日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

読売、日経、産経三紙は、小沢の顔色うかがいの“御用新聞”姿勢を猛省せよ!

2010-01-14 | ニュース雑感
昨13日、東京地検の民主党小沢幹事長関係先への強制捜査が執行されました。

12日の小沢氏の“不明瞭会見”の際に触れましたが、現場記者たちが小沢氏の一方的な“逃げ”を糾弾できなかったこの一件に関して、論説が翌13日に社の威信をかけた対応を見せたのは、権力と一定の距離を置く“革新系”朝日新聞(社説「小沢氏会見-実力幹事長の説明責任」)と部数激減で近年やや門外漢的位置づけの毎日新聞(社説「小沢氏会見説明放棄では」)のみ。保守系(と言うよりも体制派?)3紙はと言えば、昨日の朝刊段階では弱気の現場と足並みをそろえ事実報道のみで小沢氏責任追及には“ダンマリ”。昨日の強制捜査が執行されたとたんに、本日の朝刊各紙社説欄で遅ればせながらの「いつになれば小沢は説明するのか(日経)」「小沢氏土地疑惑の解明を急げ(読売)」「小沢氏の政治責任は明白(産経)」を掲載しています。揃いも揃って笑える“小沢怖し”の腰ぬけ新聞です。

政権担当政党の幹事長で実質№1と言われる人物の不明瞭な資金管理に関して、当局から「任意出頭」を求められている段階で開いた会見。対してこの3紙の、当の本人が一切のコメントを封印したというその異常対応に対し新聞社を代表して世間に是否を問うべき論説までもが当日は沈黙を守り様子をうかがうという対応。社会の公器としてのマスメディアの役割を放棄した“小沢御用新聞”に等しい行為であると言わざるを得ません。3紙の選択は、真実追及や報道の正義を貫き通すことよりも、小沢民主党との取材パイプ維持を優先させた結果であると断言してよいと思います。問題会見の当日には筆を折り、東京地検の“ガサ入れ”によって小沢民主党側に対して論説で意見することにも言い訳ができる段階まで待ってようやく書くという、何とも情けないやり方を堂々とやってのけた訳ですから。

日本で一番部数が出ている読売新聞と、経済という専門領域をもって日本中のビジネスマンに最も読まれている新聞である日本経済新聞の新聞最大手2社(加えて産経)が、上記のような本来新聞の使命として糾弾すべきことを糾弾すべきタイミングで言わない。しかもそれが、特定の政治家あるいは政党との情報パイプ維持という、自社の勝手な利益を優先するがための曲がった判断の下になされた行為であるとするなら、戦時中の言論統制にも似た「大本営発」的情報操作に発展するリスクも大きく、我々国民は我が国の新聞の報道姿勢ひいては報道内容までも全く信用できなくなってしまうのです。これは大変ゆゆしき問題であると思います。

私は20代の頃、取材現場の新聞記者を経験した際に、先輩記者から「世の中に本当の客観性など存在しない。だから主観を鍛えることで、あるべき報道のなんたるかの判断を誤らないようにしなければならない。社会の公器としての新聞の使命はそうやって守られなくてはならないと、常に肝に銘じつつペンを走らせろ」と教えられたものです。その教えからすれば、今回の読売、日経、産経のとったやり方は、もはや報道のなんたるかを全く忘れたあるまじき行動であると言わざるを得ません。読売、日経、産経三紙には、新聞の信用を失墜させる本件行動に猛省を求めるとともに、小沢氏にとどまらない“権力”に対する取材に関し、自社の利益を守らんがために追及取材対象に手心を加えるような国民の信用を裏切る報道は二度としないと、紙面上にて約束して欲しいものです。