退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

事実ふたつ

2008-11-06 00:58:23 | Weblog
晴れ。連休最後の日。

ノーム・チョムスキー「すばらしきアメリカ帝国」を読む。

新聞・雑誌に出ている記事を元にアメリカ批判をする著者も今年80。
「敵国」がすると犯罪になり「自国」がするとその事実が消えるのが面白い。

人は見たくないことは見ない。
あらためてその事実を思い出させる。

清水宏「有りがたうさん」を観る。

天城街道を走る若いバスの運転手(上原謙)は
道をよけてくれた人に必ず「ありがとう」と声をかける。

そのために「有りがたうさん」と呼ばれて
街道を利用する人たちから好かれているのだが。

そんな彼のバスに乗ってきたのは
身売りに行く娘と母、あやしげなヒゲの紳士、黒襟の女、行商人たちなど。

現代人からすると人々が話すテンポの遅さに慣れるのに時間がかかるかも。
1936年(昭和11年)の作品なのでじっくり付き合うこと。

それぞれの事情が明らかになっていきそのどれもが一様に重い。
ただし背後に流れる軽快な音楽がその「湿気」を奪う役目。

運転手に仄かな恋心を抱く黒襟の女(桑野通子)は
身売りの娘(築地まゆみ)が後の座席から前へ来たのを元の席に戻す。

それでもバックミラーですべてを悟った彼女は
運転手にヒソヒソ話をしてどこへ行くかも告げずに去る。

上原謙が「中古のシボレーを買った」という昭和モダンの色もあり。
その一方で彼に流行歌のレコードを買ってきてくれるよう頼む村の娘もいる。

「ターキー」水の江滝子と「トーキー」をかけた駄洒落も登場。
父親を亡くした道路工事の朝鮮人の娘(久原良子)は哀しいけれど。

遠慮しながら勧められた酒をちょいとひっかけて民謡を歌う行商人たち。
金山に手を出して娘を二人を身売りさせた男は夢を忘れられず山をさまよう。

個人的にはやはり桑野通子の「まっとうな玄人ぶり」が好ましい。
眉を細くした彼女は一瞬、綾瀬はるかに似ている表情もする。

わずか78分でこれだけのことが描き出せること。
そういう事実は大いに参考にすべきだろう。
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