のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『夢の美術館 大阪コレクションズ』2

2007-03-11 | 展覧会
3/8の続きでございます。


ずんずん進んでまいりますと、やがて至るスペースでは
一方の壁面にダリやキリコやマグリットといったシュルレアリスムのひとびとが
現実と奇妙に交わるありえない光景を展開する一方、
向かいの壁では、セガンティーニやモランディが目の前にあるものものを実直に黙々と描いていおります。
セガンティーニの描くアルプスの山なみは、陽光まぶしく、牛はのどかに草をはみ
あくまで清澄で健康的でございます。
本展に展示されておりますのは『水飲み場の牛』という作品ですが
大原美術館所蔵の『アルプスの真昼』が有名でございますね。

うーむ
この屈託のない明るさ、
作者が『悪い母』を描いた画家と同一人物とは思えないほどです。(拡大図)

ええ、のろはもちろん『悪い母』路線の方が好きでございますけれども。

モランディについては以前の記事で少々語らせていただきましたので
今回は割愛してずんずん先へ進みます。

次にございます展示スペースは
ジョゼフ・コーネルの秘密の小部屋でございます。
言葉を持たぬ詩のごとく
きらきらしくもつつましく
謎に満ちたコラージュや、ノスタルジックなものもののつまった箱が並んでおります。
おお、もしものろが稲垣足穂であったなら
作品のひとつひとつに散文詩を捧げたであろうに。

やや照明の落ちたコーネルさんの展示スペースを出ますと
「おいおいおい俺どうするよ!!」という顔つきで
ジャコメッティの『鼻』が迎えてくれます。
これより先は、キャンバスは切り裂かれるしマリリンはずらずら並ぶし
肖像画はひっくり返るしフェルトは壁から垂れ下がるし
ほんにまあー どうしませう といった趣の戦後美術でございます。
もはや「oo派」という、既存の芸術概念の範囲内における流派ではなく
芸術そのものの新たな概念をつくってしまおうと取り組む方々の作品が並んでおります。
うふふふ楽しいですよ。

のろといたしましては、滋賀県立美術館ばりに
大好きなモーリス・ルイスドナルド・ジャッドと一同にお目にかかれたのが、たいそう嬉しうございました。
しかもルイス作品の前にはしっかり長椅子が。
そう、モーリス・ルイスの作品は、30分くらいはその前に腰をおちつけて
じーーーっと温泉につかるように、ゆったりじっくり頭からっぽ状態で堪能するのが
タダシイ鑑賞方法であろうかと存じます。

ジャッドのプログレッションは滋賀県美にも所蔵されておりますが
素材が若干異なるようでございます。滋賀の方は、上部がたしかアルミ製で
表面は写り込みの少ないマットな状態でございましたが
本展では真鍮製で、つるつるぴかぴかでございます。
向いの壁面に掛かっているマリリンが、うまいぐあいにずらっと写り込んでおります。
滋賀県美の収蔵品の方がよりストイックといいましょうか、取り付くシマもない感じがして好きではございますが
これはこれで面白うございました。


パレットがキャンバスに塗り込められたり
既製品のプリント布地がキャンバスになったり
プラスチックのサイコロで覆いつくされたでっかいオブジェが出て来たり
とまあてんやわんやでやったもん勝ち的な様相を呈してもいる現代美術ではございますが
最後には何もかもまとめてポーンと蹴っ飛ばすかのような
バリー・フラナガンの『ボウラー』が本展を軽やかに締めくくっていたのでございました。

ところで
企画展出口のミュージアムショップ(というかウォーホルグッズ売り場でした)、たいそうな品揃えでございましたが
一階にある通常のミュージアムショップには、ここで扱っている企画展グッズは置いてございませんので
買い物するやもしれないという方は、お財布をロッカーに入れずに持って行かれることをおすすめいたします。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿