日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

がんばれ!「街の喫茶店」応援団~後編

2008-04-01 | マーケティング
昨日の続き。カフェ業界の“仁義なき”「値段(価格志向)」勝負→「味(本物志向)」勝負の後に来る「次の勝負どころ」について、です。

喫茶店業界は、「ドトール」「スターバックス」などの大手資本の大量資本投下によって、第1ラウンド「値段(価格志向)」→第2ラウンド「味(本物志向)」の連続ラウンドで大手の圧勝となりました。もうこれ以上の展開はないのでしょうか?同様の動きが見られ、すでに「第3ラウンド」に入る動きが見られる他の外食産業があります。そこから、喫茶業界の来るべき「第3ラウンド」の展望を探ってみましょう。

喫茶店業界同様、「価格志向ラウンド」→「本物志向ラウンド」がハッキリ出た外食業界、それは居酒屋業界です。一時期は「安い」がウリの流れが押し寄せ、「和民」「魚民」「白木屋」「甘太郎」・・・、安居酒屋全盛時代がまず訪れ、独立系居酒屋は仕入力の違いでコスト競争に敗れまず半減。生き残った独立系は「味」と独自の内装や店構えで、土俵際で残ったものの、次なるチェーンのメニューのグレードアップや“隠れ家風”に代表される外観・内装攻めに、その大半が息も絶え絶えの状況に追いやられてしましました。まさに、今の喫茶業界と同じ「価格志向ラウンド」→「本物志向ラウンド」の展開です。

この展開で、一見勝負決したかに見えた居酒屋業界でしたが、ここに来て「第2ラウンド」を終了し、早くも「次の勝負どころ」=「第3ラウンド」に入ったように思います。それは、消費者の脱チェーン店化の動きです。理由は、まさに消費者の「飽き」です。各チェーン店が、趣向を凝らしてハイグレード・メニューをそろえたり、暗くておしゃれな内装で「本物志向」をめざし、一時期はかなりな人気を誇った訳ですが、結果はセントラルキッチン・メニューの限界とどのチェーンも同じような内装に収束し(居酒屋専門設計業者の限界?)、「非日常性」を目指したはずの居酒屋がいつしか大手中心の「日常性」に埋没して「飽き」られてしまったのです。

つまりは1、2ラウンドの淘汰によって、業界内が大手一色になると今度は、「非日常性の日常化」に伴う「画一性」に起因する消費者の「飽き」が顕著になるのです。消費者って、ホント自分勝手ですよね。

そして「第3ラウンド」、個人店や非大手資本居酒屋が再び脚光を浴びつつあります。「第3ラウンド」の勝ち組は個人店や非大手資本なら何でもOKかというと、もちろんそうではありません。キーワードは、オーナーの“こだわり”です。「価格」で圧勝し、「味」でも追撃してきた大手ですが、彼らが絶対にできない店づくりがこのオーナーの「こだわり」なのです。

チェーン店の店構え、メニュー、味付に、各店の店長がこだわったら、それはもうチェーン店では十分な対応できず、仮に対応ができたとしても、逆にチェーン店のメリットを捨てることになるのです。個人店や非大手資本がこだわる箇所は、消費者に理解させるものであるなら、どこでもOK。消費者に訴求力の高いこだわりを追求することが、「第3ラウンド」を征するポイントであると思われるのです。

このような居酒屋業界の「第3ラウンド」入りを見るにつけ、喫茶店業界での今後同様の展開は、十分予想されることであります。そろそろ飽きられるであろう画一化されたカフェ・チェーン店。来るべき喫茶業界「街の喫茶店」の「第3ラウンド」勝利のカギは、どうやら先の居酒屋業界「第3ラウンド」が強力なヒントとなるのは間違いありません。ただ問題もあります。すでに「第2ラウンド」までに大半が姿を消した「街の喫茶店」たちですから、新たな「喫茶起業家」が出てきてくいれないと、そう簡単に我々が望む「街の喫茶店」の復活とはいかない問題なのかもしれません。