goo blog サービス終了のお知らせ 

ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

崖っぷち犬

2006年11月25日 | Weblog
一体何のことかと思ったら、崖のコンクリート糊の縁
で、身動きの取れなくなった犬のことだった。
惹句としては上手い、と思った。
で、主役の犬だが、一週間ほど飲まず食わずの状態で、
レスキュー隊も出動して何とか助けようとしていたの
だが、なかなか上手くいかず、これが、マスコミの格
好の題材となったわけだ。

こういうものの常で、一斉に注目が集まる。
つまり、「固唾を呑む状況」という状況になる。
当然野次馬は集まり、各局のレポーターも集合という
いつもの光景が展開される。
インタビューでは、心配そうに見守る近所の人が「早
く助かってほしいですね」というお決まりの台詞を言
い、スタジオではしたり顔のコメンテーターが「本当
にそうですね」と応える。
そして、無事救出されるとすかさずコメンテーター或
いはキャスターが「世知辛い世の中、こういう話題は
ほっとしますね」と締める。
これを茶番と見るか。

ほっとけば死ぬ運命にある野良犬を助けることは、良
いことというか、かわいそうの反対であることは間違
いない。
はっきり良いことといえないのは、もし野良犬が飼わ
れずにそのまま野良犬という状態で放たれたら、いろ
んな問題が起こりうるから。
今回の場合は、飼い主希望が殺到しているから問題な
いが。
この場合、たまたま注目されて飼われるという運命に
なったから良いが、こういう話題から感じる本質的な
違和感は消えない。

その理由は、自己完結ドラマとして終わる、その時だ
け消費される情報の一つとして、予定通り消費されて
いくそのことにある。
終われば皆ころっと忘れるのだ。
良い話だったね、という記憶が残るだけ。
それがきっかけで、犬などを捨てたりしなくなるとい
う風には、まずならない。
そしてもう一つはマスコミの姿勢。
取り上げるのなら、日々人知れず処分されるこの崖っ
ぷち犬の何十倍の犬に関してだろう。
たまに、思い出したようにアリバイ的に取り上げるが、
本質的な問題はこちらにあるのだから、恒常的に扱う
べきものだと思う。
セレブ犬だどうのと、純血種ばかり持ち上げるのも問
題だし(個人的には雑種が一番かわいいと思う)、や
ることの欺瞞性がいちいち気になる。
ボランティアで捨て犬を飼っている施設に対して、局
の方でなんらかの援助でもしていれば少しは見なおす
が。
レポーターにタレントを使って、予定通り泣いて、は
いっOK、が大体の落ちではないだろうか。
コメント