ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

クローネンバーグ.クエイ兄弟

2010年03月26日 | 映画


レンタルの残り「ヒストリー.オブ.バイ
オレンス」と「ピアノチューナー.オブ.ア
ースクエイク」を見る。

「ヒストリー.オブ.バイオレンス」はク
ローネンバーグの映画で、タイトルのごと
く、暴力に取りつかれた男が、その暴力か
ら逃れ更生しようとするが、ある事件をきっ
かけに過去の自分が現在の自分を脅かす、
という物語。主演のヴィゴ.モーテンセン
が、過去を背負った男を渋く演じ、その孤
独な姿が魅力的な映画、ってところか。ク
ローネンバーグ得意のえげつない暴力描写
も健在で、どこか、コーエン兄弟の映画の
ような雰囲気があるが、それはむしろ、コ
ーエン兄弟が真似したと見るべきだろう。
同じコンビの「イースタン・プロミス」よ
りはこちらの方が良かった。

次の「ピアノチューナー.オブ.アースクエ
イク」はクエイ兄弟の映画。と言っても一
般的にはほとんど知られていないと思う。
過去に「ストリート.オブ.クロコダイル」
という(今日の映画はやたらと長い)人形
アニメの傑作を作った兄弟監督だ。で、今
回はアニメではなく実写、つまり普通に役
者が演じる映画で、中に得意の人形アニメ
がところどころ挿入されている。元々幻想
的な世界がその作品の魅力なのだが(筆頭
はヤン.シュヴァンクマイエルだ)、果た
して実写ではどうかなという疑念は多分知っ
てる人は誰もが持つと思うが、結果は、そ
の疑念が的中。内容はロブグリエの「囚わ
れの美女」のよう。孤島に連れ去られた美
女の元に、からくり機械を調整する仕事を
依頼されたピアノ調律師がやってきて、夢
だか現実だか分からない世界をさ迷う物語
とでも言おうか、まあ、そんな所謂ちょっ
とわけが分からない映画という部類のもの
だ。肝は如何に幻想的かというところに尽
きるが、人形アニメだとあのぎこちない動
きが(これこそが)想像力を刺激するのだ
が、役者が演じるとその部分がどうも弱く
なる。まるで舞台で演じられているのを見
てるような気分になるのだ。結論としては、
人形アニメに戻ってちょうだい、である。

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