日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ26 ~ PDCAサイクル「C」の重要性

2008-04-10 | 経営
「PDCAサイクル」という言葉をご存知ですか?

元々は「生産管理」「品質管理」の現場で生まれた理論ですが、今や仕事の進め方の基本「鉄則」のひとつとして、仕事は「P(PLAN=計画)」→「D(DO=実行)」→「C(CHECK=チェック)」→「A(ACTION=行動)」のサークルで繰り返し進めることで、その仕事は質の向上に向かうと理解されています。まず「計画」を立てて、次にそれに沿って「実行」、「実行」できたらうまく進んでいるか「チェック」し、うまくないなら原因の究明「行動」してふたたび修正「計画」を立てて、「実行」→「チェック」→「行動」→「計画」→「実行」→「チェック」・・・と続く訳です。

例えば、今4月上旬で新年度入りの企業も多いかと思いますが、たいていはまず年度計画を立てるハズです。年間売上目標はいくら、年間目標収益はいくら、経費はいくらに抑える・・・等々。「計画」ってここで、終わってません?ここまではあくまで「計数計画」に過ぎません。大切なのはこの計数目標達成のために、少し掘り下げて「何をどれだけすべきか」という、「行動計画」を立てることです。そこまでできて、とりあえずの「計画(P)」は完成です。

次に「実行(D)」。「行動計画」ができていれば、そこで決められた「何をどれだけすべきか」について「実行」あるのみです。「計画」は立派なものができるんだけど、どうもいつも「計画倒れ」に終ってしまう、という場合は「実行」が伴っていないケースがほとんどのようです。管理者は「計画」完成で安心せずに、必ず「実行」の旗振り&管理をしなくてはいけません。「実行なくして成果なし」です。

その旗振り&管理の重要な役割を果たすのが「チェック(C)」です。「チェック」は、「計画」に沿って「実行」した経過がどうか、その進捗管理をすることです。「計画」どおりにできているか(当然計数計画だけでなく、行動計画についても検証する訳です)、「計画」どおりにできているもの、「計画」を上回っているもの、「計画」に及ばないものはそれぞれ何か、きっちり点検する必要があるのです。これができていないと「計画(P)」→「行動(D)」は、のんべんだらりと行ってしまう事になるのです。

そして、その「チェック」を受けてサイクルの一順目の最後は「行動(A)」です。「チェック」によって明らかになった、「計画」どおりにできているもの、「計画」を上回っているもの、「計画」に及ばないもの、それぞれの原因は何かを究明し、よりよい成果に結びつけるための対応策を検討するのです。そして、それを再度「修正計画」として軌道修正をはかって、次なる「実行(D)」へとつながっていくのです。

さてここで、「PDCAサイクル」で一番大切なものは何か考えましょう。もちろん「P」「D」「C」「A」それぞれが皆大切な事柄ではありますが、一番大切なものはと問われれば迷わず「C=チェック」であるとお答えします。「チェック」が他の3つに増して大切な理由は、「チェック」することによって、計画進行は“見える化”させることができるようになるというメリットがあるからなのです。「チェック」によって、「計画」は適切だったのか、「実行」はきっちりされていたのか、が“見える化”され、良かった部分の更なる強化や悪かった部分の原因究明および方向修正ができるようになるのです。

「チェック」には、日次、週次、月次など、頻度の違いによるいろいろなチェック方法があります。「日報」「週間実績管理」「月次分析」等がそれです。いずれの「チェック」もとてもとても大切です。「チェックなくして向上なし」を心に刻んで、この年度初めの「計画」を“絵に描いた餅”に終わらせぬよう、がんばっていただきたいものです。ちなみに「PDCAサイクル」での仕事の管理は、個々人の業務管理上もとても有効です。私も日々「PDCA」を心がけて業務に取り組んでいます。

「見える化」「トヨタ方式」「5S」「PDCAサイクル」・・・、厳しい管理下の生産現場で生まれた手法は、経営全般に応用の効くものが沢山あるのです。