さて、わかりやすい酒蔵巡りの後は、小さな酒蔵、廃業した酒蔵探し。事前にネットで探して見つかった湯沢の酒蔵跡は3カ所。最初は街中柳町通りの一本裏、秋田銀行の裏辺りにあった高久酒造<小野之里>。現在でも小野之里売所の看板がありましたが、稼働しているとは思えませんでした。
高久家は天正年間(1590頃)とも文禄年間(1593頃)創業と伝えられる県内でも古い歴史のある酒造家のひとつで、この高久酒造は分家の酒蔵。両関酒造とほぼ同じ明治7年に修行先の帯屋市兵衛酒店から独立して創業。大正時代には純粋酵母の培養など醸造法の研究を進めた。その後、昭和44年に3社合同して白山酒造を設立したが、後に解散。廃業(休業)下とみられるが、最近のことのようで、いつなのかは不明。ただ平成16年(2004)にここにあった酒蔵が神奈川県鎌倉市に移築されており、その頃には休業していたとも見られる。看板のあった建物の他に、道向かいにもそれらしい蔵が残っていました。
次に向かったのが木村酒造から県道277号線を南に進んだところにある奥山儀助商店<金時>。一部マニアの間で幻の酒とも云われるほど醸造量は少ないようです。建物はすぐに見つかりました。軒先に看板も出ていましたが、直売はなさそうな雰囲気。明治21年創業で戦後に法人化。杜氏を置かずに家族経営し、昭和40年代になると漬物販売などの多角化を進めたと云う。
本日最後に訪ねたのは、湯沢から西に進んだ山田地区にあった武石酒造<山田川>。平成27年(2015)に廃業したとのことで、軒が落ち、外壁も一部崩れ落ちて無残な姿になりつつありました。明和2年(1765)創業、戦時中の企業整備で廃止工場となったが、両関などの後押しで復活。昭和44年白山酒造設立に参加したが解散後、<銀嶺白山>の銘で個人企業として再出発したとのこと。
本日はこれにて時間切れとなりました。