光産業技術動向ブログ OITT

OITTとは、Optoelectronic Industry and Technology Trendの略称です。

NICTら、1本の光ファイバで109Tbpsの伝送容量を実現

2011年03月30日 | 光デバイス
情報通信研究機構(NICT)は、オプトクエスト、住友電気工業(住友電工)と共同で、光通信において新たに開発した光ファイバ1本で109Tbpsの信号伝送実験に成功したことを発表した。

現在の光通信は、ファイバ線中の1本の光の通路(コア)に、さまざまな光信号を送信する形で行われている。

光信号は直径9μmのコアに閉じ込められ、コアのエネルギー密度は太陽の表面並みに高く、注入できる信号パワーの限界があり、光信号が歪むことでエラーが生じたり、ファイバが熱破壊を起こす恐れがある。

光ファイバへの注入パワーの限界(信号パワーを上げていくと、非線形光学効果さらにはファイバフューズが発生するため、信号パワーによる伝送容量確保は難しくなる)

そのため伝送方式の開発により、年ごとに増加を続けていた光ファイバの伝送速度は、2001年を境に増加率が鈍り、毎秒100Tbps近辺が限界と考えられていた。

また、現在の光ファイバ開発当時に、1本のファイバに複数コアをもつマルチコアファイバも考えられたが、それぞれのコアから漏れた信号が干渉しあう、ファイバの結合時にコアがずれるなどの技術的問題があり、マルチコアファイバの開発は進展しなかった。

今回NICTは、技術的に難しいと考えられていたマルチコアファイバの問題を解決し、109Tbps、16.8kmの伝送実験を行い、すべてのコアにおいて良好な通信品質を確認した。具体的には、オプトクエストが開発した「既存の光ファイバ7本を7コアファイバに接続するための7コア同時空間結合装置」と、住友電工が開発した「コアからの信号漏れを大幅に低減した7コアファイバ」を利用し、実験の実証を行った。

詳しい情報はこちら。
NICTら、1本の光ファイバで109Tbpsの伝送容量を実現 | エンタープライズ | マイコミジャーナル

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