読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『ヴェルサイユの祝祭』

2024年07月27日 | 日々の雑感
小穴晶子『ヴェルサイユの祝祭』(春秋社、2024年)



イタリア・オペラの誕生から説き起こし、フランス・オペラが、フランスで初めて紹介されたイタリア・オペラ、エール・ド・クール(宮廷歌謡)、宮廷バレエ、モリエールとリュリが創始したコメディ・バレエなどを複合して創始されたという話が第一章で紹介される。

第二章では、リュリとキノーが創始したフランス・オペラ(音楽悲劇)の実作―『カドミュスとエルミオーヌ』、『アルセスト』、『アルミード』―のあらすじ、原作、特徴、聴きどころなどを中心にして紹介される。

第三章はバロック音楽の特徴が理論的に論じられている。

多摩美大を定年退職されて、こうしたまとまった著作を書かれたようだが、あちこちにキラリと光る優れた記述もあって、いろいろと勉強になる著作のようだ。




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『ザイム真理教』

2024年07月26日 | 日々の雑感
森永卓郎『ザイム真理教』(三五館シンシャ、2023年)


これを出版した後、著者の森永卓郎はガンだかなんかでもう余命数ヶ月と宣告されたという(今でも生きているけど)ことで、ネットを賑わせていた。

21世紀になってから、とくに安倍第二次政権になってから、日本銀行と結託して、ゼロ金利どころかマイナス金利にして、福沢諭吉のお札をジャバジャバ市場に流して、大企業に楽して儲けることができる時代にした政策を苦々しく思っていた私として、この本で森永卓郎が言っていることは、にわかには信じがたい。

政府が毎年の財政バランスを税収をはるかに超えた支出をすることで、いわゆる赤字国債をどばどばと発行して、収入に近い金額の国債をプラスした支出をしても、この国債を日本銀行が買い取って、永遠にもっているかぎりは、借金なんてチャラだというのだ。それは確かにそうかもしれない。

ただ、森永卓郎の主張は疑問に思うところはこの点だけで、あとの主張は、納得がいくものばかり。財務健全化を葵の御紋にして、増税を言い続け、それに立て向かうような政権は倒してしまうくらいの団体である(と森永卓郎が言う)財務省の増税は、国民を苦しめるだけのものだという。

日本の消費税が低所得層に厳しくて、金持ちにはただみたいなものというのは、本当だ。累進課税なんて嘘で、一億を超えると、税率が下がるのだから、金持ちにとって日本は天国だろう。完全な累進課税にすべきだという森永卓郎の主張には賛成する。

消費税が景気を悪くしてきたというのも本当だ。結局日本の景気が国民の消費行動に左右される。消費税増税が国民の消費行動を押させ付けるというのは、誰が見てもわかることだ。

森永卓郎がザイム真理教を知るきっかけになった専売公社勤務の経験の話はじつに興味深かった。




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天才的作曲家と画家

2024年07月17日 | 日々の雑感
ともに印象派と言われる作曲家ドビュッシーと画家ルノワールとモネ。
この人たちは多くの優れた作品を残しているのだが、私がとりわけ好きなのが、ともに光のきらめき、光線のゆらめき、光と影の移ろいを描いた作品だ。

ドビュッシーは「アラベスク第1番」
CANACANAさんというピアニストのユーチューブ。下のルノワールとモネの絵を見ながら聞いてみてほしい。

ルノワールとモネは「ラ・グルヌイエール」(二人して出かけたセーヌ河畔の水泳場を描いたもの)
モネ


ルノワール


ドビュッシーは決してルノワールとモネのこの絵に触発されて「アラベスク」を作曲したわけではない。むしろ「アラベスク」というのはイスラム風装飾のことなので、まったく違うのだが、私にはルノワールとモネが描いた水面のゆらゆらする様子を音楽にしたように聞こえる。

三人の作品は、これだけあれば、他の作品はなくてもいいというくらいに、素晴らしいの一言しか出てこないような作品だ。

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