職業病というものがある。先日、ふと医師の職業病について思った。医者は毎日、「ここが悪い、こうしなさい」と悪を指摘して正しさを告げているので、自然と自分は正しいという価値観が身についてしまう。命に関わることなので正しさが身についていないと困るのだが、日々、不断に正と邪をジャッジし続けなければならないのだから、自分は正しいという思い込みが刷り込まれ、それが現実を見せなくしてしまうこともある。
埼玉医科大学客員教授である武田文和氏は、1982年から2000年まで世界保健機関(WHO)がん専門家諮問委員としてがん疼痛対策の分野を担当し、がん疼痛治療法普及のために発信続けておれる方です。その武田氏が、『がんの痛みの治療の真実』(春秋社刊)で、日本の医師のモルヒネ(鎮痛剤・麻薬)に対する認識の低調さを問題にされている。
「痛みを感じている状態でオピオイド鎮痛薬を用いても依存は生じない」という新しい知識が医学や薬学の教科書に記されるようになったのはごく最近のことで、今でも十分に周知されたわけではありません。
いまだに古い教育の影響から抜け出すことができない医師がいて、モルヒネを処方することにためらいを感じています。(以上)
オピオイドとは「ケシの樹液」を意味するギリシャ語で、アヘンのことです。そのアヘンを成分とする鎮痛剤がオピオイド鎮痛薬です。そのオピオイド鎮痛薬が疼痛治療に正しく使われていない現実を指摘しています。新しい認識を妨げる障害の一つが「自分は正しい」という正しさへの固執であるところが、人間の不完全さが見え面白いと思う。
これは医師だけではなく教師や僧侶にもあてはまることです。
埼玉医科大学客員教授である武田文和氏は、1982年から2000年まで世界保健機関(WHO)がん専門家諮問委員としてがん疼痛対策の分野を担当し、がん疼痛治療法普及のために発信続けておれる方です。その武田氏が、『がんの痛みの治療の真実』(春秋社刊)で、日本の医師のモルヒネ(鎮痛剤・麻薬)に対する認識の低調さを問題にされている。
「痛みを感じている状態でオピオイド鎮痛薬を用いても依存は生じない」という新しい知識が医学や薬学の教科書に記されるようになったのはごく最近のことで、今でも十分に周知されたわけではありません。
いまだに古い教育の影響から抜け出すことができない医師がいて、モルヒネを処方することにためらいを感じています。(以上)
オピオイドとは「ケシの樹液」を意味するギリシャ語で、アヘンのことです。そのアヘンを成分とする鎮痛剤がオピオイド鎮痛薬です。そのオピオイド鎮痛薬が疼痛治療に正しく使われていない現実を指摘しています。新しい認識を妨げる障害の一つが「自分は正しい」という正しさへの固執であるところが、人間の不完全さが見え面白いと思う。
これは医師だけではなく教師や僧侶にもあてはまることです。