超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

LOST IN TIME「(  ) trust over thirty tour 2013」@千葉LOOK 13.4.20+ドキュメントDVD 雑感

2013-04-26 15:43:46 | ライブレポ















先週の土曜日LOST IN TIMEのライブに行ってました。













全部出し切るような潔いライブだったんですけど
いつも以上に若く勢いがあって、時折はみ出したりもして(笑
何より嬉しかったのは大好きな「ロスト アンド ファウンド」からの楽曲が多かったこと
セトリも練られていた事で勢いだけでない部分も楽しめたのが大きかったです
新譜の曲もみずみずしく響いていてとても温かくなる様な一夜でした
ライブ会場限定販売のドキュメントDVDの感想も含めて書きます。
本当に心の中の敏感な部分に寄り添ってくれるバンドだなあ・・・と再確認出来ました。ありがとう。







一曲目「Over」から始まると立て続けに「約束」「花」とアッパーチューンを連発
千葉ルックでのワンマンは初めてだそうで嬉しそうな表情が印象的なスタートでした

「それでも時計は回り続けている」というフレーズがグッと突き刺さってきた「誰かはいらない」、
成熟を拒んでどこまでも青くあり続けようとするガムシャラ感を受けつつも
大好きな一曲「その名前を」で一気に個人的なテンションが上昇
琴線を思いっきり揺さぶられながら、思ってた以上にライブ映えする「シルエット」は
普段のロストとは違って妖艶な色気が出ていて是非リリースツアー以降も演奏して欲しいな、と(笑)。

新代田のライブで号泣してしまった「バードコール」はこの日も最高でした
こんなにも素直に勇気をもらえる曲って中々ないから
その意味でも心に残った演奏、
言葉の難しさと喜びを歌った「合い言葉」にしみじみと浸りつつ、またも大好きな名曲「所在なき歌」に突入!
この曲は醜い姿を他人に晒す怖さや苦痛を描いてる楽曲なだけにガツンと響いてくれて感激
「醜態もさらさぬまま」というフレーズはいつ聴いても考えさせられます。
こういうエモーショナルで重たい曲も好みなんですよね。

これもまた生で聴いたらビックリするほど良かった「30」、
カラフルなギターフレーズに身を任せてるだけでも気持ちの良い一曲でした
軽やかなメロディに乗せて「もがき続ける30」って歌詞が飛び込んでくるのが何とも素敵ですね。
最近良く口ずさむ楽曲の一つです。

新譜からの曲はどれもみずみずしい輝きを放ってて確実に良いカンフル剤になってたと思う
「解かり合えるだなんて所詮綺麗事で」というフレーズが個人的に好みな「雨の降る夜」、
海北さんらしからぬメジャー感溢れるメロディはやっぱり新鮮で
一色さん本当に良い仕事したな、と
海北さんのメロディって大体憂いを帯びてて渋めなのでここまでキラッキラのは珍しいんですよね(笑
アクセントという意味でも活躍してくれた小気味良い一曲でした。


源ちゃんのドラムソロ(迫力満点)から、「30って曲もあるけど、26って曲もあるんですよ」と
シンガロングに相応しい名曲「26」を披露した後はこれまた本当にツボだった「勲章と傷」、
この曲は定番になって欲しいくらいお気に入りだったので久々に聴けて嬉しかったし
去年のシネマとの対バン以来に聴いた「スピンオフ」は所々巻き舌になってて迫力が凄かった(笑
最後若干から回りもしてたんだけど、それも含めて衝撃的なワンアクトでした
というか海北さんの巻き舌めっちゃ格好良かった。

「ココロノウタ」「希望」とアンセム2連発の後にここ最近演ってくれるようになった「旅立ち前夜」、
この曲は1月のワンマンよりも歌の精度が良くて純粋に興奮してしまったパートでした
本編最後は「最後の頁」で終了
「何度も打ってきた句読点」というフレーズが若干切なかったけど
最後は希望を伝えるフレーズにていつもより長尺だったライブは無事終了

いつも以上に前のめりでエネルギッシュなライブでしたが
それに加え前作のダークな楽曲を沢山盛り込んで来ているあたり
まだまだ落ちつかない、煮え切らない感情も出していくぞという気概が感じられて
足掻き続ける意思が垣間見れて、そこが一番の収穫だったなと思います
物分りの良い大人にならない意思表示というのは
長年のリスナー的には非常に良かった
この先生まれる新たな足掻きにも個人的に大いに期待しています
初めての千葉ルックのワンマン、感じる事が多くてとっても印象に残った一夜に仕上がりました。


アンコールでは「翼」「列車」「手紙」と往年の名曲がズラリ、
ダブルアンコールで「ハローイエロー」も披露と磐石の盛り上がりにして幕引き
いつもよりMC控えめだった分楽曲に全部を込めていた熱量たっぷりのワンマンライブで
これはこれでまた今年1月の新代田の名演と違った味わいがあって良かったですね
ツアーはまだ続くので出来ればもう一度参加したいです。








セトリ
1.Over
2.約束
3.花
4.誰かはいらない
5.その名前を
6.シルエット
7.バードコール
8.合い言葉
9.所在なき歌
10.30
11.雨が降る夜
12.26
13.勲章と傷
14.スピンオフ
15.ココロノウタ
16.希望
17.旅立ち前夜
18.最後の頁
encore
19.翼
20.列車
21.手紙
encore2
22.ハローイエロー









会場限定でドキュメントDVDも売ってたので購入したんですが
去年のライブの映像が盛り沢山で割とライブ寄りのDVDであったと感じましたね
それ以外は休日のオフショットだとか軽いインタビュー映像
移動の様子等
あんまり裏側目当てで買うのには適してはいないDVDですが
その分聴き手に対する愛情だったりサービスが沢山詰まってるので
とにかく行ってない地方公演の映像だったりバンドの気持ちを垣間見るにはうってつけのアイテムでした

中でも「北沢タウンホール」の映像は特に多くて半分くらいこれだったんですが
音もクリアに録れてるし演奏自体も素晴らしいのでそれを堪能するだけでも価値がある作品ですかね
特に「忘れもの」「キャラバン」「やっと言えた言葉」あたりは絶品レベルであったので
その意味でも貴重なホール公演の記録として、是非。

それとオーディオコメンタリーがやっぱり面白い(笑)。
2時間収録ですがコメンタリーのお陰で4時間分は楽しめたのもお得感あって良かった
名古屋のトリプルアンコールの感動的な様子だったり、前バンドの楽曲の演奏なんかも見れたり
また一つロストを好きになれるような楽しく味わい深い映像集でした。





咲-Saki- 11巻/小林立

2013-04-25 14:16:53 | 漫画(新作)



















小林立「咲-Saki-」11巻読了。














全国大会の2回戦も無事に終わった訳なんですが
県大会の決勝と比べてそこまで話数使ってないのにも関わらず個々の高校がきっちりと印象に残る塩梅
それはなぜなんだろう?って思ったら多分アフターケアがしっかりしてるから・・・だと思いました
最後は咲の華麗な覚醒と姫松の伏兵っぷりが試合を盛り上げたイメージなんですが
それはそれで面白くはあったんですが
そういう駆け引きや転々とする状況描写の楽しさに加えて
安易に噛ませにしない丁寧さとキャラを大切に扱う姿勢が伝わって来たからこそ
最終的に改めて「良い試合だった」と感じる事が出来るその驚くくらいの爽快感が何とも素敵だなあ、と

咲は相変わらずの鬼っぷりでしたが水面下では苦戦していたという事実が面白かったし
姫松は姫松で勝ち上がった喜び以上に悔しさに燃える描写で熱さを感じる事が出来た
永水が個人的に勝ち上がると思ってたから敗退は意外だったし、
でもそれもちゃんと噛ませ犬だった~、ってならない負けた理由が克明に提示されてるあたり
負けても一目を置ける選手達・・・というのが使い捨てでない良さを感じたり
負けたからってめちゃめちゃ差があるわけでもなく
結果的にはほぼ全員その実力に尊敬出来る塩梅の素晴らしさ・・・を今回も往々にして感じました
なまじ話数に関しては県大会決勝よりも少なめだった分その利点はいつも以上に感じられましたかね
試合自体も相応に面白い仕上がりだったんですが
その後のアフターケアだったり今後の更なる絶頂に向けての布石がより面白く感じられた巻だったかなと
やっぱり「咲」の面白さや存在感は唯一無二だなあ、と改めて思えた新刊でした。
唯一最後にはほぼ見せ場がなくなってた宮守に関しても
負けたからこそのさり気ないドラマが添加されてたりしてそれもまた心に残るエピソードで良い
海に行く予定だとか、個人戦だとか使い捨てる気が全く無いその姿勢も心地良いなって思いましたね。
スピード感やハッタリの効き具合に加えてそういった周辺事情も楽しい内容になってるので
試合だけでなくキャラ間のドラマも楽しんで欲しいな、と
主人公の高校だけが贔屓されてる感じもしないのでその意味じゃ均等に感情移入出来るバランスが
より熱血部活漫画として優れてきたなってまじまじと感じられた11巻目でした。


しかし、そこはやっぱり主役の高校ですから後半は彼女らに関わるお話が中心でしたね
まずはなんといっても遂にその姿を本編にも表した阿知賀女子の面々の描写に感動しました
外伝に触れてた最大の目的として本編に還元されることを見越してた事があるんですが
その期待通りに熱い展開への予見が際立って来てワクワク感あるなと
彼女らの努力や健闘の数々も見守ってきたつもりなので
その意味じゃ今からぶつかり合う展開が至極楽しみで仕方ないですね
やっぱり外伝の存在は本編にとっても意義のあるものなんだな、と思えたのが個人的に良かった
その時を待望しつつ外伝に真剣に触れておくのも良いかもしれないなあと少し
幼少時の描写含めて阿知賀との友情を感じさせる流れが心地良い後半

それに加えて咲の過去描写もちょっとずつちょっとずつ顔を出してきました
あの頃居た友人の描写だったり、壮絶さを感じさせる過去のカットの数々だったり
姉の存在に畏怖する姿だったり・・・
いつもは不敵な咲だけにそんな繊細な描写の数々もハッタリが効いてて面白かったんですが
その分来るべき真相解明や激突が更に楽しみになったドキドキも得られて
その意味じゃ決着と同時に布石も大きな巻であったかなと
卓上では勇ましい彼女も
離れれば意外にか弱い一面も垣間見せてくれたりして
だからこそ、底力のぶつかり合いの予感に気分が高まってしまうような
和と咲共に清澄のメインとしてしっかりと盛り上がってく要因を用意してくれてるのが頼もしくもあって
準決勝で新たに戦う強豪二校の描写含めて正に待ちきれないクオリティの新刊に仕上がったと思う
相変わらず県大会で共に戦った面々の出番もあるあたり抜け目のなさも感じられましたね。


あと改めて思ったんですが、この漫画は極端にグラマラスな女性が多いですね
キャラが増えたことによってどのページを捲ってもグラマー描写連発なものですから
視覚的にも気分が良いというか・・・
その辺は小気味いいハッタリ描写の延長線上なんですかね(笑
キャラ自体も使い捨ててない上にどんどん増加の一途なんで美少女キャラのコマ率もどんどん上がってきて
意外性のあるストーリーと共に美少女漫画としても更に強化されてきた印象の11巻目
その様子はある意味異常でもあるんですけど(笑)。
ただ、狂ってるのがこの漫画の長所の一部でもあると思うのでその意味じゃとことんまでらしいですね
そんなキラキラしてる美少女軍団を眺めてるだけでもほんわかした気分になれるコミックス
少年誌的熱さと美少女漫画的軽さが同居してるそのセンスはやはり凄いなと感じれた
まだまだ絶頂を目指す気概に溢れた一冊でした
とりわけ今回は前述のようにアフターケアの秀逸さが光ってたように思えた新鮮さもプラスで。
永水のみんなもまだこれからだと思うから頑張って欲しいですね
特に神代さんは好きなキャラなので期待してます(笑











どんどんと熱を帯びていく様子が気持ち良かった決着と布石の新刊
姫松のリベンジや新たな二校の実力、阿知賀との再逅の予感や照との激突の期待も含めて
大いにワクワクを寄せられた一年ぶりの現状報告でした。
あいかわらず我が道を往く姿勢が素敵ですね。まだまだ魅せられるつもり。



Shout to the Walls!/NICO Touches the Walls

2013-04-25 06:26:56 | 音楽
















最大級を望んだあげく 最低限ができんアホタレ (アビダルマ)














NICO Touches the Walls1年半ぶりのニューアルバムを聴いたんですが
正直傑作だと思いました
聴いてる間常にニヤニヤが止まらなかったです(笑
割と前作がジャンルの網羅的なアルバムだったからか、この作品は非常に衝動的な作風になってて
あまりバランスとか緩急とか考えずにとにかくグイグイと鳴ってる感触があって
それがまたここまで来ると新鮮というか
メジャーになってからは大体最低限のバランスを考えて作った作品が多かったので
その意味じゃメジャーのエッセンスを保ったままインディーのテンションに戻った作品だとも言える
それが多分壁のバンドに戻ったという発言の真意なんじゃないかなあ、と
それまでは様々なジャンルの楽曲を丁寧に料理してしてきて
勢いのある若手という印象以上に個人的には職人的な良さをずっとNICOには感じてきたんだけど
今回は敢えて初期のようなジャンクな格好良さを追求しているという感じ
それによってパワフルさだったり
エネルギッシュなテイストが際立っていて
ある意味二枚目のファーストアルバムだと形容する事も出来るような、
そういう作品だってのが個人的な結論ですかね
やっぱり「HUMANIA」というアルバムはあの時点でNICOの金字塔だったんだ、というのも再確認しました
器用なバンドと言うパブリックイメージをぶち壊すくらい荒々しいアルバムに仕上がってますが
その実「夏の大三角形」「アルペジオ」等で
きっちりポップサイドのファンへのアプローチも怠ってないのがまた抜け目ない作品
突き抜けた、振り切れたという言葉がこれ以上無いくらい似合う各々を完全にイカせ切った明らかな新境地
1stが既にベテラン臭漂う磐石の作品だっただけに
このキャリアでこういうふてぶてしいアルバムを出すって選択肢が何より素晴らしいですね
職人のNICOのアルバムも勿論傑作揃いですが、こういう尖っててバランス無視のアルバムもこれでいいものです
そんなNICOの原点部分が新たに磨き上げられて堂々と鳴っている・・・そんな作品だと思います。

それにしても、NICOの書く曲って「欠かさずイイ」んですよね
どの曲も聴き手がしっかりと納得出来るクオリティで何かを感じられるように鳴らされてる
所謂無味無臭な曲が殆どないあたり、その安定感はもっと評価されるべきだと常々思ってます
今作はそれに加えて古村作詞作曲の光村曲「トマト」を彷彿させる「アルペジオ」だったり
古村坂倉共作のNICOらしさを体現した名曲「チェインリアクション」、
更には対馬作詞の「紅い爪」が収録されてるあたり
正にNICOそのものというか、全員の血が注がれてる事もあって原点を感じさせる作品になってるかなと
まあ元々光村曲しかなかったから原点って言い方もどうかな、とは思いますけど
でもそういった核の部分がたくさん詰まってるアルバムな気はしてて
身に付けたテクニックや迫力はそのままに
もう一度初心に立ち返って鳴らされたような・・・そういうみずみずしいアルバムでもあります
中でも古村曲「アルペジオ」は明確に前作「夕立マーチ」と比べて詞が良くなってるのが素晴らしいですね
前作はもっと初々しかったと思うんだけど(笑
そういう個々のメンバーの作詞作曲家としての成長を見守るのも楽しくなってきた
最初からある程度完成されてた年齢不相応なバンドだっただけに成長的な要素が入って来たのは面白い
安定を一旦ぶち壊して、もう一度壁を突き破って暴れてやる、といった気概が感じられる
野心の高いハイクオリティなロックアルバムに仕上がってると思います
既にこの作品だけでも傑作だとは思うんですが
ここからまたどんな足掻きやもがきを聴かせてくれるのか、を考えるとまだまだ越えて来そうですね
成熟の季節を終えてもう一度初期衝動の季節に戻って来たNICOの名刺代わりの一枚
聴く価値は十分にあるのでロックバンドが好きなら是非聴いて欲しいですね
またもや一歩抜きん出たアルバムを作ってくれた印象でファンとしても嬉しくなるようなアルバムでした。


好きな曲はほぼ全部(笑)なんですが
敢えて提示するなら情景が聴いてる間じゅうずっと思い浮かぶ「夏の大三角形」、
激濃ゆいぶっきらぼうなロックンロール「アビダルマ」、
勢いが激しい割にメロディが繊細にも感じる「ストロベリーガール」は新曲の中でも特に推し
シングル時は表題曲以上に中毒性が強かったリフ主体のロックの気持ち良さに溢れた「チェインリアクション」、
堅実な楽曲の良さと味わいが光ってる「ランナー」は音もガサガサで良い
古村くんの作詞能力がグンと上がったように思える「アルペジオ」に
爽やかなアレンジと曲調なのに詞と歌はグイグイ迫ってくる「Mr.ECHO」の耳に残る感もまた素敵
四方八方に飛び散ってる印象であまり統一感に関して言えば今までよりも劣ってるのは確実ですが
その分各々に振り切れた楽曲群の差異を楽しめるのはこのアルバムが一番だと思う
激しい曲はとことんラフに
ポップな曲は職人魂を見せつけしっかりと馴染みよく聴かせる
そういったNICOならではの中途半端ではないコーティングセンスは健在でした
割と色々なジャンルに手を出してる事から中途半端というイメージもあるとは思いますが
彼らの場合はその中途半端さが最大の武器になってるイメージですかね
要はどんな曲をやらせても強い、という
その調理自体はどれもこれも本気なのが強み、というのがよく分かる楽曲群になっているかと
また大好きだと思える楽曲がたくさん増えて個人的に嬉しかったです。
新しい傑作に、拍手。












でも一番好きなのはやっぱ「夢1号」ですかね(笑
この曲の持っているどうしようもないルサンチマンのエネルギーに適う曲は中々ない
「夏の大三角形」「Mr.ECHO」に比べたらそこまで派手な印象もありませんが
純粋に楽曲の質で考えたら今まででも随一のナンバーだと思う
こういう弱者を照らしてくれる曲が心から好きです。
またライブで聴きたいなあ。





街の14景/the band apart

2013-04-24 22:11:26 | 音楽














クソがいくら着飾っても クソはクソでしかない (ARENNYAで待ってる)















2年ぶりのフルアルバム。
まずタイトルが日本語で曲の殆ども日本語タイトルな時点で「ああ」って思ったんですが
全部日本語詞のアルバムですね それ故に最初通して聴いた時は違和感があったんですけど
同時に不思議な新しさもあったというか・・・
気が付けば何度もリピートしてしまう、中毒性に富んだアルバムです。
今までのような有無を言わせない圧倒的な格好良さが備わっている訳ではないけど
でもアルバム全体に漂う感情の一番底の部分をずっと辿られてるような奇妙な統一感だったり
今にも消え入りそうな儚さが感じられる雰囲気や作詞のセンスだったり
間違いなくこのアルバムでしか聴けない味があって
それが聴きたくてまた手を出してしまう、
私にとってはそういうアルバムですねえ、これは。

バンアパのアルバムって大体圧倒的なキラーチューンがいくつかあって
その隙間を縫うように実験的な曲だったりバラッドが配置されてるパターンが多いと思うんですけど
それ故に完成度は抜群に高くても統一感を求めるのは違うかな、って印象もあったりして
その意味だと初めてといってもいいくらい統一感に優れたアルバムですね
3rdも中々統一感ありましたけど
このアルバムは全部が数珠繋ぎで鳴ってる印象もあるので過去最高にその傾向が強いです
それが何を意味するのかというと、曲によっての差異があんまりないので
通して聴くには一番気持ち良いくらい流れで聴ける
1時間以上あるんですけど
そう感じさせないくらいにサッパリと聴ける緩急もあったりして
多分今まででも最もアルバム然としたアルバムなんじゃないか、と思います
こういうコンセプチュアルな作品もバンドには一枚は必要だと思うのでその意味じゃ良いタイミングかな、と
全体的にクールでポップな曲が多いのも合わさって驚くくらい素直に浸れるアルバムになってるかと


それでいて、方向性は全然違うアルバムでいて
サウンドアプローチやアンサンブルの繊細さ、メロディラインの美しさは悲しいくらいバンアパなんですよね
だから余計に不思議な感じがするというか(笑 いつものようにパワフルなわけじゃない
スカッとする爽快感も少ない
何よりオシャレな英詞でもないのに
聴こえてくるのは王道を感じさせるバンアパそのものな訳ですから
聴いてて感じられる「新しさ」はそりゃあもう半端ではなかったです
それでいて一曲一曲の仕上がりが非常に丁寧なのでいつまでも聴けるし、
ポップソングやシティポップをバンアパのフィルターを通して磨き上げてる感じもするし
だけど根底に流れるオシャレ感は健在だったりもする

だから、変わったのはスタイルとコンセプトだけでバンドそのものは全然変わってない作品だとも言える
前作が集大成的な傑作だったからこそ次は新しい音像に向かったんだろうし
所謂「新境地」とか「新機軸」を味わうには抜群のアルバム、
っていうのが最終的な結論ですかね
何よりも長年のファン的にも面白い作品というか
単なる亜種とかじゃなくこの作品ならではのブルースを感じる事が出来たのも大きかった
最初はやや戸惑いましたが、多分純粋に聴けば聴くほど面白味が良く伝わって来るアルバムだと思う
入門に相応しいのは前作だと思いますが
そこからの発展を味わうならば間違いなくこの作品ですね
ミニマムでクールなトラックが散々味わえる新しい音楽探求の一歩である「街の14景」、
恐らくは賛否両論になるとは思いますが、デビューアルバムからのファンとしては肯定したい
どころか多分いつまでも聴けるような心地良い温度のアルバムだと思いましたね
ある意味オルタナ的な要素も感じるくらいに素晴らしい作品でした
聴きこむのも楽しそうな不思議な力作です。


個々の曲で特に好きなのはバンアパらしからぬ重たいサウンドを提示した「いつかの」
アルバムでは唯一キラーチューンと呼べる盛り上がり必死の激繊細なロック「ノード」
愛憎溢れる「仇になっても」の雰囲気も素敵だし
オシャレなポップソング「夜の向こうへ」や
キャッチーなリズムが心地良い「12月の」、
バンアパとは思えないほど堂々たる美メロポップ「明日を知らない」
淡々としたサウンドスケープが絶妙な「泳ぐ針」、詞が男らしい「ARENNYAで待ってる」も好きだし
バンアパらしいスピード感が良く出てる「アウトサイダー」もお気に入り
ラストだけはややおとなしめかな、と思いつつも
結果的には個々の楽曲も好きな曲だらけになってしまった実りの多いアルバムになったと思います
聴き込めば聴き込むほどこの温度が癖になってくるのでその意味でも聴き込み推奨
それもあって今までとは全く違うアルバムとして愛せると思います
個人的には、傑作と言っても差し支えないと感じます。
それくらいファンとして面白い作品でした。










バンアパは何だかんだいいつつ基本的には明るめのバンドだったと思いますけど
(ことサウンドと歌に関してはね)
このアルバムで初めて憂いだったり儚げな情緒を表現出来るバンドにもなれたと思います
元々そういうのが好きだったのと
その化学反応がとにかく新鮮で好きになれた、新しい成果を堪能出来るアルバムに仕上がったかなと
また一つ愛聴盤が増えてバンアパの作品に外れなしという事を改めて実感出来ました。
過去作も含めてまた彼らのオリジナリティにハマるのが非常に楽しいです。




俺の妹がこんなに可愛いわけがない。(第2期) 第3話「俺の友達が眼鏡を外すわけがない」 感想

2013-04-23 05:36:14 | 俺の妹がこんなに可愛いわけがない













繰り返し観てたらちょっと泣けてきた・・・。














沙織めちゃめちゃ可愛いじゃねえか!
ってこのエピソードは原作でも好きなエピソードだったので特に期待してたのでした
そしたら思ってた以上に感動出来た自分がいたのもまた嬉しかったです
沙織が失ったものと
沙織が手にしたもの
その両方が同時に提示されてた事で彼女の成長が如実に伝わって来る名エピソードだったかな、と

沙織はきっといつだって自由奔放でポンポンと成果を手にして行く姉が羨ましかった
心のどこかではやっぱりある程度の尊敬は抱いていたと思うんですけど
同時にどうしようもない劣等感も抱えていて
多分あのままずっと甘やかされたままだったらここまで育つ事もなかったんじゃないかと
放任主義・・・とはまた違うとは思いますけど
結局お姉さんのおこぼれを預かってる状態のままなのは事実な訳で
今度はその経験を糧に沙織ならではの友人を探して欲しかったんじゃないかなって
まあ実際性格の問題もあったんでしょうけど
でも結果を見れば姉さんの取った行動は間違ってないのは火を見るより明らか
何だかんだいって沙織はその「突き放し」も含めて姉の恩恵を受けていたって話なんですよね。
さり気なく誕生日も覚えてくれてるあたり本当は大好きな妹なんでしょう
それを観た沙織の反応もまた可愛かったけどね(笑

それにしても、なんで終始涙腺が揺さぶられたんだろう?って思うと
やっぱり沙織の悲しみや悔しさが伝わって来たからなんだろうな、と個人的には
姉に対する劣等感や姉のようにはなれない寂しい気持ち
崩れる泥船を救えない無力感だったり、
だからこそ少しでも愛憎溢れる姉に近づいたいという必死で懸命な想い・・・
ある意味少年漫画のような絶望から這い上がる力を見せてもらったからこそ目頭が熱くなったのかも
登場人物の感情が流れ込んでくるような雰囲気作りや演出の妙が素敵な傑作回でした
前回のあやせもそうですけど、2期はサブキャラの爆上げが半端じゃないですな~(笑)。
多分この3話観た人みんな沙織の事もっと好きになったのでは・・・
そう思わざるを得ない
悲しみと結実を両方感じさせてくれた素晴らしい回でした
あのメガネは単なるギャグでなく先人から貰った勝負アイテムだったんですね
まあこれも原作読んで知ってますけど、でも改めて深みがあるなあ・・・とつくづく
素顔じゃ余りに恥ずかしいからああいう姿でないとダメだったんですね
彼女もまた奥深いキャラとして描かれてて大満足でした。


沙織とお姉さんの関係性というのはある意味では桐乃と京介の関係性にも似てるな、と少し
桐乃と京介もとある出来事があって仲が悪くなり疎遠状態になったわけですが
結局は桐乃は京介を尊敬していて
京介もまた桐乃に対しての愛情は最低限持っていた
沙織は姉さんの事を恨みつつも、でも心の中ではやっぱり尊敬や生き方に対する憧れは消えず
彼女と同じサークル集めの道を選択したわけで、嫌いになりきれない部分が似ている
お姉さんもまた突き放す部分はあれど誕生日を祝いに来る愛情は残ってたり
そういう「きょうだい」というものの本質というか、
どこかで人生に羨望を抱いたりどこかで最低限の愛情が垣間見れたり・・・というのは
案外リアルな描き方なのかもしれないですね

そんな沙織とお姉さんの関係性もね、これはこれで悪くないんじゃないかと
そういう風にも感じられた最高に気持ちの良いオチで締め括られた超お気に入りの回に仕上がりました
これまでの散々な苦労と苦心が描かれてたからこそ最後のドヤ顔に思い切り感動が出来る
本当に素晴らしい回だったと思います
沙織ってキャラの素晴らしさがまた一つ理解出来て良かった。
原作既読者としても太鼓判を押せる納得の第3話でしたね。面白かった。


しかし、今週の沙織は見た目的にもめちゃくちゃ可愛くて視覚的にも大満足でしたね(笑
男の人の前できゃあと赤くなって必死で顔を隠すシーンだったり
冒頭や後半の京介達に顔を見られてのリアクションだったり
おしとやかな大和撫子っぷりだったり
本当に嫁にしたいレベルで可愛くてここまでの破壊力を演出出来る力量にも驚きました
また普段が普段だからなあ・・・(笑 ギャップで可愛さを生み出す手法としては最高峰でしたね
でもそういう可愛さと美人さ演出はあくまで味付けであって
根本であるストーリー性が一番印象に残ったのがやっぱり素敵でした
「俺妹」は素直に胸が熱くなってそれでいてキャラの可愛さも十二分に堪能出来る
そういう優れたドラマ作品って本質を体現してくれた2期3話でしたね。
確かな感動をありがとう。










2話の感想も同時に書き下ろしたのでよろしければどうぞ
2話3話と個人的に相当の傑作回が続いた印象なのでこの先を観るのも楽しみです
俺妹のラッピング車両の写真もUPしたのでそちらも。

ついでに作画はより磨き上げられた印象がしてますね
キャラの顔が更に丸っこくなって柔らかそうで良い感じです。
やっぱり俺妹の素直に感動出来る部分が大好きだ。