POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 日本での季節性インフルエンザの年間死者数は、どのくらいなのでしょう。2005年のデータでは感染者数がおよそ1,000万人強(罹患率8%弱)と推計されています。そのうち、死者数は1,800人ほど(これに基づくと0.02%弱の致死率)です。しかし、この死者数というものは不確実なものです。インフルエンザによる死亡は、炎症が上気道に留まらず肺に達して肺炎という疾患を起こすためによるものが圧倒的に多いのです(少ないが「脳症」もある)。死亡診断書には「肺炎」と記載され、インフルエンザによる死亡にカウントされないこともあります。そこで、超過死亡者という考え方が導入され、肺炎等死亡者のうち、インフルエンザの流行があったために増えたであろう死亡者をもインフルエンザによる死亡にカウントします。2005年では、15,000人がインフルエンザによる死亡(これに基づくと0.15%ほどの致死率)と推定されています(年間の交通事故死者数は6,000人ほど)。総人口に対しては、0.01%になり、毎年1万人に1人はインフルエンザで亡くなっていることになります。

 この死亡者の多くは、ハイリスク群に属しています。ハイリスク群とは、インフルエンザに感染すると、重症化や合併症を引き起こす可能性の高いグループのことで下記の人たちです。
 (1) 65歳以上の高齢者
 (2)妊娠28週以降の妊婦
 (3)慢性肺疾患(肺気腫、気管支喘息、肺線維症、肺結核など)を持っている人
 (3)心疾患(僧帽弁膜症・鬱血性心不全など)を持っている人
 (4)腎疾患(慢性賢不全・血液透析患者・腎移植患者など)を持っている人
 (5)代謝異常(糖尿病・アジソン病など)を持っている人
 (6)免疫不全状態の患者

 2009年5月11日配信の時事通信の記事です。

 中米コスタリカの保健相は9日、新型インフルエンザに感染した男性(53)が同日死亡したことを明らかにした。…。米ワシントン州保健当局も同日、死亡した同州の30代男性が感染していたと発表し、米国での死者は3人となった。…。コスタリカで死亡した男性は、首都サンホセ市内の病院に1週間以上入院していた。糖尿病などの持病があったという。ワシントン州の男性は心臓を患っており、新型インフルエンザの合併症とみられる肺炎で死亡した。

 2009年5月9日配信の読売新聞の記事です。

 メキシコの保健相は8日、同国で同日までに新型インフルエンザに感染して死亡した45人のうち、4人に1人が肥満だったと明らかにした。糖尿病や高血圧、狭心症など持病のある人も多かったという。また、昼の気温が30度を超す海岸沿い地域で感染した人は少なく、暑さが苦手なウイルスの特徴が示されたという。

 この観察が正しければ、もし日本でも「新型インフルエンザ(インフルエンザA)」の流行が始まっても、夏が始まれば終息するということになります。夏に北半球には旅行に出かけてもリスクは低いということになります。これを裏付けるかのように、暑さを特徴とするタイ、シンガポール、マレーシア、インドネシアといった東南アジアには現在までのところ、国内感染者は出ていません。





 (出典:WHO)

 2009年5月7日の夕刊フジの記事からです。

 通常のインフルエンザは、抵抗力の弱い高齢者にとってハイリスクとされるが、今回の新型インフルエンザの患者は15~50歳代が中心。…。ひとつ考えられるのは、60歳以上の人が新型インフルエンザに抵抗できる抗体を持っている可能性。新型インフルエンザの前身である豚インフルエンザは、過去に米国で人が感染したケースがあった。1976年には200人以上が感染し、1人が死亡した。この時期に感染したものの軽症で症状は出なかった人たちが抗体だけを体内に持ったという説である。海外の研究では、高齢者に新型インフルエンザの抗体はないという説の一方、何らかの抗体が免疫力として反応している可能性も示唆されている。…。
 もうひとつ考えられるのは、若者ほど人込みに出かける機会が多く、それゆえに感染しやすいという説。米ニューヨークでは、高校で新型インフルエンザが広がった。行動範囲の広い若者ほど現時点では患者が多いとの見方だ。…。
 抗体を持たず行動範囲の広い若者は、新型インフルエンザの餌食になりやすい。その逆に、60代以上は行動範囲が狭いうえ、過去の感染体験もあって、かかりにくいのかもしれない。


 2009年5月10日発表のWHOの“Influenza A(H1N1) - update 24”というメッセージの中の1文です。

 WHO is not recommending travel restrictions related to the outbreak of the influenza A(H1N1) virus. (世界保健機関は、インフルエンザA型(H1N1)ウイルスの発生があるからといって旅行を控えることを勧めてはいません。)

 インフルエンザウイルスの拡散の可能性ということでは、旅行を控えてもらった方がよいけれども、現在までのところ新型インフルエンザウイルスの毒性が季節性のインフルエンザウイルスと大きく変わらないことから、経済への影響を考え、このメッセージになっているのでしょう。

 Individuals who are ill should delay travel plans and returning travelers who fall ill should seek appropriate medical care. These recommendations are prudent measures which can limit the spread of many communicable diseases, including influenza.
 (もちろん、病気であれば、旅行を先に延ばし、旅行中に病気になったならば、適切な治療を受けるべきです。インフルエンザを含む伝染病の蔓延を小さなものにするためにこのような手段を慎重に講じてください。)

 WHOとしても、ワクチンがいまだ製造されてはいないが、季節性インフルエンザとその症状、対処方法、致死率などに大きく違わないものに過剰に反応してしまうと、毒性の強い「鳥インフルエンザ(H5N1)」などの重篤な症状のあるエマージングウイルスが現れたときに世界的な協力が得られるとは限らなくなってしまうと考えているのでしょう。

 人的被害に比べて、経済的損失が格段に大きくなっています。狼(毒性の強いインフルエンザウイルス)が来ると叫び続けると「狼少年」になってしまい、本当に「狼」が出現したときに拡大防止の初動の段階で協力が得られなくてつまづくことになります。WHOもやがて「警戒」のレベルを下げることになるでしょう。

 このことを厚生労働省も気づき始めていて、「鳥インフルエンザ(H5N1)」などの毒性の強い「新型インフルエンザ」対策に準備された「新型インフルエンザ対策行動計画」は手直しされて実施されることになるでしょう。

 厚生労働省は5月8日の記者会見で、世界保健機関(WHO)などが新型インフルエンザウイルスについて感染性や重篤度などの評価を確立した際には、「新型インフルエンザ対策行動計画」や「新型インフルエンザ対策ガイドライン」に基づく態勢を変えていくのは必要だとし、新型インフルエンザの重篤度が低い場合は対策を緩和する可能性を示唆した。
 厚生労働省によると、現行の新型インフルエンザ対策ガイドラインは、H5N1など強毒性のインフルエンザウイルスを想定して定めたもの。厚生労働省では、内閣の対策本部が今後の対策を見直す際には、専門家を招いて会議を開き、行動計画やガイドラインに沿ってどの程度の対策が必要か意見を求めたい考えだ。


          (この項 健人のパパ) 

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