退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「昭和」の一面

2010-05-08 01:07:14 | Weblog
雨。夜になって止む。

江藤淳「成熟と喪失 “母”の崩壊」を読む。

「成熟」は「黒船」以来の西洋に直面した日本の知識人の歴史的課題であり
「黒船」と同様の衝撃をもたらした「敗戦」を経験した著者の世代がこれを受け継いだ。

ところが急速な近代化は中流階級の「専業主婦」を大量に生み出し
「子供の出来」で評価を測られる彼女たちは「教育ママ」になる。

「赦し、受け容れる母」は子供をどこまでも「支配」し
彼女の目的は夫である「恥ずかしい父」を息子に超えさせること。

ところが息子は「恥ずかしい父」である夫の子でもあり
母からすれば「ふがいない息子」で信用しきれない。

たとえうまくいったとしてもそれは同時に密着した「母子関係」を壊すことになり
そうした矛盾の中で「母」が「崩壊」することによってのみ息子は「成熟」する。

一方結婚した息子は妻に「母」の役割も求めるけれど
妻はそれを拒否して「青春を返せ」と夫をなじる。

「いらだつ母」の娘はやがて自分もそのような存在になることを思って
結婚後も「不機嫌な娘」でいつづけるだけ。

なんともはや「重苦しい歴史」であるけれど
それはあくまで「昭和」のお話なので平成の若者たちはできればもっと自由に。
コメント
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