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自衛隊観艦式観覧記~「金甌無欠揺るぎなき」

2012-10-19 | 自衛隊

先日、銀座の海軍バー「ヨーソロ」で、恥ずかしげもなく愛国行進曲を熱唱したエリス中尉です。
この曲の一番は、雄大な富士の姿に日本の堅い護りへの情熱を重ねるもので、

「金甌無欠揺るぎなき 我が日本の誇りなれ」

と言う部分が、歌っていても実に爽快(←)です。
この「金甌無欠」という言葉は南北朝以降の中国の故事で、「南史」によると

「我国家猶若金甌無一傷欠」

つまり国威精強で、外襲を受けないことの譬え、と言う意味です。

外襲というものが決して絵空事では無くなってきた日本を取り巻く昨今の状況ですが、
そもそも観艦式のようなものは「その国の国威とともに軍事力を外国に向かって誇示する」
これが第一にして最終目標であるわけです。

つまりこの国が欲しくて攻め込んできても駄目だよ、ということ顕示する必要があるわけで、
それはある意味「最も平和的に外襲を未然に防ぐ方法」と言えます。
だからこそ、どこの国も定期的な軍事パレードを大々的に行うわけですね。

ところが、どういうわけか、日本人より他国民、ことにあの国やらあの国やらの国民感情、
および意見を異常に忖度する我が国のマスコミの中には
この「平和を維持するための恒例の軍事行為」がいたくお気に召さない社もあるようで。

「自衛隊が出過ぎるのは刺激を与えるとして消極的な声も政府内では上がっている」
(テレビ朝日)

「政府内」のその発言者って、だれですか?
そもそも誰にインタビューしたのかな?本当に誰かに意見を聞きましたか?

・・・・・・・・・・・。

さて、マスゴミに対する繰り言はそこそこにして、さっそく第五群の艦列から参りましょう。



464 掃海母艦ぶんご (5,700t)


やっほー!
さくらさん、見てますか~?

昨日掃海艇の勇ましい航行をアップしましたが、彼らの「お母さん」、「ぶんご」です。
掃海と機雷敷設、どちらの役目をも併せ持つ艦で、
航空掃海を行うためのヘリを搭載することも出来ます。

水中処分員が乗り組んでいるため、潜水病が懸念される彼らの作業への非常措置として
なんと減圧室も備えているのだとか。

先の震災の際、海上のがれきの上を跳躍する黒い潜水服を着た隊員の写真が
有名になりましたが、あれは「ぶんご」の水中処分員であるようです。
彼らはまた、行方不明者の捜索と遺体収容作業に大きな働きをしました。



688 掃海艇あいしま(510t)

掃海艇は全て「島」。掃海母艦が「水道、海峡」から名前を取っているようですね。
掃海艇部隊はこの「あいしま」以下、「みやじま」「ひらしま」「たかしま」「えのしま」。

「えのしま」は新鋭艦としてこの観艦式が「お披露目」となりました。
このフネが革新的なのは、海自初のFRP(繊維強化プラスチック)製船体が採用されているということです。

ところでこの「あいしま」のシルエット、変だと思いませんか?
艦尾に曳航されているように見える軍艦旗のついたのは、何?

これが噂の曳航型掃海具、DYAD(ダイヤード/磁気)とPNM(音響)というやつですか?
なんか、そういうものを引っ張っているように見えないんですが・・・・。



4003 輸送艦くにさき(8.900t)

横浜大桟橋で、先に出港していった「くにさき」。
第六群の先頭に立ちます。
せっかく再会したというのに、エリス中尉と来たら、
あまりのまぶしさにまたもや液晶画面を確認できず、(どう撮れたかチェックも出来ないくらい)
せっかくの「くにさき」のお尻が切れてしまいました。残念。
前を行く「えのしま」が写っているので許して下さい・・・。

「くにさき」の艦尾を見て下さい。
いかにもここががらっと開いて、何か出てきそうな形状をしていますね。

「くにさき」が率いるこの小さなフネは、ここから出てきたのでしょうか。

ここまで静かだった海が、急に騒々しくなりました。



LCAC 

この小さな艦体がもの凄い音を立てて航行します。
単なる行き足の速いゴムボートだと思ったら大間違い、これはホバークラフトで、水陸両用。
おおすみ型護衛艦に搭載されていて、揚陸艦から直接海上に出て水上を航行、
海浜から陸に上がればそのまま地上を走行、というもの凄いヤツです。

搭載武器もガトリングなど、機銃系中心で四台。
これが訓練展示の時は高速走行してみせるわけですが、
平常航行の時ですらこの水しぶき、この騒音。
観艦式の観閲航行だというのに、このフネだけはどこにも人影がありません。



ここで米軍の写真をwikiからお借りしてきました。
真ん中の、グレーのアスロックのような部分、ここに人を収納します。
このフネ、騒音と水しぶき、扇風機で作る合成風、
さらにガスタービンの排気で人間が外にいると大変なことになるからです。






水しぶきで船体が見えません・・・。
あまりのことにしばし呆然としていたら、これに続いたミサイル艇の「しらたか」「くまたか」
の写真を取り損ないました。
この二つはしかし、訓練展示で活躍しますのでそのときに紹介するとして、



158 護衛艦うみぎり(3.550t)

エリス中尉が6月に見学したDD-106さみだれと一緒に、
2011年6月から半年の間、ソマリアに海賊対策のため派遣された艦です。

ソマリアに派遣されている間は勿論寄港地で上陸もあるのですが、
ちょうど今日のニュースで、

「ソマリアに派遣されていた「ゆうぎり」乗り組みの21歳の海士長が、
同僚三人と海水浴に行った際溺れて死亡した」

と言うニュースが飛び込んできました。
先日の「そうりゅう」の三曹20歳、今回も21歳の、前途ある若者の将来が
またもや任務中に海に散ってしまったということです。

どちらの自衛官も「非番」「しかし任務地にいた」という共通点があります。
非番中とは言え、こういう状況での事故は本人の不注意だけで片付けられない一面があります。

ただでさえ危険で消耗する任務なのですから、海自には、二重三重の危険を想定、
対策をして、国民を守るという意思を持って集まってきた人々の安全をまず確保することに
全力を上げていただきたいと思います。

さて、国内部隊の最後を務めるのは、なんと、

PLH-22 巡視船やしま

海上保安庁の巡視船が、海自軍団のトリを務めるはず、だったのですが、
今年は尖閣問題の影響で(たぶん)中止になりました。

なぜだ。

最初に言ったように、観艦式とは外国に対する
「我が国にはこれだけの護りの盾がある。やれるものならやるがよい」
という示威行為であるわけですから、尖閣付近で現在先兵となって
国土防衛に当たっている海保のフネを出すことは、大いに意義があると思うのですが。

勿論、
「状況が状況だけに毎日出動でそれどころではないから」
という理由なら納得しないでも無いけど、もし万が一
「中国を刺激する」
とかいうタワけた理由なら、よしんば国民が許してもエリス中尉が許しませんよ。

それにしても、見たかったなあ、グレー軍団の最後を飾る海保の白いフネ。




かわりに、この夏前赤煉瓦倉庫前で撮った、PLH-31「いず」の写真をどうぞ。

というわけで、これで受観閲部隊のフネ全てをご紹介してきました。
観閲部隊は「ゆうだち」を先頭に、Uターンします。

Uターンするのは、まさに相模湾の富士が見える真ん前の位置。
冒頭写真は我々の二つ後ろの「あたご」と富士。



「ひゅうが」がUターンした瞬間。
後ろの「ちょうかい」「あたご」「あきづき」がこのような角度に見えます。


富士山と「ちょうかい」。



富士山と「あきづき」。


おお晴朗の朝雲に 聳ゆる富士の姿こそ

金甌無欠揺るぎなき 我が日本の誇りなれ


改めて名曲であると感動しつつ、次回に

続く!




・・・・・おまけ。

さくらさんのために「ぶんご」の後甲板を大アップしてみました。
白いシャツの人なんかは「これ自分」といえるくらいはっきりしていますが、
さすがにさくらさんは見つからないかな。
まあ、この中のどこかにいるってことで。