この映画は、バットマンが出しゃばりでないが故に上手くいったと思う。
私はアベンジャーズがあまり好きではない。リーダー役のトニー・スタークの仕切りが嫌いなのだ。ちなみにアイアンンマンは嫌いでない。単体のスタークならば、十分楽しめる。
偏見かもしれないが、私はヒーローとは孤独であるべきだと思っている。悪に対峙する善玉は、自らの正しさを確信している。だからこそ、正義の仲間が集った場合、意見に相違が出ると、その正しさを確信しているが故に妥協することが難しくなる。
つまり正義の味方は、チームプレーが苦手となる。
でも、自らの知力で財を成したトニー・スタークは強引に周囲を引っ張ろうとするから、周囲との軋轢を生む。超人たちが集まるアベンジャーズ最大の弱点が、実はアイアンマンにある。
一方、DCマガジンのヒーローたちを集めたジャスティス・リーグのヒーロたちも、同様な問題を抱える。だからこそ、前作「バットマンVSスーパーマン」という、アメコミヒーロー映画とは思えない陰鬱な作品を作ってしまった。
だが、究極のヒーローであるスーパーマンの死亡が、孤独な大金持ちであるブルース・スウェインの心境に微妙な変化を与えたようだ。この映画がアベンジャーズほどややこしくないのは、バットマンの謙虚さが大いに貢献している。
本来、孤独癖があり、他者との共感を必要としないバットマンではあるが、スーパーマンの死が他者との協力の必然性を強く自覚したのだろう。おかげで、あまり余計なことを考えずに、純粋にエンターテイメント映画として楽しめる内容になっている。
前作「バットマンVSスーパーマン」があんまりだと思った人は、是非とも観て欲しい。こちらのほうが爽快に楽しめますよ。