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自衛隊観艦式観覧記~「秋津島根の守りなる」

2012-10-17 | 自衛隊

「てやんでえ!
ガタイのでかいフネばっかりがいくさぶねじゃねえぜ!」


とばかりに肩で風切り進んでくる・・・・・・・・・・・・・・可愛らしい勇ましいフネ。
前から

690みやじま(510t)、601ひらしま、603たかしま、604えのしま(各570t)

の掃海艇群。
受閲艦艇部隊の第五群に現れます。

エリス中尉、甲板で元掃海艇艦長のA氏にお話を伺っていたのですが、
掃海艇の仕事というのは機雷除去訓練は勿論、機雷敷設訓練もするのだそうです。

大戦末期に米軍が日本近海にばらまいた「スタベーション・オペレーション」(飢餓作戦)
のための機雷を、掃海艇乗組員が命をかけて処理したのは有名ですが、
今日でも、そのための訓練は変わらず行われています。

掃海艇が小さいのには実は理由があります。
小さい、すなわち軽いフネは、海中に没する「喫水線」が浅い。

そう、掃海艇の小ささは、機雷に接近したとき作動の可能性を低くする
必須の条件なのです。
列を作って進んでくる掃海艇群は愛らしいですが、こう見えても、

四方は海もて囲まれし 秋津島根の守りなる

誉れは高きいくさぶね みそなはすこそ目出度けれ

作詞:池田敬之助 作曲:佐藤清吾 『観艦式行進曲』より)

とうたわれるに相応しいフネなのです。

さて、今日はこの掃海艇はじめ、海上自衛隊の誇る「いくさぶね」の数々、
受閲艦艇部隊の艦艇群をご紹介しましょう。



115 護衛艦あきづき (5,050t)

「ひゅうが」「ちょうかい」「あたご」の後ろに、いつのまにかくっついて(笑)航行していた
「あきづき」。

前回、三年前の観艦式のときは「ひゅうが」がお披露目艦だったのですが、
今回の新鋭艦はこれに先立つこと忘れもしない二ヶ月前の8月21日、
出港式をしたこの「あきづき」です。
まだ生まれて二ヶ月、ぴかぴかの新人である「あきづき」。
でありながら、(というか、だからかな)いきなり受閲艦艇部隊の旗艦に任命されるという凄いやつです。




これも「あきづき」。
その向こうにも観閲部隊のフネ(「いなづま」とあ「あすか」?)がいます。
このように、受観閲部隊は、二列になった観閲隊の間を逆行して観閲されるわけです。

「あきづき」の後ろに続くのは



171 護衛艦はたかぜ (4,600t

この「はたかぜ」は、後ほど訓練展示において祝砲(空砲)を撃ちます。
この祝砲に撃つ54口径5インチ単装砲を備えています。




143 護衛艦しらね (5.200t)

同砲を備えるもうもう一つのフネは、「しらね」。
祝砲発射は「はたかぜ型」かこの「しらね」の参加無くしてありえません。


ところで、昔「しらね」に乗っていたという元自衛官の方からコメントを頂いたことがあります。
「宮城第五連隊」というHNの方でした。
宮城県在住で、その当時も船関係のお仕事をされているようでした。
そうたびたびコメントされる方では無かったのですが、その後、あの震災が起こりました。
それ以来一度もコメントがないのを、この「しらね」を見て思い出しました。

当時はもしご無事でもそれどころではないだろうと思い、コンタクトを控えていましたが、
宮城第五連隊さん、もし、ご無事でこれを見ておられたら、一言コメントをいただけないでしょうか。



110 護衛艦たかなみ(4,650t)

受閲艦艇部隊の第二群です。
先ほどの「あきづき」といいこれといい、どうして艦尾や艦首が切れているのかというと、
この時間12時、「ひゅうが」甲板は日差しが猛烈で、小さなデジカメのモニターは
角度によっては陽が反射して、ほとんど何も確認できない状態だったのです。
だいたいその辺に向けてシャッターを押す、みたいな写真の撮り方になってしまいました。



111 護衛艦おおなみ (4.650t)

これも逆光でシルエット。
この当日の日差しの強さは、凝らした目が痛くなるほどでした。



102 護衛艦はるさめ (4,550t)

すき焼きには欠かせませんよね、って何を言ってんだエリス中尉。
受閲艦の乗員は、このように観閲艦側の舷に立ち、登舷礼式を行います。
このはるさめ艦上で登舷礼する自衛官の皆さんの姿勢にご注目。

もしかして、これ、思いっきり揺れに耐えてませんか?

とくに左から二番目の自衛官、ほとんど斜めになってるし。
右から二番目も、後ろにエビぞって必死で姿勢をキープしているように見えます。
ふーむ、これは、かなり洋上での観閲、小さいフネの甲板は大変だと見た。
しかし、見た限り「おっとっと」とよろめいて蹈鞴を踏む自衛官は一人もいませんでした。
やっぱり皆、身体のコアっていうか、腹筋ができてるってことでしょうか。
それとも意識の持ち様?

この第二群の比較的小さな駆逐艦群は、訓練展示で戦術運動を見せてくれます。
「たかなみ」「おおなみ」「はるさめ」この三隻で、一斉に方向を変える運動です。

つまり運動性能が優れて小回りが利く艦ならではの大きさでもあるわけですが、
これを見ると、このクラスは波にはガブられそうだなあ・・・・・。

受閲艦隊部隊の第三群は・・・・



182 護衛艦いせ (13.950t)

「ひゅうが」型ヘリ搭載護衛艦で、海自の保有する艦では全長、排水量共に最大級です。
「いせ」は、訓練展示において「あさゆき」とともにヘリを発艦させます。



「いせ」艦上の搭載ヘリSH-60K(たぶん)。
上を飛んでいるのも同型でしょうか。

自分が乗っている艦の大きさは実感がありませんでしたが、
同じ大きさの「いせ」を見て、弩迫力とはこのことか、と感じ入りました。
「いせ」にも観客はいたようですが、ヘリの周りには立ち入れないようになっていたようで、
後甲板には誰もいません。



156 護衛艦せとぎり (3.550t)

護衛艦の中では最も小さいクラスが、この「あさぎり型」ですが、こう見えても対空火網は、
CIWS、62口径76ミリ速射砲、シースパローと、三重の装備を搭載しています。
2010年には海賊対策でソマリア沖にも派遣されました。

唯一写真が撮れなかった 128 護衛艦はるゆき (2,950t)
とともに、訓練展示では「ましゅう」から洋上補給される役目です。




132 護衛艦あさゆき (3.050t)

この「あさゆき」は、元々ヘリコプターを一機搭載しています。




このSH-60Jを、訓練展示では大きな「いせ」と共に発艦させます。
「あさゆき」の向こうを航行しているのは、試験艦「あすか」。
艦上で登舷礼をしているのは、水兵さんばかりですね。


さて、ここまでで、受観閲部隊のようやく半分に漕ぎつけました。
次回は、第四群、たぶん皆様お待ちかねの

「潜水艦隊」

からです。
最近潜水艦にどっぷりだったエリス中尉が最も興奮したのがこれ。
潜水艦ファンのあなた、そうでないあなたも

待て次号!!