のろや

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2012.11.24 広瀬隆講演会@愛媛(3)

2012-11-30 | Weblog
2012.11.24 広瀬隆講演会@愛媛(2)の書き起しの続きでございます。

2012.11.24広瀬隆講演会part1


以下、1:03:50より書き起し開始。

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今、我々東日本に住んでいる人間にとって最大の恐怖は、4号機です。この4号機については、一昨日、衆議院の院内集会で東京電力を呼びまして、早く対策をとれということをみんなで要求しました。この4号機のプールは大量の燃料を抱えているので、これを取り出さないで放っておくと、(大きな)余震が来たら燃えだすという、最悪の事態になるわけです。



つまり水素爆発が起こって、大事なプールの水が抜けるということが怖いわけです。福島第一(原発)は今、爆発して、日本がなくなるという可能性が非常に高いんです。「万が一」だったら、こんなことは言いません。そのことを、先ほどの本の中にガンダーセンさんが書いていたので、ガンダーセンさんが来日したところへ私は急いで飛んで行って、いったいどういうことが起こるんですか、ということを聞きました。そうしたらあのジルコニウムのパイプが燃えます、と説明してくれたので、私も納得しました。

要するに燃料棒の、燃料が燃えるんじゃないんです。燃料というのは二酸化ウランといって酸化物ですから、陶磁器と同じ、茶碗や何かと同じ、コチコチのものです。そんなものは、酸化物だから燃えるはずがないのに、何で燃えるんですかと言ったら、「いやそうじゃない、周りでそれを包んでいるパイプが燃えだすんだ」と。
それでわかったわけですが、ガンダーセンさんはジルカロイの燃焼実験もやっています。だから、間違いなく起こります。4号機はどんな状態かというと、これが去年の9月、これが今年の1月。こんな状態です。爆発してぶっ飛びましたから。



このプールに、恐ろしいことに、とてつもない量の死の灰が、放射性物質が、今も入っているんです。だからガンダーセンさんは本の中では非常に遠回しな言い方で、「日本が分断されるようなことになるだろう」とおっしゃっていますが、分断じゃないですよね。日本はなくなります。もちろん四国の皆さんも、急いで逃げる準備をしなければならないんですが、まず福島原発に近い所に住んでいるのは我々東日本の人間です。さっき言ったように首都圏だけで4千万人、どうやって逃げられます?逃げられないんです。

ともかくフクイチの内部の人が私にくれた資料によると、(4号機は)不等沈下している。傾いている。これを東京電力は今、否定しているわけです。こんな状態ですよ。今から 丁度40年前、1972年に建設が始まった原発ですから、もう老朽化しています。鉄骨むき出しで、今こんな状態。プールがある最上階も今、こんな状態です。

もし4号機ががさっと崩れるようなことになれば、作業員の人たちは---毎日2千人ぐらい被爆をしていますけれど---、その人たち全員が逃げ出します。この福島第一(原発)のすぐ南、12キロの所に福島第二原発があって、ここにもっと大型のものが4基並んでいます。これも去年、爆発する直前まで行ったんですけれども、福島第一の横に5号、6号と大型のものがある、だから最悪の事態、10基が全部爆発する。時間の問題です。どういう経路を辿るかわかりませんけれど、そういうことになると思います。

そのニュースを聞いたときに日本は終わるわけですけれど、四国の人たちだったら少し時間に余裕があるから、どっかへ逃げなさい。だけど、どういう手があるかはよく考えておいた方がいいです。これは「万が一」じゃないんです。今、50/50ぐらいの確率です。だから私はこういう会場で、皆さんにこういうマスクだけは持っていなさい、ということを言っています。3M-8233N100というプロフェッショナル用のもので、プルトニウムの粉塵もみんなシャットアウトできるものです。だから我が家ではみんな家族一つずつ持っています。必ず外出の時は持つようにしています。
それから若い人たちは、必ずビザを取っておいた方がいいです。私の可愛い孫娘はもう、日本を出ることをきちんと考えています。今、中学1年ですけれど、悲しいかな。だから今年の夏はオーストラリアへホームステイに行って、まあ訓練をしています。

どこへ逃げるかっていうことになると、もし事故が起こった時は、もう日本へは戻れませんからね。今度は一桁上の放射能が出ますから。一桁も二桁も上になるかもしれませんから。そう言う時には我々ちょっと絶望的になりますけれども、とりあえず家の中にしばらく閉じこもって。
ともかく首都圏の4千万の人間は一斉にこちらへ、名古屋や大阪に向かって新幹線に乗ろうとするけれども、さっきの福島の状態と同じで、誰も逃げられません。東名高速も渋滞で動かない。羽田や成田に行ったって、飛行機が飛ばない。そういう状態になるわけですから、とにかくマスクを持って、何日か耐えながら、どこかへ逃げる算段をするということだけを考えています。これは冗談で言ってるわけでも何でもないんです。去年の3月11日に事故が起こって、その2週間後の3月25日に、原子力委員会のあの、悪い委員長の近藤俊介が、菅直人に、250キロ範囲の(住人の)移転を考えなさいということを言ったのは、これなんです。

去年はこのことを押さえ込んだのです。250キロというのは、さっき言った東京です、私の(家の)近くが230キロですからね。だからもう、近藤俊介にもわかっているわけです。これは原子力の世界だったら、誰でもわかっている。こういうことを、今になって隠しているだけなんです。もうすでに6万人の日本人が海外に脱出している。私が今20代だったら、絶対にこの国にいません。こんな恐ろしい国に。
日本人が みんなで、これをやめよう、ということだったら留まりますけれど、こんな恐ろしい政治家連中が、安倍晋三また再稼働するんだとか、そういう国にいる神経が、我々はわかんないんですよ。私は69歳だから今いますけれど、若かったら絶対こんな国にはいません。津波による電源喪失、あるいはコンクリート亀裂が起これば、終わるわけですからね。大爆発をどこでも起こす。

だって、いいですか、これを見てください。これは全世界で起こった、地震の主な発生地点です。黒い点で塗って行くと、だいたいプレート境界を中心に発生しています。非常にこの辺(日本周辺)に集中している。日本地図が見えなくなっていますね。ここに、別の点を置きます。何の点かというと、これは原子力発電所のある所です。



アメリカにもヨーロッパにも、原発はあります。ロシアにもあります。だけど見てください、地震帯じゃないでしょう。で、原子力発電を作った技術者というのは、日本人じゃないんです。アメリカ人、ロシア人、ヨーロッパ人なんです。この人たちは地震が起こらない所で設計した。だから、耐震思想というのがもともとないんです。だいたい、大地震が来たら終わるってことは、彼らは知ってるんです。それをに日本に輸出したのが彼らの間違いです。こんなことは起こるに決まっている、地震が直撃したら日本の原発は全部終わるってことは、わかってるわけです。

日本という国は、地球上の陸度のうち0.25%しかない、狭い国です。我々から見たら本当に広い日本に感じますけれど、0.25%しかないんです。世界中で発生した地震のほぼ20%は日本で起こっているわけですから、地球平均の100倍ですよ。こんな国は、他にはないんです。プレート4枚がぶつかりあっているから、しょうがないんです。阪神大震災の後、去年の東日本大震災。わずか16年の間に大震災を2度も体験した国なんて、他にありますか?ないですよ。こんな恐ろしい国は。

だから、私が何で4号機が怖いかというと、次の地震なんです。次の余震がもうすぐ迫っているわけです。ここにバッテンがあって、震源と書いてありますが、こんなもんじゃない。ここは割れ始めた所であって、実際は(もっと)広大なんです。震源域と呼ばれる広大な難易が、亀裂が入っているプレート境界です。

地震の後、日本列島はひん曲がってしまった。この矢印は、自動車のナビと同じように、地殻変動が起こったら宇宙から正確に分かるようになっています。昔は基準地点というのを置いておいて、その間を実測してやったものですが、今は宇宙から全部わかるようになっています。その移動した動きを誇張して描くとこういうふうになって、太平洋側にぐーっと入っていますね。太平洋の海底側です。だから日本列島は、この三陸沖を中心にして、ひん曲がっちゃった。



で、広大な面積が減りました。これは津波で減ったんじゃないんです。日本がひん曲がって減っちゃった。だから、宮城県の女川原発の所、あのへんで基準点が5mも超えています。それぐらい動いたんです。恐ろしいことに、ロシアまでこの地殻変動が起こっている。なぜかというと、地球は全部繋がっていますから、1枚のプレートだけが動くということはない。全て重なり合っていますから。だから、ロシアまでひん曲がりました。

ということは、今度は西日本が怖いわけです。私が今怖いのは、西日本です。今年の1月、山梨県東部が動いて、その後富士五湖周辺で(地震が発生しました)。なぜこういうことを言うかというと、富士山で異常が起こってるんですね。富士山の異常は、非常に怖いんです。なぜかというと、江戸時代の宝永地震のとき、同時に富士山の大噴火が起こっていますから。今度はその順序が逆になるかもしれません。ともかく、去年はここ(三陸沖)で大地震があって、すぐに長野県の栄村で大地震が起きて、今度は富士山の直下で、記録上最大の地震が起こりました。この線は糸魚川-静岡構造線、つまり皆さんの目の前にある中央構造線と並んで、日本で最大の活断層です。これが動き出しているんですね。この力が今、どんどん西日本に迫って来ています。広島でも激震が続いています。



これは4枚のプレートの境界を上から見た所です。(実際は)こういうふうになっているんではなく、お互いに組み合っているんです。重なり合って、お餅を重ねたようになっている。だからここの太平洋プレートが動き出して、もう2009年からずっと激動していましたが、それが動き出して、下の方へどんどんエネルギーを与えています。だから、今こちらで地震が起こっていないから安心なのではない、これからです。岩石が今、エネルギーをどんどん溜め込んでいます。岩石が耐えられるエネルギーは決まっていますから、一定量になった時にバリッと割れます。その時に心配なのが、活断層が動くことです。それがだんだん身近に迫って来ているはずです。

鹿児島でも激震が続いていますが、鹿児島の地震は非常に恐い、なぜなら、桜島がずっと爆発的な噴火を続けて来たのが、2009年からとてつもない数になったんです。そして去年、大地震を伴ってやって来たんですが、今年も桜島の爆発的噴火回数は一昨年、昨年とほぼ同じペースで来ています。もう800回を超えています。



この余震は間違いなく、数十年続きます。去年、私が信頼している北海道大学の平岡一臣先生にあって、この余震は何年くらい続くでしょう、と言ったら「まあ最低30年は続くね」と言っていました。まあ地震学者の常識ですと、数十年これが続きます。



ということで、今、この去年1月から10月までに起こった地震の分布を見ると、このあたりがプレート境界です。それから皆さんの所、四国を襲うのは、ご存知の東海地震と南海地震です。南海トラフというのがここにあります。よく見てください。この点々が、日本の陸上にたくさんありますね。内陸直下地震がかなりあるんです。その地震の映像を詳しく解析して、わかりやすく我々に教えてくれた人がいる、それを皆さんにみていただきます。左上に日付が入っています。



4月7日に最大余震が起こっています。それから11日にはいわきで、恐ろしいことに、双葉断層を動かす地震が起こりました。今ご覧になっていて、私が何を怖がっているか、わかるでしょう。福島の周りで、ずっと地震が起こっています。4号機をずっと揺らし続けているんです。あの建物がもつだろうか。普通に考えたら、機械工学的に考えたらもう中は疲労の限界に達して要るんじゃないかと、私は想像していて、非常に怖いわけですが、一昨日、東京電力にそのことを言っても、全然わかんないで、のんびりしている。で、下から積み上げるような考えで、ともかく来年、燃料棒を取り出すようなことを言っているので、もう、急いでやれ、国際チームを作ってやれとみんなで要求したんですが、なかなか動きそうにない。そこへ原子力規制委員会の連中も来ていました。資源エネルギー省の人間も来ていましたが、国も、もう本当にのんびりしているんです。とにかく早くあの4号機の燃料棒を取り出させないと、我々は本当に不安でしょうがない状態です。

で、富士山が動き出すと恐いのは、かつて、貞観地震のような、南海地震に繋がるようなことがたくさんあった。それから江戸時代、東海地震と南海地震という超巨大地震の時に、富士山の、宝永の大噴火が起こっています。



わたしがこの福島の事故が起こる前から心配していたのは、豊後水道(大分と愛媛の間)あたりです。このへんが2009年から、スロースリップといって、ゆっくり動き出している地殻変動がある。これがずっと怖かった。伊方の方も怖かったんです。これ(スロースリップ)がちょうど、東北でもやっぱり起こっていたんです、大震災の前に。だからひょっとしたら、今度は四国辺りで(大地震が)起こるかもしれません。

今、どこから大地震が起こるか、もちろん誰もわかりません。先に首都圏大地震が起こるのではないかということも考えて行きますと、もうタイムリミットを13年ぐらいは越えてますから、起こりうる。それは相模湾であろうと。その次にはもちろん、東海地震を起こす駿河湾が動くかどうかですね。これも150年がタイムリミットなのに、もう8年越えています。どちらが先に来るかはわからないんですけれども、今そんな状態です。

ひとつだけ言っておきたいのは、私が一昨年『原子炉時限爆弾』を書いた時、もう間違いなく太平洋プレートが動いてるから、太平洋岸が危ないということを、学習会で茨城県、宮城県、青森県、福島県を回って叫びましたが、誰も信じてくれませんでした。広瀬さん頭がおかしくなった、と言われましたけれど、(今は)あの時よりもっと危険なんです。私が『原子炉時限爆弾』を書いた半年後に福島の事故が起こってしまいました、書いたとおりに。だけれども、今はもっと怖いんですよ。去年の3月10日よりもっと危険な状態、日本列島がひん曲がっているんです。余震がずっと続いている状態です。だから私は大声を出すんです。

これから起こる地震では、原理的に言いますと、プレート境界か、プレート内の活断層か、どちらが動くかわかりませんが、さっき言ったように岩石というのは一定のエネルギーしか蓄えられませんから、今どんどんエネルギーが溜まっています。皆さんの身近な四国で、今地震を感じなかったら、それはどんどん大きなエネルギーが溜まっているということだと考えてください。それが地球物理の基本です。「今地震が起こってないから安心」なんて、とんでもないことです。逆なんです。だからむしろ、余震が起こっている方がよくわかるんです。エネルギーを少しずつでも解放してくれた方が楽なんですけれども、動かなくなるとだんだん不安になって来ます。

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この後休憩を挟んで、講演の後半が続きます。part2では、日本で今までに起き、またこれからも起きるであろう津波の、想像を絶する巨大さや、放射能が人体に与える激烈な害、イギリスや旧ソ連における放射能被害の実態など、戦慄を新たにするようなお話が語られております。本質的に怠惰なのろさんはここまで来て力尽きましたので、書き起しは以上とさせていただきますが、お時間のあるかたは、いや、お時間のあんまりないかたは片手間でも結構ですので、実際に動画を見ていただけたらと思います。

2012.11.24 広瀬隆講演会part2.



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