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 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の世界的大流行(「パンデミック、pandemic)」の懸念が高まる中、「世界保健機関(WHO)」の緊急委員会委員を務める「国立感染症研究所」のインフルエンザウイルス研究センター長が述べています。「誰も(新型インフルエンザに対する)免疫を持っていないから流行が広がりやすく、ある程度は重症化するだろうが、基本的には、通常の(季節性の)インフルエンザと同じだろう。」「(新型インフルエンザが)いろいろな国に広がり、そこで連続した感染が広がるようになれば(警戒レベルを現在のフェーズ5から6に)引き上げられる。早ければ週明けぐらいには可能性がある。」

“USA TODAY”の2009年5月5日の記事からです。

 Experts say the next few days will determine whether the swine flu outbreak will keep expanding or if it will recede in the fashion of seasonal flu at this time of year.  (専門家の述べるところによれば、この豚インフルエンザが拡大し続けるか、季節性のインフルエンザと同様に終息するかがここ数日で決まる。)
 "What happens this coming week will be essential in determining the fate of this outbreak," says pandemic model specialist Alessandro Vespignani of Indiana University in Bloomington.  (「今週に何が起こるかが感染拡大を判断する上で不可欠だ。」とその専門家は述べている。)



 20世紀に入ってから、1918~19年、1957~58年、1968~69年と3回のパンデミックを人類は経験しています。いずれもA型インフルエンザで、第一次世界大戦中の「スペインかぜ(スペインインフルエンザ)」(H1N1亜型)、それからほぼ40年後の「アジアかぜ(アジアインフルエンザ)」(H2N2亜型)、さらにほぼ10年後の「香港かぜ(香港インフルエンザ)」(H3N2亜型)です。

 「アジアかぜ」の時間的推移を見ていきますと、1957年2月下旬に中国のある地域で流行が始まった「豚インフルエンザ」は、3月には国中に拡大し、4月中旬には香港に到達しました。香港へ到達した後、6ヶ月もたたないうちに世界中に拡大したといいます。5月の中旬には、シンガポールと日本でこのインフルエンザウイルスが分離され、WHOは世界に「パンデミック」の発生を宣言し、ウイルスサンプルは世界中のワクチン製造者に配布されていました。ワクチンはアメリカでは8月に、イギリスでは10月に、日本では11月に投与されるようになりましたが、広く使用するのは少なすぎる量だったといいます。この「アジアかぜ」による死亡者は200万人以上でした。

 それでも、死亡者4000万人以上に及んだ「スペインかぜ」と比べると20分の1ほどです。それは、(1)アジアかぜは、スペインかぜより毒性の低いウイルスによって起こった、(2)スペインかぜの死亡者の多くは細菌の二次感染による肺炎によるものであったが、アジアかぜのときは細菌性肺炎を治療する抗生物質が開発されていて投与された、(3)1933年にインフルエンザウイルスが初めて分離されて、1950年代にはワクチンが利用できた、からだといいます。

 毒性が弱くても新型インフルエンザが脅威なのは、 膨大な感染者が発生すると、医療機関の許容量を超えてしまい、医療システムそのものが破綻することです。感染者が適切な治療を受けられなくなってきます。抗生物質などの医薬品が底をつき、医療従事者も罹患(りかん)することから、患者に対応できなくなってしまいます。ワクチンもすぐには供給できないのです。アジアかぜでは、インフルエンザウイルスを分離して(5月)から、供給開始(11月)まで6か月かかっています。

 日本国内への新型インフルエンザウイルスの侵入を防ぐことはかなり難しいことと思われます。潜伏期間(今回の新型インフルエンザは最長で10日間と言われています)というものがあるからで、感染と発病の間には時間的開きがあります。感染に気付かず、ウイルスを日本国内に持ち込んでしまうことは十分にありえるのです。感染拡大を極力防ぎ、医療機関の対応能力の限界内におさめ、ワクチンの供給を待つしかありません。

 季節性インフルエンザの流行の時期を迎える南半球の国々を注視する必要がありそうです。北半球に住む我々には時間的な余裕があります。スペインかぜの時に、オーストラリアは、入国において厳密な「検疫」行い、国境を事実上封鎖して、インフルエンザウイルスの国内侵入を遅らせることができたといいます。しかし、人の流動性の高い現代では、経済に対する打撃も大きくなり、そのような手段は到底とることはできません。南半球で「感染爆発」が起こらないことを心底望みます。

 個人でできることといえば、極力人込みを避け、外出しなければならないときはマスクを適切に着用することでしょうか。海外旅行はしばらくお預けということにします。海外旅行を扱う旅行業者に不況下でも明るい兆しが見えていたのに、この新型インフルエンザの影響は大きなものになりそうです。

(追記) 本日(2009年5月6日)の“US TODAY”によると、アメリカでメキシコ国境近くに住んではいるがメキシコへの渡航暦のない30歳代のテキサス州の女性がこの「新型インフルエンザ」でなくなったそうです。持病の疾患で健康状態の優れない状態にあった女性のようです。

 State officials said a Texas woman who died this week was infected with H1N1. She is the first U.S. resident whose death has been linked to the virus. The woman was in her 30s and lived near the Mexican border, although there is no indication she had traveled to Mexico recently, says Doug McBride of the Texas Department of State Health Services. She had underlying health conditions, McBride says.

        (この項 健人のパパ)

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