ヌマンタの書斎

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ロシアの苦戦

2022-06-29 12:26:42 | 社会・政治・一般
ウクライナへ侵攻したロシア軍の死者がおかしい。

異様なほど将官クラスの戦死者が多い。アフガンでも苦戦していたが、これほど将官クラスの軍人が死亡してはいない。旧ソ連軍とロシア軍の編成の違いかと思ったが、どうも違うらしい。

ウクライナ側は乏しい兵器を厳選して、狙撃部隊に重点を置いて将官を狙い撃ちしていることが主な原因であるようだ。

別にロシアに限らないが、国家にとって一番危険な敵は自国の軍隊である。古来幾多の国々が軍人の反乱により滅びている。だからこそロシアは旧ソ連時代から軍人の統制には慎重であった。各部隊には共産党の政治局員を配置して常時監視していたほどだ。

さすがに今は政治局員の監視こそないが、その代わりに権限の上位集中がなされている。すなわち軍隊を指揮する権限を可能な限り上位の将官に集中させる。その結果、現場(戦場)で実際に戦う指揮官の権限が奪われる。

これでは状況の変化に応じた適切な指揮が出来ない。そこで上位の将官が現場(戦場)に出向いて指揮をする。そこをウクライナの狙撃兵に狙われてしまった。元ソ連軍として権限の上位集中を熟知していたウクライナだけに、ロシア軍の編成上の欠点を知っていたのだろう。

本来、前線に出るはずのない将官がウクライナ軍に狙撃されて亡くなると、その部隊は蜘蛛の子を散らすように散じてしまうことが多発しているとの情報もある。前線指揮官に権限を委譲していないロシア軍ならではの惨状だろう。

話は変わるが、日本のメガバンクも似たようなものだ。バブル崩壊後、合併を繰り返して出来たメガバンクは、不良債権を二度と出さないという名目で、現場の権限を大幅に削減した。

そして融資の申し込みの審査権限を、専門の関係会社などにさせることで全国一律の公正な審査をしていると誇る。もちろん金融庁の指針に従ったものである。

その結果、現場において融資先を視る目が衰えた。同時に責任感も大きく減じたように感じる。以前は融資先を自身で視て、自らの判断と決断で融資を決めていた。しかし、審査権限を失ったことで、メガバンクの融資審査能力は大きく衰退した。

金融庁の審査マニュアルに従っていれば良い。そんな安直な融資が増えたように思えてならない。現場の意見を聞かないから、結果的におかしな融資となっても、それを良しとしている。

私の予測だと、ここ数年コロナ禍に対する経営支援型の融資は問題が生じると思う。真っ当に経営している企業に対する融資ならば良い。しかし、銀行から資金を引き出すために方便としての融資が少数だが混じっている。これ、絶対に破綻すると思う。

話をロシアに戻すと、軍隊の統制を重視するあまり、現場指揮官の権限を大幅に奪ったロシア軍は柔軟な対応が出来ずに苦戦している。長期化しつつあるウクライナ戦争だが、最終的にはロシアがある程度の成果(東部の編入等)を挙げての停戦に落ち着くのではと思っている。

ただ、それまでにどれだけロシアの将官の死亡が出るのか、その結果如何では本気でクーデターが起きるかもしれません。なぜならロシア軍の将官は、ロシアの支配階級の子弟中心だからです。

その結果、プーチン以上の独裁者が登場する可能性は極めて高い。ロシアという国は、強力な指導者抜きではまとまれない。西側がいい気になってプーチンを追い詰めることは、むしろ却って危険な独裁国家の再生を促す可能性が高いと思います。
コメント (1)
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