読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『北杜夫 マンボウ文学読本』

2018年08月31日 | 評論
『北杜夫 マンボウ文学読本』(宝島社、2016年)

作家として、父親として、昆虫好きとして、医師として、躁うつ病、マンボウ・マブゼ共和国などなど、多面的な北杜夫の人生を紹介するというような本である。

暇なので冷房の効いた図書館をウロウロしていたら、こんなのを見つけた。出版年が2016年、いまだに人気があるのだろうか。

高校時代から大学1年生にかけて、作家を目指し、自作の小説を北杜夫に送って、ちょっとした感想と励ましの手紙をもらった私的には、たくさんの写真が載っているのが、ありがたい。

私が高校生の時に同好の友人たちと弊衣破帽風を撮る時に参考にした北杜夫の松本高校時代の写真―帽子をかぶり、肩にマントをかけた姿―も載っている。

私が自作小説を送ったのが昭和49年だから、北杜夫47歳の時、つまり油の乗っていた時期だったんだなと年譜を見ながら感慨にふける。

年譜を見ると、すでに東北大学の学生時代から頻繁に小説を懸賞などに応募したり、同人誌に参加して切磋琢磨していたことが分かる。本気で作家になるつもりなら、そこまでしなければならないのだろうが、私にはそんな根性はなかったようだ。

『幽霊』『夜と霧の隅で』『楡家の人びと』『白きたおやかな峰』『どくとるマンボウ青春記』などを持っていた(たぶん初版だったと思う)のに、どこへやったのだろうか。もったいないことをした。

じつは今年の夏には松本の松本高校記念館に行くつもりだったのに、ちょうどその日に台風が来て、キャンセルせざるをえなかった。松本へは何度も行っているのだが、そんなものがあるなんて知らなかったので、一度も行っていない。ぜひ行ってみたい。

この本はそういうわけでいろいろ楽しい本であったが、略年譜の冒頭の生まれた年が1972年(1927年が正しい)になっているとか、22歳のところの説明が「4月、2年生となり、松高に後輩が入学してくる。将棋、卓球、野球、ダンスなどに熱中する。」という部分は、19歳の松高時代の話である。私が気づいたミスはこの二箇所だが、大事なところなのでちょっと残念。

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