ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

土砂降り

2007年09月06日 | Weblog


例の如く「クリヨー.ド.ヴァン」で、「鶏の香草パン
粉焼き」などを食べ、コーヒーを飲んで、ある雑誌の
「フランス美術館特集」などというのを読んでいた。
コートダジュール周辺の「コクトー」「マチス」「ピカソ」
「シャガール」「セザンヌ」「ルノアール」関連の美
術館の説明をはじから読んで、この辺りには本当に多
いんだ、と感心しつつ、このくらいの規模の美術館が
見るには良い、しかも空気は良いし風景も良いし、食
べ物は美味しいし、行く予定もないのに想像ばかりが
膨らむ。
ちょっと、金持ちの避暑地というイメージが強いから、
それなりに余裕がないと楽しめないのが辛いところだ。

南仏で、行ったことがあるのは「アルル」までだ。
「アルルの女」の「アルル」。
「闘技場」(縁に上って歩きました)或いはゴッホの
「夜のカフェ」があるところだ。
ここは避暑地というより完全に観光地といった雰囲気
で、いたるところで「ゴッホTシャツ」(私も買いま
した)などを売っている。
そんな南仏体験しかないので、地中海沿いの街はある
種の憧れで見てしまうのかもしれない。
「美術館で巡るコートダジュール」、こんなツアー
いかにもありそうだ。
ちょっと知的で、一ランク上のイメージ。
フランスリピーター狙い。
年齢層は30才以上。
しかも女性のみ、ってところか。

雑誌は、パリの美術館も紹介していた。
「ユトリロ」「ザッキン」「モロー」など。
待て、「ユトリロ」は美術館だったか個人の紹介だった
か、良く覚えてない。
「ユトリロ美術館」なんて聞いたことないし(後で調
べたらパリ郊外にあった)。
「モディリアーニ」も個人か。
この辺りになると、かなり雑な読み方になっている。
ただし、「モディリアーニ」の名前が「アメデオ」で
あるということだけは頭に入った。
そうか「アメデオ」か(それだけのことであるが)。

ここで唯一行ったことのある美術館が登場した。
「モロー美術館」。
パリの、庶民的なエリアにあったと思う。
こじんまりとした、3階建てだったか四階建てだった
か。
しかし、作品の量は凄い。
この雑誌で知ったのだが、モローの殆どの作品はここ
に収蔵されているということだ。
絵のタイプは全く違うが、「ルオー」の師匠としても
有名だが(一般的には師匠よりルオーの方が知られて
いるのか)、団体観光客は間違っても行かないし、本
当に作品をじっくり見たい人であれば(デッサンなん
てそれこそ千枚近いのではないか、それが全部見られ
るようになっている)絶対行く価値のあるところだ。
そういえば、ここに入った時、まるで一般の家に入っ
たような雰囲気で、受付らしきところには誰もいない
し、勝手に二階に行こうとしたら奥から出てきたおじ
さんに呼び止められた覚えがある。
こういう場合、大体「ムッシュー」と言われる。
こちらはちょっとばつが悪く、ああ、やっぱり払うの
ね、といった感じであった。

雑誌を読み終える前辺りから、天気は急変し、雨がぽ
つぽつ来たかと思ったら、一気に激しさを増し土砂降
りとなった。
テラスのテントではしのげないほどの激しい降りで、
始めは涼しくなってちょうど良いなどと思っていたが、
それどころではなくなり、とうとう中に移動した。
「土砂降りのカフェ」、なかなか良い雰囲気であった。


コメント