多分、他人事ではないはずだ。
フランスにおいて大統領選挙が行われた。注目すべきは、移民に対して厳しい姿勢を見せたルペン候補の奮闘である。これは、アメリカにおけるトランプ大統領の当選にも連動する事件であった。
ヨーロッパに限らず、アメリカでも合法、不法を問わず、移民に対する風当たりが強くなっている。これはある意味、必然でさえある。
低賃金の国へ工場などを移転して利益を上げる欧米の国際企業群がある一方で、高賃金を求めて欧米に渡るアジア、アフリカ、イスラム諸国の人々が絶えることはない。
途上国に生産拠点を移したことで、職と賃金を得た貧困層の人たちではあるが、強欲な欧米の国際企業は利益を簒奪するだけ、途上国の発展を求めているわけではない。日本のように下請け業から、自ら起業して成長して経済発展出来る国は、残酷なまでに少数派だ。
だから多少の金を得た途上国の労働者は、より高賃金を求めて欧米にわたる傾向がある。
一方、欧米は高賃金の自国の労働者を解雇していくだけでなく、サービス産業などを移民に解放している。結果、相対的に低賃金の移民が、欧米の自国民の仕事を奪う結果になる。
それでも景気が良い時はいい。ひとたび不況になれば、欧米の失業した自国民と、移民との間で軋轢が生じるのは、当然すぎる必然である。国際的な利益収奪で富を蓄える富裕層は、このような惨状にわれ関せずであり、この無関心が更に状況を悪化させてきた。
その結果が、トランプ大統領であり、フランスのマクロン・新大統領である。
他人事ではない。日本においても高齢化と少子化ゆえに、外国人労働者が社会で活躍する場が増えている。移民制度をもなたい日本であるが、国際結婚の増加などにより、移民とカウントされない外国人永住者は増えている。
移民禁止などの排外主義の動きは既にあるが、正直もう反対する時代ではない。既に定住化が進んでおり、排斥ではなく、如何に受け入れるかが現実的な問題となっている。
しかしながら、だからこそ熱烈で過激で暴力的でさえある外国人排斥の動きは、今後増加すると予測できる。それに対応する外国人側でも似たような過激な対応策に出るのは必然だ。
私見だが、この問題に関して欧米に倣う必要はないと思う。日本各地の地方自治体では、既に地元自治会への受け入れ、消防団への参加、お祭りなどの地域行事への参画により、増えていく外国人定住者への対応を始めている。
日系ブラジル人の多い磐田市、太田市などが、その先駆者である。私もその一端を見ているが、問題山積である。生活習慣の異なる人たちを隣人に迎える精神的なストレスは、相当なものだと覚悟したほうがいい。
それでも私は安易で感情的な外国人排斥には組しない。上手く受け入れることで、むしろ日本社会の活性化を図る方向にもっていくほうが役立つと確信しているからだ。
だからこそ、法制度の面での再整備の必要を真剣に検討するべきだ。困難は承知の上。それでも、この問題に前向きに対応していかねば、21世紀の日本は、社会システムが破綻する。
国家は永遠ではなく、維持するために常に時代に合わせてたメンテナンスが必要不可欠だ。この作業は、現場を担う末端の行政組織と、霞が関の中央官庁との連携が重要になる。地味で時間と手間のかかる作業であるが、政治やマスコミのサメ[トも必要な社会問題でもある。
一応、書いておくと、理屈だけでは人は動かないし、感情だけで動いてもダメだ。日本人が守る気がない憲法問題よりも、ずっと重要な問題だと思いますよ。