして、私たちは愛に帰る』(原題はThe Edge of Heavenと書いてあります。ドイツ語題はAuf der anderen Seite、トルコ語題はYaşamın Kıyısında)というのもまさにそれです。悪いことにこの監督には『愛より強く』というのもあって、『愛より強い旅』というトニー・ガトリフの作品もあることだし、紛らわしいことこの上ない。あああ~。

 タイトルはともかく、これはなかなか佳作でした。

 ドイツ在住のトルコ移民を扱ったものですが、移民問題を大上段に振りかざすという感じではなくて、むしろ親子の絆というようなものを描いていい味を出している映画というべきでしょう。それでもドイツとトルコを生者と死者が行き来するわけで・・・ Anderen Seiteってそういう意味なんですかね。

 とにかく、フランスにおけるマグレブ(北アフリカ)移民のことに関心が集中しているわたしとしては、移民といってもドイツのトルコ移民はあり方がかなり違う感じがします。

 クールなんだと思います。おたがい別個の存在であるのが前提の上でのつきあいのような。

 たとえばフランス人とアルジェリア人だったらこうはいかないことが多いんじゃないでしょうか。愛するのも憎み合うのも、骨がぶつかり合うような距離でぼこぼこやり合ってる感じがします・・・

 歴史の展開上、ドイツとトルコは結びつくことになりましたが、イスラム世界で長く征服者の立場にいたトルコ人のもつ矜持のようなものがあって、それが結局かなりドイツ人と合うところがあるように思いました。こういうの思ったの、今回がはじめてだな。

 「ドイツ人の几帳面さについていけるのは(イスラム圏では)トルコ人くらいのもの」と誰かが書いているのを読んだ気がします。

 それはとにかく、使用されている音楽はなかなかいいですよ。さすが『クロッシング・ザ・ブリッジ』のアキン監督です。

(一部内容削除いたしました。2009.4.19)
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