日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

北朝鮮の“真っ赤なスタンド”に思う

2011-11-18 | その他あれこれ
15日のサッカーワールドカップ予選「日本対北朝鮮」戦を見た人は、皆あの異様な光景に驚きを禁じ得なかったのではないでしょうか。

真っ赤に染まる金日成スタジアムのスタンド、巨大な人文字、自国選手に対する異常な声援と日本選手に対するブーイング・・・。どこの国でもサッカーと言うスポーツは見る人を熱くさせ、熱狂の渦に陥れることは間々あります。しかし、これは違う。意図的に5万人対150人というスタンド観戦のサーポーターの比率を制限され、さらに日本チーム・サポーターには応援に関しても数々の制限が加えられ、国家統制の支配下で皆が同様の方向に行動をコントロールされた実に気持ちの悪い人為的統制下の社会を見せられた思いです。あの光景を見た誰もが、従来のサッカーの国際試合における国対国の愛国心的応援のぶつかり合いとは全く異質なモノを感じたに違いありません。

国歌斉唱における君が代斉唱の時に巻き起こった巨大なブーイングは一体何なのか。北朝鮮の人々が、日本をあれだけの嫌悪感を感じさせる態度で迎え入れる理由が分かりません。そこにあるのは国対国の試合応援ではなく、「お前らは来るな」「余計な情報を入れるな」「嘘を教えるな」と叫んでいるかのように思えました。まるで映画「猿の惑星」とも共通するような、「なぜ猿が人間を支配するようになったのか、それを知ってはいけない」と、近未来における支配者である猿が人間の復権を恐れるが故に、理由を言わぬ敵対心を持って現代人間社会に破壊的に対峙する統制国家の絵そのものでした。

あのスタジアムにいた5万人の北朝鮮の人々もテレビで中継を見てテレビの前で一緒にブーイングをしながら自国チームを応援している北朝鮮国民も、皆きっと信じて疑わないのでしょう。自分たちの思っていること、していることは正しいと。なぜそうなるのか。それはすべて、国家的情報統制が人々を誤った判断や行動に関する疑問や問題意識といったものを失わせてしまう、ということに尽きるでしょう。実に恐ろしいことです。外部からの情報を遮断し、国家統制下にあるメディアは独裁者や現体制から既得権を得ているものの利益を守らんがために、自分たちに都合のよい情報だけを取捨選択あるいは情報誘導して全国民を誤った判断に導いているのです。

日本のメディアは大丈夫ですか?記者クラブ制度と言う名の長年飼いならされた情報統制が、誰かの既得権益を守る結果になっているのではないかとか、メディアによる報道するか否かの情報取捨選択やその報道姿勢等は本当にニュートラルなものであるのかとか。賛否あってしかるべき一連のTPP報道における主要メディアの足並み揃いの気持ち悪さとか、自社グループに巻き起こった醜態をニュートラルに伝えられない大新聞の対応のおかしさ等を感じるにつけ、真っ赤に染まった金日成スタジアムの光景を眺めつつ、我が国のメディアは本当に大丈夫なのかと心配にもなったりするわけです。

我が国国民の思考回路が真っ赤に染まることはないにしても、政治家と官僚とメディアが場面場面の既得権益擁護で手を結んでの情報操作をおこない、日本国民の脳みそを空っぽの“透明一色”に貶めることになってはいまいかと、そこはかとない恐ろしさを感じさせられもした「日本対北朝鮮」戦でした。


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4 コメント

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Unknown (aos)
2011-11-18 14:34:32
北朝鮮としては「我が国で日本の国歌を流すなんて言語道断」→「でもFIFAの決まりで国歌流さないとダメ」→「それなら観客の声でかき消してしまえ」という妥協案じゃないでしょうか。
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本当の民主主義はどこに? (Unknown)
2011-11-18 19:49:41
埼玉スタジアムでの日本vs.朝鮮民主主義人民共和国
国歌の時の非礼は無かったかな!?
自分側がされることは敏感でよく覚えているけど、相手にすることは忘れがち。
どちらも尊厳をもって行われなければ、どちらの意見も一方的で被害者意識に陥りがちで、お互いが不幸であり、お互いが自滅している。被害者感情を主張しているだけは、自己満足の世界を出ることは無く、対立構造の維持しかもたらさない事を学んでいる途中なのだろうか。
日本の大手メディアと記者クラブ、政官財学の既得権益のペンタゴン。失われた20年を経て、今回の原発事故で我々は多くを学んだ。大きなコストを払ったし、払ってきていたかを学んだ。民主主義はだまってて享受できるものではないことを痛いほど感じた人が多いと思う。
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Japanese (noga)
2011-11-19 00:30:35
英米人の脳裏には、現実の世界があると同時に、非現実の世界観 (world view) がある。

現実の世界を現在時制の内容で表現すると、非現実の世界は未来時制の内容として表現できる。
現実の世界と非現実の世界は、英語では一対一の対応がある。
そして、現在時制の内容に対応した未来時制の内容が過不足なく考えられる。

真実は現実の中にある。が、真理は考え (非現実) の中にある。
現実は真実である。現実の内容として述べられる非現実は嘘である。
時制がなく、現実と非現実の区別がつかなければ、本人は嘘ついてるという自覚はない。
話の内容が現実離れしていることに違和感がない。

現実の内容は五感の働きにより得られるが、非現実の内容は瞑想により得られる。
現実の世界が過不足なく成り立つように、考えの世界も過不足なく成り立っている。
もしも、考え (非現実) の世界に矛盾があれば、それを見つけて訂正しなければならない。
自他が協力して構想の中の矛盾を丹念に淘汰すれば、非現実の世界は現実の世界と同じ広がりと正確さをもち、場当たり的な発言の内容とはならない。

日本語脳は、非現実の内容を脳裏にとどめ置くことができない。
それは、日本語には時制がないからである。
日本人は常に実を求めている。現実にとどまることのみを信じている。
日本人の考えは、現実の外に出るものではない。
現実を現実の外にある理想に導くものではない。

西遊記に出てくる孫悟空は、自己の有能さに得意になっていた。だが、釈迦如来の手のひらの中から外に出ることはできなかった。孫悟空には、世界観がないからである。

英語の時制を使うことができない英米人は、子供のようなものである。
だから、非現実の世界を考えることができない日本人は、12歳の子供のように見える。

考えがなければ、議論ができない。
日本では「議論をすれば、喧嘩になります」と言われている。
意思は未来時制の内容である。
時制が無ければ、恣意となり、その思いは公言にもならず宣言にもならない。

物事の決着は、談合により行われる。
そこには、公言も宣言も必要でない。
意見を述べようとすると「理屈を言うな。理屈なら子供でも分かる」と言って相手にしない。
もっぱら恣意と恣意のすり合わせを行って決着する。いわゆる、どんぶり勘定である。
和をもって貴しとなすためには、金を配るしかない。これも馬鹿の一つ覚えか。
現ナマは、現実の内容であり、日本人には信用の証となる。

究極の人生目的は、狭義の自己利益・金を得ることにある。
国内では、学閥など序列を作って自己利益を確保しようとする。それで、忠義が尊ばれている。
人間が縦一列に並んで他を入れない密な人間関係である。
序列作法の励行により、序列の外に出られない島国根性が植えつけられる。だから、玉砕を覚悟する。

国内においても、国際社会においても、日本人は金を配って存在感を示そうとする。
これもひとえに社会の中での序列順位向上のためである。
だが、日本人は内容のない発言により信用を失うことが多い。
それでも、日本人は人類のために貢献している。
だが、その貢献の仕方は、発言のない家畜が人類に貢献するのと似たところがある。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

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一方的な価値観で書かれた記事ですね。 (taka)
2011-11-19 17:45:44
実際のところ我々の方も彼らを理解していないのだし、彼らが何のためにああした行動をしてるのか想像しただけで解き明かしもせず「猿の惑星」を持ち出す筆者は不快で堪らない。
まるで日本を猿の惑星に見立てた原作者と全く同じ下品さですよ。
我が日本というのはアメリカに隷属する国家になってしまっており、その点でもはや正義には属せない国家です。
北朝鮮が本当にアメリカに敵対する国家であるならば、まさしく日本は敵であるのは当然であり、彼らの反応が必ずしも蛮行だとは言えなくなる。
綺麗事のような「スポーツと政治は別」と言うのは子供の戯言でサッカーは政治的なスポーツであるしね。

少なくとも彼らの行動原理を明かさない限りは、この記事自体が猿によって書かれたものと言われても仕方がないんではないですかね?
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