読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『シャンソンと日本人』

2023年06月11日 | 評論
生明俊雄『シャンソンと日本人』(集英社新書、2023年)

大学の仏文科で仏文学を学んだからでもないだろうが、私がシャンソンに興味を持ったのは、やはり大学でフランス語を学んだからからとしか考えられない。

そもそも鳥取県のど田舎の、しかも農村の生まれで、周りにはシャンソンのシャの字もないような環境だったからだ。

でも、この本によると日本のシャンソンブームの頂点は55年から60年代初めということだから、55年生まれの私は、幼少期をそのブームのなかで過ごしていたのかもしれない。

そうは言っても、私の記憶にはそんなものはまったくない。それどころか、日本のシャンソンを代表する越路吹雪って、私はあまり好きになれない歌手の一人だったくらいだから、たぶん彼女の『愛の讃歌』は好きではなかったと思う。

たぶんシャンソンに関心が向いたのは、高校生になってたぶんフレンチ・ポップスの最初のブーム(同じ時期にボーリング・ブームも)が来たからだと思う。なんとシルヴィー・ヴァルタンの『悲しみの兵士』が私のお気に入りだった。たぶん『あなたにとりこ』のほうが売れていたと思うのだが、私はそれほどすきではなかった。

それと高校時代に小説をよく読むようになって、外国文学では私のお気に入りはエミール・ゾラ(いわゆる自然主義小説というやつ)だったから、そういうことも影響していたのかもしれない。

そんなわけで仏文科に入って、最初に買ったのが、シャンソンのLPだった。これには『枯葉』は言うまでもなく(って、当時の私はこれくらいしか知らなかった)、『ラ・メール』『話してよ愛の言葉を』など定番曲がたくさん入っていた。それからジョルジュ・ムスタキのLPも買った。

最近ボケ防止にシャンソンを歌おうと思っている。でも長続きするにはやはり先生についたほうがいいと思う。

この本は日本にシャンソンがどんなふうに根付いていったかを詳しくまとめてくれている、よい本だと思う。

シルヴィー・ヴァルタンの『悲しみの兵士』
ナレーターはジョニー・アリディ(フランスでは有名な歌手)

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