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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

マクドナルドの戦略

2024年05月22日 | 現代の病理
雑学の記録帳にあった話で、出拠は不明です。

かつて日本マクドナルド社長だった(故)藤田 田さんがテレビのインタビューに答えてこんなことを言っていた。ちょうど、同社が赤字覚悟(?)の価格設定を打ち出したころの話だ。
「いま安売りをして、たしかに会社は大損をするだろう。しかし、いま小さな子供さんに食べていただいていれば、大人になってもマックの味が忘れられずに、必ずお店に帰ってきてくださる。ターゲットはむしろ子供さんなんです。」


...さて,よく「人は歳を取ると,あっさりしたものを好んで食べるようになる」と言われているが,実はこれは誤解で,本当は「人は歳を取ると,幼い頃に食べていたものを食べたくなる」のであるという話を聞いたことがある.実際に今日のご年配の方々が幼少の頃の日本は魚中心のあっさりした食生活だっただろうし,確かにアメリカに行くとヨボヨボの老夫婦が朝からデニーズでシロップたっぷりのパンケーキとスクランブルエッグを食べていたりする.

マクドナルドという企業は,このことも含めて「真のリピーターを獲得するには,子供の頃からその味を舌に刷り込ませることだ」ということを熟知しており,小さい子供にとって (もちろん大人に対してもだろうが) いかにインパクトを残す味にするかという研究を常に行っているらしい.


また、ファストフードの代名詞とも言えるマクドナルドの日本上陸は、元日本マクドナルド会長の「マクドナルドの味を12歳までに覚えさせろ!」の発言からも分かるように、収益のためには子供の将来など考えもしない企業の社会的責任に対する意識の低さは、他国にも進出しているマクドナルドを見れば一目瞭然です。
フランスへの進出にあたり、フランス側からマクドナルドに課せられた条件は、「マクドナルドで使われるすべての食材をフランス国内から賄うこと」でした。安全を確かめることができる国内産、しかも利益が国内に還元されることという条件をフランス政府はマクドナルドから取り付けたのです。
一方、日本マクドナルドの経営戦略には国内への利益還元という視点がほとんどありませんでした。安全性も不確かなまま、コスト優先の海外輸入食材に頼り、将来の味覚を決定する12歳までの子供たちをターゲットに企業の利益追求を優先したものでした。そして、「早い・安い・おいしい」に飛びつき、12歳までに味を仕込まれてマクドナルドの生涯顧客になることを日本の消費者たちは何のためらいもなく受け入れてしまいました。
「このままでは自国の食文化を壊し、自国の生産者の仕事を奪い、そして子供たちの味覚まで洗脳されてしまう」と考え、フランスの農民ジョゼ・ボベが起こした反マクドナルド運動を鑑みると、日本人の食に対する自覚は極めてお寒いものだと言えるでしょう。

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