読書な日々

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『ザリガニたちの鳴くところ』

2021年03月11日 | 作家ア行
オーエンズ『ザリガニたちの鳴くところ』(早川書房、2020年)

ノースカロライナ州の湿地に住むカイアが7歳くらいから27歳くらいまでの20年間の彼女の成長を、彼女が犯人とみなされたチェイス殺人事件の捜査や裁判を同時進行させながら描いた小説である。

図書館で順番をずいぶん長いこと待ってやっと順番が回ってきた時には、どうでもいいような気持ちになっていた。本を手にとってその厚さに、たぶん読まないで返却するだろうなと思っていた。

だが読み始めてみるとするすると作品世界に入り込めて、最後まであっという間に読み終えてしまった。アメリカでは何週もベストセラー入をしていたというだけのことはある。

タイトルの『ザリガニたちの鳴くところ』Where the Crawdads Singってどこかで聞いたようなタイトルだなと思っていたら、思い出した。モーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』Where the Wild Things areと同じじゃないか。子どもたちが小さい頃によく読んでやった本だ。

以下ネタバレなので、そのつもりで。

両親に捨てられ、兄弟たちもみんな家を出ていって、ノースカロライナ州の湿地帯の家に一人取り残されたカイア。生活を助けてくれたのは、燃料店を営む黒人夫妻のジャンピンとメイベルだった。

就学年齢になっても一度学校に行っただけで、辞めてしまった。ずっと字が読めなかったが、友達になった3才年上のテイトに教えてもらい、本などももらって、知識を身に着け、一人でこの土地の生物や植物を観察・記録するようになる。

テイトとは恋人のようになるが、彼が大学に入るために町を離れ疎遠になる。しかし彼女がそうした研究を一人でしていることを知ったテイトが出版社に話をつけて図鑑のような本として出版されることになる。

しかし「湿地の少女」として好奇の目で見られていた彼女をものにしようと、もとアメフトの選手というチェイスが彼女につきまとうようになり、カイアも彼と結婚の約束までするようになるが、チェイスは良家の娘と結婚をする。

そしてそのチェイスが湿地の物見やぐらの下で死体になって発見される。そしてカイアが犯人として逮捕され、裁判が行なわれるが、優秀な弁護士のおかげで、無罪を勝ち取る。しかし数年後にテイトがカイアの小屋で発見したのは…。

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