フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

12月23日(日) 晴れ

2012-12-24 09:15:54 | Weblog

  7時、起床。ハムステーキ、トースト、レタス、紅茶の朝食。

  いい天気の一日だったが、昼間はずっと書斎にこもって、書類の作成や、同僚の先生や学生へのメールを書いていた。夕方、ようやく作業が一段落したので、5時過ぎ、運動不足解消のためジムへ行くことにする。ところが、曜日の感覚を失っていて、今日が日曜日であることを失念していた。土曜日だと思っていた。日曜日はジムは6時までである(これは早すぎるだろうと常々思っている)。いまからジムへ行ってもろくにトレーニングはできない。方針を転換して、散歩+カフェで読書に切り替える。

  蒲田駅の西口広場でイベントをやっていて、西六郷少年少女合唱団が賛美歌を歌っていた。地元はもちろん全国にも名を知られた合唱団だが、1999年に創始者である鎌田先生が亡くなって一旦解団したが、すぐに復活して、現在に至っている。団員たちは西六郷小学校の生徒たちで、親子二代に渡っての団員も少なくないと聞く。冬の夜空の下で、彼らの澄んだ歌声を聞いていると、心が洗われる気がする。

  「テラス・ドルチェ」で一服する。辻村深月の小説『ツナグ』(新潮文庫)を読む。一生に一度だけ死者との再会を取り持ってくれる「使者(ツナグ)」がいる。冒頭の「アイドルの心得」では、平凡なOLが、突然死んだ38歳の芸能人との再会を「使者」に依頼する。彼女はその芸能人とは一度路上で曹禺しただけなのだが、再会を希望する理由が読者の胸を打つ。一方、死んだ芸能人の方も、生者からの再会の申し出に答えることができるのは一度だけである。なぜ一度遭遇しただけの(実はそのこともよく覚えていない)ファンを再会の相手に選んだのか。OLだけでなく、読者も不思議に思うだろう。理由を聞くとなるほどと思う。辻村の文章は初めて読んだが、直木賞作家らしい味わいのある文章で、ストーリーテリングも達者である。本多孝好に雰囲気が似ているなと思っていたら、その本多が「解説」を書いていた。

  師走の喫茶店で読むのによい本である。せわしなく流れる時間のほとりにしばしたたずんで読むのによい小説(連作短篇集)である。


クーナは珈琲よりもミルクが好きなようである。

  夜、年賀状の添え書きを書く。

  深夜、全部書き終えて、駅前のポストまで投函に行く。オリオン座の三ツ星を久しぶりで見た気がする。