雨。夜になって止む。
江藤淳「成熟と喪失 “母”の崩壊」を読む。
「成熟」は「黒船」以来の西洋に直面した日本の知識人の歴史的課題であり
「黒船」と同様の衝撃をもたらした「敗戦」を経験した著者の世代がこれを受け継いだ。
ところが急速な近代化は中流階級の「専業主婦」を大量に生み出し
「子供の出来」で評価を測られる彼女たちは「教育ママ」になる。
「赦し、受け容れる母」は子供をどこまでも「支配」し
彼女の目的は夫である「恥ずかしい父」を息子に超えさせること。
ところが息子は「恥ずかしい父」である夫の子でもあり
母からすれば「ふがいない息子」で信用しきれない。
たとえうまくいったとしてもそれは同時に密着した「母子関係」を壊すことになり
そうした矛盾の中で「母」が「崩壊」することによってのみ息子は「成熟」する。
一方結婚した息子は妻に「母」の役割も求めるけれど
妻はそれを拒否して「青春を返せ」と夫をなじる。
「いらだつ母」の娘はやがて自分もそのような存在になることを思って
結婚後も「不機嫌な娘」でいつづけるだけ。
なんともはや「重苦しい歴史」であるけれど
それはあくまで「昭和」のお話なので平成の若者たちはできればもっと自由に。
江藤淳「成熟と喪失 “母”の崩壊」を読む。
「成熟」は「黒船」以来の西洋に直面した日本の知識人の歴史的課題であり
「黒船」と同様の衝撃をもたらした「敗戦」を経験した著者の世代がこれを受け継いだ。
ところが急速な近代化は中流階級の「専業主婦」を大量に生み出し
「子供の出来」で評価を測られる彼女たちは「教育ママ」になる。
「赦し、受け容れる母」は子供をどこまでも「支配」し
彼女の目的は夫である「恥ずかしい父」を息子に超えさせること。
ところが息子は「恥ずかしい父」である夫の子でもあり
母からすれば「ふがいない息子」で信用しきれない。
たとえうまくいったとしてもそれは同時に密着した「母子関係」を壊すことになり
そうした矛盾の中で「母」が「崩壊」することによってのみ息子は「成熟」する。
一方結婚した息子は妻に「母」の役割も求めるけれど
妻はそれを拒否して「青春を返せ」と夫をなじる。
「いらだつ母」の娘はやがて自分もそのような存在になることを思って
結婚後も「不機嫌な娘」でいつづけるだけ。
なんともはや「重苦しい歴史」であるけれど
それはあくまで「昭和」のお話なので平成の若者たちはできればもっと自由に。