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No940-2『オロ』~チベットの少年が見つめる未来~

オロの公開がこの週末から大阪九条のシネ・ヌーヴォで始まった。以前、No940で作品紹介を書いた際、プレミア試写での質疑をご紹介すると書いたまま、延び延びになっていましたが、お約束を果たすべく、とりまとめました。 最初に監督の簡単なお話。16年前、妻の山登りのガイドさんがチベット難民で、彼が育った難民キャンプに連れて行ってもらった。日本人と顔も形も感情も似ていて親しみを感じたが、こびへつらうこと、 . . . 本文を読む
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No956『モーツァルト・レクイエム』~美しく重なる声と弦のハーモニー~

映画が始まるとともに、若い人から、老夫婦まで、いろんな人たちがベテルブルクのきらびやかなホールに入ってくる。演奏が始まるまで、おしゃべりをしたり、本を読んだり、思い思いに時間を過ごす観客たち。ソクーロフ監督は、そんな一人ひとりの姿を丁寧にとらえていく。やがて照明が消え、薄暗くなり、演奏が始まる。黒いマントやドレスを着た合唱団の男女が現れる。歩きながら歌っているところが、とてもすてきだった。すれちが . . . 本文を読む
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No955-3ホセ・ルイス・ゲリン監督の余韻…

『シルビアのいる街で』のいろんな音も大好きだけれど、哀調を帯びた、弦の音楽も、印象に残っている。音と音楽の混じり具合が、ちょうどいい塩梅で、ゆったりと音楽に身を浸しながら、足音、路面電車の音、荷物を運ぶ台車の音といった、いろんな街の音の響きに耳をすまし、味わう。そもそも音楽が用いられるのもほんのわずか。監督のつくりあげた音が、観客の意識を導いていく。 『ベルタのモチーフ』でも、シューベルトの「さ . . . 本文を読む
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No955-2ホセ・ルイス・ゲリン監督、京都に来る!~トークのご紹介(後半)~

◆監督が他のインタビューで、映画と旅について語っておられました。 映画と旅の共通点は「空間と時とを移動すること」です。小津監督はじめ、敬愛する映画監督は皆、あまり旅をしていません。私の好きな画家フェルメールも同じで、毎日同じ部屋で、同じ窓で、少しずつ違う女性の絵を描いていました。それが、従来の芸術の表現だと思います。 私はその逆です。私のフィルモグラフィーをご覧になったらわかると思いますが、ア . . . 本文を読む
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No955ホセ・ルイス・ゲリン監督、京都に来る!~トークのご紹介(前半)~

『シルビアのいる街で』(2007)で、路面電車の音、足音、雑踏の音、カップを倒す音と、見事な音の世界、言葉少なく、観る者の想像力をかきたてる脚本と、光と影をとらえた美しい映像とで、日本の映画ファンを魅了したスペインのホセ・ルイス・ゲリン監督。今日、同志社大学に来られて、トークが行われました。早速、その概要をご紹介したいと思います。◆映画との出会いについて  「シネフィル」に限らず、人生で最初に観 . . . 本文を読む
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No954『綱渡り』『こんなに暗い夜』~暗いけれど忘れられない怖さ~

小学生の男の子が、傘をもって歩く。海辺で、砂浜に線をひく。波打ち際にそってまっすぐ。その上を、まるで綱渡りのように、歩く。少年の白いシャツ、黒いズボン、傘。カメラは俯瞰となり、少年の影が砂の上に映り、白い波が線を消していく。このラストショットがなんとも詩的で美しく、忘れがたい。思えば、子どものころ、歩道と車道の境の線の上を歩いたり、1本の線の上をはみださないように歩くのは、ひとつの遊びとしておもし . . . 本文を読む
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No953『県境』~万田邦敏監督、神戸に来る!~

土曜日、『接吻』の万田監督が神戸映画資料館に来られ、映画美学校の教え子に当たる小出豊監督とのトークが開催された。万田監督のお話で印象的だったこと。編集も今やパソコンでの作業で、幾通りでも試せるが、フィルム世代の万田監督にとって、編集というと、スイッチを「回し」て、テープを送るという作業で、「回す」動きを身体が覚えている、そう言って、右手で回す仕草をしてくれたのが、なぜか印象に残った。 『夜の足跡 . . . 本文を読む
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