ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ああ娘 西原理恵子

2022-06-13 11:42:50 | 
世の中不条理だと思う。

最近ネット上で話題になっているのが西原理恵子と、その娘さんの不仲であった。毎日新聞に連載していた「毎日母さん」でも終盤、娘さんとの確執を描いていたから、そのことだと思ったら、どうも根が深いようだ。

西原の漫画などでお子さんたちの姿が描かれることは普通だったが、それが幼い娘さんにとって辛かったことは描かれなかった。思春期に入った娘さんにとっては、絶対に描いて欲しくない場面もあったようだが、西原がそれを認めることはあまりなかったようだ。

これでは娘さんが母親である西原を否定するのも無理はない。

だが西原が自らの非を認める可能性は低いと思う。なぜなら西原自身、自らの恥じと失態を隠すことなく漫画のネタにしてきた作家だからだ。

西原の生い立ちは結構悲惨で、実父は酒浸りで死亡。継父は経営に失敗しての自死。うらぶれた港町で幼少期を過ごし、町へ移ってもけっこうな貧乏暮し。それを西原は漫画で赤裸々に描いてきた。

せっかく進んだ高校でも飲酒トラブルから放校となり、母からの餞別を糧に東京へ行って、アルバイトをしながら専門学校から美大へ進学。そこで才能の壁にぶつかるも、エロ本の挿絵で稼ぎ、やがて週刊誌に四コマ漫画家として潜り込む。

その後は身銭を切っての麻雀漫画で名を挙げ、周囲のちょっと危ない大人たちに取り入って遂には「恨ミシュラン」で知名度を上げて今日に至る。吉祥寺の閑静な住宅街に立つ立派なお屋敷は、西原曰く「脱税御殿」だそうだが、彼女の細腕一本で建てた人生の勝利の証であろう。

一般常識に照らして、西原が自らの子供たちをも漫画のネタにしていたことは問題がないとは思わない。思わないが、その子供たちの経済的に恵まれた暮らしは、間違いなく西原の稼ぎによるものだ。

だからこそ、西原は娘の造反を決して認めはしまい。我が子だからとの情はあれど、自らの過酷な半生を否定する気はないはずなので、この母娘の葛藤は当分続くと思う。

っつうかね、娘さんあそこまで書いて於いて平然と我が家に戻るその甘えっぷりは如何なものかと思う。本気で親を否定したいのならば、自らの稼ぎで自立できなきゃ意味はない。それを病気で誤魔化すな。

私もまたキツイのは承知の上。だが私からみても苛烈な西原の生き方の成果をたっぷり享受しながら、それを否定しようとする甘えは看過しがたい。

ただ、西原の周囲の人間を漫画のネタにする生き方は友達減らすだろうとも思う。まァこれは彼女自身認めているが、決して反省することなく我が道をいくのが無頼漫画家である西原の凄味であろう。

所詮、他人の人生である。誰になんと言われようと、自分の生き方にすがるしか出来ないだろうとも思う。

同時に私自身、いささか思うところがある。お気づきの方も多かろうと思うが、私は基本自身で経験し、見聞きしたことしか文章化が出来ない。職業上の守秘義務はもちろんあるから、書けない事は多い。また友人知人に関連するブログのネタは数多くあるが、その一部しか記事にしていない。

私は西原ほど露骨に自身をネタにして広言できない。友人知人も同様である。でもその自制は十分だったのだろうか。少し不安を感じるのは、やはり自分自身に甘いのかもしれない。
コメント (4)
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