超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

Shout to the Walls!/NICO Touches the Walls

2013-04-25 06:26:56 | 音楽
















最大級を望んだあげく 最低限ができんアホタレ (アビダルマ)














NICO Touches the Walls1年半ぶりのニューアルバムを聴いたんですが
正直傑作だと思いました
聴いてる間常にニヤニヤが止まらなかったです(笑
割と前作がジャンルの網羅的なアルバムだったからか、この作品は非常に衝動的な作風になってて
あまりバランスとか緩急とか考えずにとにかくグイグイと鳴ってる感触があって
それがまたここまで来ると新鮮というか
メジャーになってからは大体最低限のバランスを考えて作った作品が多かったので
その意味じゃメジャーのエッセンスを保ったままインディーのテンションに戻った作品だとも言える
それが多分壁のバンドに戻ったという発言の真意なんじゃないかなあ、と
それまでは様々なジャンルの楽曲を丁寧に料理してしてきて
勢いのある若手という印象以上に個人的には職人的な良さをずっとNICOには感じてきたんだけど
今回は敢えて初期のようなジャンクな格好良さを追求しているという感じ
それによってパワフルさだったり
エネルギッシュなテイストが際立っていて
ある意味二枚目のファーストアルバムだと形容する事も出来るような、
そういう作品だってのが個人的な結論ですかね
やっぱり「HUMANIA」というアルバムはあの時点でNICOの金字塔だったんだ、というのも再確認しました
器用なバンドと言うパブリックイメージをぶち壊すくらい荒々しいアルバムに仕上がってますが
その実「夏の大三角形」「アルペジオ」等で
きっちりポップサイドのファンへのアプローチも怠ってないのがまた抜け目ない作品
突き抜けた、振り切れたという言葉がこれ以上無いくらい似合う各々を完全にイカせ切った明らかな新境地
1stが既にベテラン臭漂う磐石の作品だっただけに
このキャリアでこういうふてぶてしいアルバムを出すって選択肢が何より素晴らしいですね
職人のNICOのアルバムも勿論傑作揃いですが、こういう尖っててバランス無視のアルバムもこれでいいものです
そんなNICOの原点部分が新たに磨き上げられて堂々と鳴っている・・・そんな作品だと思います。

それにしても、NICOの書く曲って「欠かさずイイ」んですよね
どの曲も聴き手がしっかりと納得出来るクオリティで何かを感じられるように鳴らされてる
所謂無味無臭な曲が殆どないあたり、その安定感はもっと評価されるべきだと常々思ってます
今作はそれに加えて古村作詞作曲の光村曲「トマト」を彷彿させる「アルペジオ」だったり
古村坂倉共作のNICOらしさを体現した名曲「チェインリアクション」、
更には対馬作詞の「紅い爪」が収録されてるあたり
正にNICOそのものというか、全員の血が注がれてる事もあって原点を感じさせる作品になってるかなと
まあ元々光村曲しかなかったから原点って言い方もどうかな、とは思いますけど
でもそういった核の部分がたくさん詰まってるアルバムな気はしてて
身に付けたテクニックや迫力はそのままに
もう一度初心に立ち返って鳴らされたような・・・そういうみずみずしいアルバムでもあります
中でも古村曲「アルペジオ」は明確に前作「夕立マーチ」と比べて詞が良くなってるのが素晴らしいですね
前作はもっと初々しかったと思うんだけど(笑
そういう個々のメンバーの作詞作曲家としての成長を見守るのも楽しくなってきた
最初からある程度完成されてた年齢不相応なバンドだっただけに成長的な要素が入って来たのは面白い
安定を一旦ぶち壊して、もう一度壁を突き破って暴れてやる、といった気概が感じられる
野心の高いハイクオリティなロックアルバムに仕上がってると思います
既にこの作品だけでも傑作だとは思うんですが
ここからまたどんな足掻きやもがきを聴かせてくれるのか、を考えるとまだまだ越えて来そうですね
成熟の季節を終えてもう一度初期衝動の季節に戻って来たNICOの名刺代わりの一枚
聴く価値は十分にあるのでロックバンドが好きなら是非聴いて欲しいですね
またもや一歩抜きん出たアルバムを作ってくれた印象でファンとしても嬉しくなるようなアルバムでした。


好きな曲はほぼ全部(笑)なんですが
敢えて提示するなら情景が聴いてる間じゅうずっと思い浮かぶ「夏の大三角形」、
激濃ゆいぶっきらぼうなロックンロール「アビダルマ」、
勢いが激しい割にメロディが繊細にも感じる「ストロベリーガール」は新曲の中でも特に推し
シングル時は表題曲以上に中毒性が強かったリフ主体のロックの気持ち良さに溢れた「チェインリアクション」、
堅実な楽曲の良さと味わいが光ってる「ランナー」は音もガサガサで良い
古村くんの作詞能力がグンと上がったように思える「アルペジオ」に
爽やかなアレンジと曲調なのに詞と歌はグイグイ迫ってくる「Mr.ECHO」の耳に残る感もまた素敵
四方八方に飛び散ってる印象であまり統一感に関して言えば今までよりも劣ってるのは確実ですが
その分各々に振り切れた楽曲群の差異を楽しめるのはこのアルバムが一番だと思う
激しい曲はとことんラフに
ポップな曲は職人魂を見せつけしっかりと馴染みよく聴かせる
そういったNICOならではの中途半端ではないコーティングセンスは健在でした
割と色々なジャンルに手を出してる事から中途半端というイメージもあるとは思いますが
彼らの場合はその中途半端さが最大の武器になってるイメージですかね
要はどんな曲をやらせても強い、という
その調理自体はどれもこれも本気なのが強み、というのがよく分かる楽曲群になっているかと
また大好きだと思える楽曲がたくさん増えて個人的に嬉しかったです。
新しい傑作に、拍手。












でも一番好きなのはやっぱ「夢1号」ですかね(笑
この曲の持っているどうしようもないルサンチマンのエネルギーに適う曲は中々ない
「夏の大三角形」「Mr.ECHO」に比べたらそこまで派手な印象もありませんが
純粋に楽曲の質で考えたら今まででも随一のナンバーだと思う
こういう弱者を照らしてくれる曲が心から好きです。
またライブで聴きたいなあ。






最新の画像もっと見る

コメントを投稿