ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

御飯だけのお弁当

2017-11-20 11:54:00 | 経済・金融・税制

銀座に職場がある私にとって、昼食をどうするかは、わりと悩ましい問題である。

何度か書いているが、銀座は地価が高い。つまり家賃が高いので、必然的に高額な家賃が、飲食店の固定経費として経営を圧迫する。だから、銀座の街で、安くて美味い飲食店はあり得ない。

もちろんお店も努力している。夜の高額な食事の未使用分などを使って、お得なランチメニューを出している店だって結構ある。1000円前後だが、考えようによっては非常にお得だと云える。

夜なら数千円する献立の食材の一部を、昼間に格安で食べられると考えれば、確かに悪くない。事実、味もたいへんに美味しい。でも、ランチに千円以上出すのは、さすがに毎日だとキツイ。

千円前後のランチメニューを出す店が主流なのだが、実は少し足を延ばして新橋や築地まで行けば、もう少し安い店がかなりある。でも、時間がもったいないので、そうそう行く訳にもいかない。

以前は、松阪屋のデパ地下のお弁当が豊富にあったのだが、今じゃGINZA6とかいう高級路線のテナントビルに替わっている。仕方ないので、コンビニのお弁当売り場へ赴くことになる。

実は少し前までは、お弁当専門店が裏通りに数店あった。でも、今はほとんど潰れてしまった。やはり安い値段の弁当売りでは、家賃相場の高い銀座では採算に合わないのだろう。

そう考えていたのだが、どうやら私の考えは甘かったようだ。

先日、たまには美味しい肉でも食べようと思い、あるレストランに一人で行った時のことだ。カウンター席で、鉄板で焼かれる肉を見ながら、出されるのを待っていると、後ろの机席にいたOLさんたちの雑談が聞こえてきた。

「たまにはイイよねぇ、こんな贅沢もさ!」と楽しそうであった。私も内心肯きながら、それとはなしに耳を澄ませてしまった。

「うん、いつもご飯弁当とお惣菜だもんね」 「そうそう、一食当たり300円以下!、お金は節約できるけど、ストレスたまるよね」

どうやら、普段は家から御飯だけ弁当箱に詰めて社内の電子レンジでチン、おかずはお惣菜を買って済ませているらしい。今の若い娘は堅実だなぁと思いつつ、これではお弁当屋は大変だと痛感した。客単価300円以下では、とてもじゃないが経営が成り立たない。

そういえば、コンビニでもおかずだけの商品がよく陳列されていることを思い出した。なるほど、そのようなおかずだけの客の要望に応じてのラインアップなのかと納得した。

そして同時に思ったのは、これが今の消費不況の一面であることだ。アベノミクスは確かに日本の景気浮揚に大きく貢献した。しかし、それは株式投資家と、不動産分野に限定される。

私は安倍政権を一概に否定はしないが、その国内政策、とりわけ経済政策は部分的にしか評価できない。個人が飲食にかける費用を我慢しているようでは、国内景気はまだまだだと言わざるを得ませんね。


コメント
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