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自衛隊観艦式体験記~「ひゅうが」発進す

2012-10-15 | 自衛隊

今このページを製作している10月14日日曜日、
この日は本番の自衛隊観艦式が行われている日です。
窓から外を見やれば、どんよりとした曇り空に、
おそらく洋上では「暴風」にもなると思われる冷たそうな風。

うふふふ。

ヒトが悪いと言われるかもしれませんが、8日に参加しておいてよかったわ。
さくらさんも、そう思ったでしょ?

比較も何も観艦式などというものに参加したのが生まれて初めてなので、
エリス中尉、実は本番と予行演習の違いは全く想像もつかないのですが、
いだたいた資料その他を検討したところ、最も大きな違いは

「祝賀航行部隊」(海外から参加する艦船)の有無
US-2が海面に着水するかどうか

くらいではないかしら。
・・・まあ、どちらも見られなくて、(カナリ)残念では残念でしたが。

しかし、お天気も良く、しかも観閲艦の真後ろを航行する「ひゅうが」で
警備の大変な足手まといの総理大臣もいない(←悪意)8日に
これを経験できたというのは、なんてラッキーだったのでしょう。

天気が良く、あまりに日差しが強くて、胸元が日焼け(炎症レベル1)してしまい、
あわててクリニックに駆け込んだのは個人的には「困ったこと」でしたが。

でも、本日、赤☆様(個人的趣味で、様付け)は、VIPエスコート役で参加なさっているの。
午後からは雨だったし、お風邪を召さないように気をつけていただきたいものです。
勿論、赤☆様以外の参加者の方もね。

ところでこのブログ的に、「ひゅうが」はいつ発進するんだ?
と思われた方、今日こそ出航するつもりです。

・・・・・・ん


もう一息我慢していただいて、観艦式の航行がどのように行われるかを説明します。




これを見て初めて知ったのですが、観閲官、つまり総理大臣は最初から乗っているのではないんですね。
三浦半島沖に出たとき、おそらくヘリで?観閲艦、今回は「くらま」に乗船するわけです。
退艦も勿論ヘリでしょう、
しかし、くらまはそんなに大きくないのにどうやってヘリ発着させるんだろう?

これは、忙しい(と世間的にはされている)総理大臣を、
出港前から帰港までフネに縛り付けるわけにはいかない、ってことなんでしょうか。
われわれの「ひゅうが」は観閲艦と同じ黄色コースを進みます。
一足先に出港した「くにさき」など「受観閲艇部隊は、相模湾を観閲部隊に向かってやってきて、観閲海面ですれ違います。
この図では紫のラインの受観閲部隊は全く逆方向から進んでくるように見えますが、実際は、この画面の左手で合流し、
たとえば「くにさき」はUターンして、観閲されるラインを進んでくるわけですね。

それにしても、このタイムテーブルの細かいことに注意下さい。

観閲12:00~12:26
訓練展示12:41~13:38

って、分単位で決まってるんですから。
これもまた海自の旧軍以来伝統の「艦隊力」の証明なのでしょう。



甲板から望むMMみなとみらい地区。
横浜には、自衛艦旗がよく似合う。



これは右舷側に向けて撮っていますが、このころには全員が乗艦済み。
左舷側に(訓練展示は左舷側で行われる)もうすでに場所がないので、
ロープのぎりぎりに毛布を敷いている人たち。
「くにさき」を見送ってさらにしばらく経った頃、ついにアナウンスがありました。

「出航します」



おりしもそのとき、前甲板中央に軍楽隊集結。

軍艦か? 軍艦マーチ来るか?

・・・って、・・・・・・あれ?・・・・・もしもし?

なぜ軍楽隊の制服が緑色をしているんですか?

そう、「ひゅうが」乗り組みは、陸上自衛隊の東部方面音楽隊だったのです。
残念だ、なんていうと陸自さんに大変失礼なのですが、
観艦式には実質数十の艦船が参加するわけで、アメリカのように
艦船付きの軍楽隊がいるわけでもない我が自衛隊の楽隊は、
こうやって一時に多くの楽隊が稼働しなくてはいけないときには、
陸軍と空軍の加勢を頼まなくてはいけないというわけです。

指揮者のタクト一閃、軍艦行進曲開始。



この軍艦行進曲と楽隊についてはまた日を改めて書きたいことがあります。
勿論行進曲軍艦を出港と共に聴いた感激は何物にも代えがたく、
「ああ、遂に」
という思いとこれから待ち受ける航海への期待に思わず胸は高鳴りましたが、

やっぱり海自の音楽隊で聴きたかったなあ・・・・軍艦行進曲。

楽隊はこの後いくつかのマーチを演奏しました。
折しも楽隊が演奏を始めるころ、「くじらのせなか」のドック向こうには、



なんと、あすかIIが入ってきたではありませんか。
豪華客船あすかII、この区切り一つ一つが居住区のコンパートメント。
たくさんの乗客がこのベランダに出て「ひゅうが」を見ていました。




すかさずここでランドマークタワーの写真と並べてみる。
覚えておられるでしょうか。
エリス中尉がその昔、陸士卒の建築家N氏と懇談し、

○ランドマークタワーはN氏が作った
○あすかIIもN氏の設計で、震災のときN氏はあすかIIに乗っていた

という話を聞き、それをアップしたのを。
(『ある陸軍軍人の戦後』参照)

Nさんの作品が今そろい踏み。
因みに、
「ぼくんとこで海自のヘリ搭載型護衛艦を作っているから」
とおっしゃったのはまさにこの方です。



そのときの艦橋デッキ。
出航のときは総員一瞬たりとも気を抜けません。(たぶん)

それにしても、軍艦行進曲と同時に動きだした「ひゅうが」ですが、
これほどの巨艦ともなると、まったく波に揺られている感じがありません。
それは沖に出て強風にあおられても、ほどんど変わりなく、
「左に舵を切りますので揺れます」
と予告アナウンスがあり、その後かなりゆったりと「ぐらっ」とするのですが、
それでよろめいたりグラスが倒れるような急激な揺れが来るということはほとんどありませんでした。

ですから、内海にいる間は、周りの光景が動かなければ航行していることすら気づかないレベル。
これほどの安定性であるからこそ、ヘリポートとして運用することが出来るのですね。

まさに「いつ動いたか分からないまま」、艦は横浜ベイブリッジに近づきました。

 


この巨大艦の全高はは、ベイブリッジの橋桁より7メートル低いものです。
7メートルというのは非常な余裕に思われますが、甲板から見上げた艦橋はいかにも巨大で、
この下を通過するのか思わず心配になります。

 

アナウンスは「7メートルありますから十分余裕を持って通過することが出来ます」
といっていましたが、皆真剣に上を見てしまいます。
ベイブリッジを下から見るのもほとんどの人にとっては初めての経験。
まさに今から通過する寸前はぎりぎりに見えるのに、
通過の瞬間をこうして写真を撮ってみるとやはり余裕があります。
不思議・・・・・。

 難なく通過しました。

このベイブリッジ通過は、巨大艦である「ひゅうが」にとって一つのイベントのようになっています。
この後、相模湾沖に出るまでは、皆艦内をうろうろしたり、お弁当を食べたり、
あるいは時折行われる艦内のデモを見学したり、自衛官を捕まえて質問攻めにしたり(笑)して
時間を過ごします。

こうしている間にも艦隊は各港から集結してきて、「嗚呼堂々の我が艦隊」と相成るわけです。

自衛官に質問する人たちははあちらこちらに。



あそこにも。



ここにも。
こういう「質問攻め」するひとたちは圧倒的におじさんです。
ある程度のことを知って興味もあり勉強している、或いはマニアレベルも圧倒的にこの年齢層なのでしょう。



甲板にはどちらかというと、この写真のようにお歳を召した、
「海軍の釜のメシ喰って数十年」みたいなおじさん自衛官がうろうろしていて、
むしろこういう年齢の自衛官が、これまでの知識と経験を生かして一般人からの質問に答え、
広報を大きな活動の骨子とする自衛隊への理解を深めてもらうべく、
積極的にここに配置されている(つまり接待係として)といった印象を受けました。

常識的に考えて、自衛官が数百人が勤務している艦ですから、ここで一番多いのはジョンベラ、
つまり水兵さんたちのはず。
しかしながら、水兵さんは廊下の要所要所に案内としてずっと立たされていたりするくらいで、
不思議なくらいこの日、艦内でこのセーラー服を一定数以上見ることはありませんでした。

決して目に触れないところで、若い人は汗を流しているってことでもあるのでしょうが。

それとも、若いやんちゃ盛りのボーイズを甲板に放ったりしたら、たとえ本人にその気は無くても、
女の子に「サインして下さい!」「これわたしのメルアドなんですけど~」などと、
アプローチされてしまうとついついあらがえず、結果として問題を起こしてしまうからでしょうか。

・・・・と、つい勘ぐりたくなるくらい、甲板の上は「そんなことだけは決して起こりそうにない」
ものの分かりすぎるくらい分かった、つまり安全そうな自衛官ばかりが配されていたような気がします。
たまに若い士官がいたと思ったら、指輪をしていたり。

え?
なぜ、自衛官の薬指までチェックしてるんだエリス中尉、って?

それはもう、わたくし、このブログでいろんなことを語るためには、
あらゆる方の気持ちになって、あらゆる角度からこの自衛隊というものを観察し、
考察することを任務とまで考えて今回の観艦式に臨んでいるわけですよ。

そこから、自衛隊がどのような考えでこのような対策や配置を決めたのか、
どういった懸念がされたのか、こういったことを想像するのか、たまらなく楽しいのでございます。


そうこうするうちに、左舷にはふと気づけばこのような光景が!



いよいよ観閲部隊が行き足を揃えて集結してきたのです。
近くの士官に乏しい知識で「これ、○○○○ですか?」と質問すると、なぜかかれは
「海上自衛官必携!すぐわかるポケット艦影辞典」みたいなのをポケットから出して、

「え~あれは・・・・」

とずいぶん長時間かけて調べ、

「そうです。詳しいですね」

うーん、意外と自衛官って他の艦のこと知らないのね。
ちょっと安心したようながっかりしたような。
隊員同士で、どこかの戦争映画で見た「艦影シルエット当てクイズ」なんてやったりしないのかな。

と言うわけで、次回は海面に集まってきた艦隊の写真をアップしていきます。
どうぞ引き続きご覧下さい

ところで皆様、このシルエットで艦名が分かる方おられますか?