日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

GW特集 ~ 「センス」を考える1

2008-04-29 | マーケティング
今日29日から、ゴールデン・ウイーク(以下GW)スタートです。今年は暦通りの稼働となる会社も多いようで、GW本番は次の土日からの3日~6日のようです。

私はどこへも遠出の予定なし。普段はなかなかできない、事務所と頭の整理仕事に専念しようと思います。この間ブログでは、頭の中の整理の意味も含めて“大関的基準”での「センスのいいモノ」について考えてみたいと思います。

今日取り上げるのは、「ルイ・ヴィトン(以下LV)」の広告のお話。

3月10日の新聞紙面を全4段広告で飾ったLVのカラー広告。私は一瞬目を我が疑いました。そこに居るのはキース・リチャーズ。言わずと知れた世界最高峰のロックバンド、ローリング・ストーンズのギタリストであり、音楽的支柱であるその人です。広告では、ツアーの一コマをイメージしたのでしょうか、ホテルの一室でギブソンのセミアコギターを抱えて深夜(設定では午前3時)ひとり佇むの絵です。傍らには、LVのギターケースが…。

これは、LVの「コア・ヴァリューキャンペーン」の一環での広告。LVの真髄である「旅」に再び焦点をあてたグローバルなキャンペーンなのです。「旅」を情緒的にとらえ、パーソナルな旅、自分探しの過程としての旅を表現するもの。LVの150年余にわたる歴史のなかで関わり持ってきた“特別な人”たち。そのような傑出した人々の豊かで魅惑的な人生の格別な旅を描き出す、というコンセプトなのです。これまでにこの企画に登場したのも、ゴルバチョフ元大統領、カトリーヌ・ドヌーブ、テニスのアガシ&グラフ夫妻という、超がつく大物ばかり。

そして今回は、さらにとてつもなく個性的なキース・リチャーズ。下手をすれば逆にこの強烈な個性に食われかねない素材を、見事に料理して完璧なLVブランドを表現しています。およそ、おしゃれブランドの代表LVとは似つかわしくない、この取り合せ。まさに「センス」のなせる技以外の何ものでもありません。

撮影は、ジョン&ヨーコとの作品で有名な女性フォトグラファーのアニー・リーボヴィッツ。布陣も完璧です。このような豪華布陣で、お金をかければどの企業でもいいモノがつくれるかといえば決してそうではなく、お金だけでは決して生まれえない何かがあってはじめて生成されるモノがあるのです。その「何か」は、スタッフやキャストの個性や技量でなく、メッセージの送り主の「思想=センス」。

「ブランド構築」はメッセージ主体(送り手企業)の「センス」あってこその成り立つもの、をつくづく実感させられる広告です。「ブランド」構築に、素材やデザインよりも「経営思想」が求められるのは、そんな理由からなのです。

★「コア・ヴァリューキャンペーン」ゴルバチョフ・バージョン
http://www.lohasclub.jp/lda/candgrps/1205493456_21865.jpg