日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

東京っ子たちの元気の素

2007-10-12 | その他あれこれ
今日は、築地で打ち合わせの後、ビッグサイトに立ち寄り。

帰りがけには久々に、ライトアップされた東京タワーを間近に見て、何かこう感慨深いものがありました。

我々の世代の東京っ子にとって、東京タワーは新幹線、オリンピックと並ぶ、元気の素なのです。映画「オールウェイズ~四丁目の夕陽」で、あの当時のシンボル的に取り上げられた工事中の東京タワーは、決して誇張した扱いではないと思います。昭和30~40年当時、東京タワーの存在感はものすごく、ある意味では「僕らのヒーロー」にも似た存在だったのですから。

例えば、
40年代前半、私は港区の小学校に通っていました。その学童歌の一節に「東京タワーがそびえてる…辛くても…真心の花を咲かそう」という歌詞がありました。あの当時の僕ら東京の子供たちにとって東京タワーは、本当に元気づけられたり、勇気づけられたりした、特別な存在だったことがここからも分かると思います。

東京タワー、新幹線、オリンピックは、どれも戦後の“復興日本”を象徴する存在として、本当に「世界の中の日本」を身近に意識させてくれる「夢」や「勇気」を感じさせてくれる元気の源だったのです。

今の東京に、そんな子供にも大人にも、夢と勇気を与えてくれるような存在があるでしょうか?

丸ビルや六本木ヒルズや東京ミッドタウンは、確かに東京の新名所ではありますが、子供も含めて夢を感じさせる存在ではありません。
新幹線も型のバリエーションが増えて走行スピードが増してはいても、どこか普通の乗り物という存在になってしまいました。
2016年のオリンピック誘致にしても、都知事戦の争点になった以外に、話題にもなりません。

確かに時代の流れで、昭和の復興期と、平成の飽食の時代を同様に語ることはできないでしょう。そうは言っても、ライトアップされた東京タワーから昔を思い起こさせられ気がつかされる、今の生活のあまりの夢のなさには愕然としてしまいます。

企業は日本経済の成熟とともに現実路線を歩み始め、特に対消費者向けサービス業は大人ターゲットに偏り過ぎたのかもしれません。子供相手の商売やイベントも財布を握る大人経由での語り掛けという、考えようによっては味気ないやり方に終始しているように思えてならないのです。

確かに少子化の流れは如何ともしがたく、大人ターゲットであらゆることが進むのはやむを得ない状況かもしれません。ただ、企業にも自治体に忘れて欲しくないのは、大人ターゲットで物事を進ませることが、「子供の大人化」を進行させ、あの時代に子供や場合によっては大人までも巻き込んで「夢」を与えることができた昭和の出来事たちは、どこかに置き去られてはいないか、ということです。

美しくライトアップされた東京タワーの姿を間近に見て、これも今様の「大人」や「大人化した子供」たちに向けた“化粧”なのかと思うと、どこか寂しさを感じさせられてしまうのです。