花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

「松葉文様」について

2013-11-16 | 文様について

presented by hanamura ginza


まもなく小雪を迎え、
気がつけばどっぷりと日が暮れているということも多くなりました。
銀座では、クリスマスのイルミネーションがあちらこちらで瞬きはじめ、
初冬の夜を彩っています。

クリスマスの飾りものといえば、
やはりクリスマスツリーですね。
最近では、プラスティックで作られたものも多く、
卓上用の小さなものや、青や白い色の葉をしたものなど、
さまざまな種類があります。

それでも、やはり本物の木を用いたツリーにはあたたかみがあり、
ほっこりと和みますね。

このクリスマスツリーには、
長い冬にも枯れることのない
常緑の針葉樹が用いられています。

本来クリスマスツリーに用いる木は、
ドイツトウヒやモミなどで、
これらの樹木はマツの一種になります。

クリスマスツリーは、
エデンの園にあった「知恵の樹」の象徴とされ、
大切にされています。

日本でもマツは、
一年中枯れることがないことから、
生命力の象徴とされて
たいへん縁起が良いといわれているので、
同じようなとらえ方をされているのですね。

そのため日本では、松文様は吉祥文様といわれ、
古来よりさまざまな意匠に用いられてきました。
今日は、その松文様の中でも、マツの葉を意匠化した松葉文様についてお話ししましょう。

松葉文様は、その名前の通りに松の葉をモチーフにした文様です。

マツの葉は、針のように細いふたつの葉が付け根で一緒になり、
V字型のようなかたちをしていますね。

このV字型の葉をつけるマツは「二葉松(にようまつ)」と呼ばれていて、
日本でよく見かけられるマツのほとんどがこの「二葉松」になります。

ちなみに、三つが一緒になったものは「三葉松(さんようまつ)」、五つの葉が一緒になったものは「五葉松(ごようまつ)」とよばれ、とくに三葉松は、めずらしく縁起がよいとして祀られているところもあります。

針のように細い形をした松葉は、
料理の際に串の替りに用いられることがあります。

また、ほんの少しの気持ちという意味合いで、
贈り物などの上書きに「松葉」と書くこともあるようです。

松葉は、必ず二本で一対となっていることから、
民謡のなかでは「枯れて落ちても二人連れ」と唄われるなど、
たいへん縁起が良いとされ、さまざまな意匠に用いられてきました。

江戸時代には、この松葉をたくさん散した
「松葉小紋」とよばれる小紋が、
五代将軍の徳川綱吉の定め紋ともなりました。



上の写真は
大正から昭和初期ごろにつくられた絹縮緬からお仕立て替えした名古屋帯です。
アンティークならではの深みのある色合いで、松葉と山茶花(さざんか)があらわされています。
地面に散されたような松葉の意匠がかわいらしく、和の風情が感じられます。

一年中葉をつける松葉の文様は、
松文様と同様に、季節を問わず着用できるので重宝しますね。
また、シンプルなわりにどこか幾何学的な文様にも見えておもしろみがあるので、
粋な雰囲気も感じられます。

新しい年を「待つ」気持ちで、
年末年始のお出かけに吉祥の柄をさりげなく身につけるのも素敵ではないでしょうか。

上の写真の「松葉散らしに山茶花(さざんか)文様 型染め 名古屋帯 」は花邑 銀座店でご紹介中の商品です。

●花邑 銀座店のブログ、「花邑の帯あそび」次回の更新は 12 月 5 日(木)予定です。
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