日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ79~管理者教育以前に必要な3つの「意識」

2010-01-22 | 経営
中小企業のあらゆる課題解決に欠かせないのが、管理者育成の問題。日本国内さまざまな中小企業がありますが、私が知る限り管理者育成がうまくいっているケースはほとんどないと言っていいと思っています。

管理者育成のセミナーやノウハウ本はいつの世でもけっこうな人気なのですが、一般的なセミナーやノウハウ本ではその効果は一過性に終わってしまい、なかなか身につかないのが実情なのではないでしょうか。ではその原因はどこにあるのでしょう。これは私が個人的に持論としてる部分でもあるのですが、原因の一端は管理者としての教育以前に必要な意識づけがないまたは十分でないまま、管理者としてのテクニックやノウハウを身につけさせようとしていることにあるということではないかと思うのです。

ではその意識づけはいかにおこなえばいいのかですが、その前にまずは「管理者意識」とは何であるのかを考えさえ意識させなくてはいけません。「管理者意識」とは何であるのかを具体的に説明せずに、「管理者意識が足りない!もっと自覚しろ」といくら言ったところで無駄な話なのですから。私が考える「管理者意識」の基本要素は次の3つです。
①経営意識
②業績管理意識
③部下育成意識

まず「経営意識」、これが実はすべての根源なのですが、管理者でありながら担当者の側に立ってモノを考え発言しているケースなどは全く「経営意識」が希薄であると言わなくてはいけません。中小企業では最低限経営者の考えを理解ししっかりと「経営」の立場でモノを考え、部下に対して話ができなくてはいけないのです。もちろんそのためには必要な知識(いわゆる「3C=競合環境・自社・顧客」など)を得ることが大前提になることは言うまでもありません。

次に「業績管理意識」。中小企業の場合、大企業と違って自分が十分に役割を果たしていなくともとって代わる者がなく、目標達成に向かってその進捗をしっかり追いかけたり目標達成に向けた経営からの指示事項を忠実に遂行すると言う意識が希薄になっているケースが見られます。まさしく「業績管理意識」が希薄になっている訳です。このようなケースでは、まず管理者の管理スパンに応じて「目標」を与え、それを達成できない場合は賞与や年俸に大きく影響が出るかのような管理を強化して「業績管理意識」をしっかりと持たせる必要があるのです。

三番目の「部下育成意識」。中小企業管理者は部下を自身が部下よりも仕事面で優れていることを上にアピールする道具に使ったり、ひどいケースになると部下と実績争いを平気でしたり、「部下育成意識」とは程遠いケースも散見されます管理者に部下育成意識」を醸成するには、まずは部下を育成することの目的を明確に知らしめることが必要です。すなわち、組織としての発展のためには部下育成による人材のレベルアップが不可欠であること、部下が育つことによって自身の管理自体も楽になり管理者自身はより付加価値の高い業務に特化できることで会社への貢献度が高まること、等々をまず管理者に十分に理解させることが重要なのです。

最後に3つの「意識」を身につけさせるために重要なことを付け加えます。それは、「管理者意識」をしっかりと身につけさせるためには、3つの意識を十分に説明をし理解させた上で、それを一過性で終わらせないよう継続的に「管理者意識」を意識させるような反復プログラムを導入することが必要であるということです。この「管理者意識」が管理者の心に二度と離れない状態で根付いてはじめて、一般的な管理者セミナーやノウハウ本が役に立つ訳なのです。