法話メモ帳よりー甲斐和里子と河村とし子の会話
甲斐和里子先生は敬虔な念仏者です。そして、京都女子学園を創設されたほどの方です。その甲斐先生を、山口県萩市にお住いの河村とし子さんが訪ねられてたときのことです。はるばる荻から京祁まで出かけた河村さんを、甲斐先生は温かく迎えられました。先生はその時、84歳、小柄で、絣(かすり)の袖無し(チャンチャンコ)を着て、平凡などこにでもいるような、何の変哲のないお婆さんでした。しかし、その底に、一本、穀然としたものが通っていました。
その先生が、河村さんに対して、
「遠いところからよう来られましたのう。聞けば、あんたはキリスト教から浄土心宗にうつられたとか。ようお念仏に出会われたことよのう。よかったのう、よかったのう。はかのことは、みんな、こまい、こまい。」
と言って、お顔の前で小さな手を振られたそうです。
その「ほかのことは、みんな、こまい、こまい」というお言葉が、河村さんの胸を貫いて、涙がどっとあふれたというのです。いろいろ質問しようとして、その項目を手帳に書きつけていたのに、そんなことはもうどうでもいいようになったのです。「こまい、こまい」の一言で十分だったのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます