超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

食戟のソーマ 1巻/附田祐斗・佐伯俊

2013-04-04 17:56:30 | 漫画(新作)
















附田祐斗・佐伯俊「食戟のソーマ」1巻読了。














改めて単行本で読んでみると「あっ、こういうの新鮮だなあ」とはっきりと思えた点が一つあって
それは主人公の創真の性格・・・ですね 
物凄く不敵で謙虚さの欠けらもない人物なんですけど
ふと気が付けばここまで振り切れて自信満々なキャラ、それも主人公の漫画に触れるのは久々だなあ、と
特にことジャンプ作品に於いてはね。
最近の新連載の主人公は往々にしてナイーブな内面の連中が多かったので
ここまで自分のやってる事ややってきた事に誇りを堂々とかざせる創真というキャラがとにかく至極痛快で
彼が創意工夫で成り上がっていく姿を見ていくだけで非常に面白い作品だなって
当時から評価は高めに設定していた漫画ですが
通して読むと抜群にスカッとする作風だというのをまじまじと感じられて
更に好きになれた気がします
最近はやたら謙虚だったり、やれやれ系の主人公の作品が目に付くようになって来たので
その意味でも創真のような熱血漢で自分への誇りに曇りのないキャラって実は貴重なんじゃないかと思う
その強さにも説得力は付随してるし、エリートをバッサバッサと倒していく姿は頼もしいし、
彼が主役を張っている~ってだけでも安心して読める類の作品だと思います

創真ってビックリするくらいウジウジした一面が見受けられないんですよね
常に自信満々だし、プライドに疑いはないし、失敗からきちんと学ぶ姿勢も尊敬出来るし
簡単に慌てない、ブレない芯の強さも見ていて非常に気持ちが良く
それはまるで古き良き少年漫画の型を思わせる作風で
その意味では昔ながらの王道をきれいに現代に復刻させた作品・・・だと言えるのかもしれません
通して読むとあまりの湿り気の無さに驚くんですけど、
その真っ向からスカッと出来るシンプルな作風こそこの漫画の個性であり武器なのだと思う
勿論ウジウジもリアルな心情の一つなのでそれもまた描くべき一面だと思いますが
そればっかでも画一的に見えるのも事実なので
ここまでカラッと乾いた元気な王道作品をまたWJで読める・・・ってだけで個人的には嬉しいです
思えば「少年疾駆」でも主人公は不敵でライバルはスカしたエリートだったので
その良い意味で分かりやすい構図が附田さんの武器なのかもしれないですね
絵柄が美麗だとか
リアクションがユニーク、という事実以上に
この創真って主人公の不敵っぷりと有限実行っぷりの格好良さが最も印象に残った1巻目でした
ここまで志が高くガツガツ進んでいく肉食系の主人公も今となっては珍しい
草食系が流行る中でこういう主人公の価値をもう一度問いかけしっかりと根付かせた手腕が見事ですね
既に本誌では3週連続カラーだとか高い人気を誇っているのでこれ以上の成り上がりにも期待出来そう。
本気で期待出来そうなWJ新作の一つ・・・ですね
中途退場の心配は今の所ほぼ無用なので、その意味でもお気軽に是非
古き良き少年漫画の王道がしっかりと味わえる秀作でした。


また、この漫画の良い部分の一つとして最初から目標が明確なのがあります
まず「親父を越える」という超王道の目標があって
その為に学園で修行するだとか
最終的にはえりなをギャフンと言わせることだとか
話の構造がとてもシンプルで読んでて不安がないのが凄くいいなあ、と
例えば目標が不明瞭だったり曖昧だと燃えるのにとても時間が掛かったりしますけど
この漫画は最初から目に見える目標とゴール地点を提示してる為に
読者としても作品に対する迷いがなく
何の心配もなく成り上がりっぷりを見て楽しめる安心感と痛快さが宿ってるなと感じますね
それは複雑になりすぎたここ最近の少年漫画に対するある種の投げかけのようにも思えます

そう考えると、絵柄は今時で若者風?だとは思いますが
案外古くからの少年漫画読者にも通じる類の作品なのかなあ、と
このシンプルさと痛快さは中々貴重ですし
一周回って昔からの王道が帰ってきたような感覚すら受けられます
そういう読んでいて後腐れが一切無い手際と配慮・・・にも面白味を感じた今作
改めて単行本で読むと結構最初の内から複線が多々撒かれてるし
失敗をちゃんと成功の元にしてきたからこその創真の強さにもちゃんと説得力を感じる事が出来たので
本誌で軽く読んでた方にも是非、ってところですね
えりなと創真の関係性にも「含み」が感じられてそこも良かったと思います
きっと彼女が「自分の料理のすべてを捧げたいと思うような」女性に変化していくんでしょう
その辺も含めて読み応えと期待に満ちた抜群の1巻目に仕上がっていたと感じました
田所ちゃんの成長も含めて今後の展開も楽しみです!
ごちそうさまでした。


あと、掲載時このブログでも絶賛した「読切版」も収録されています
連載での創真も無敵感はありますが、読切での創真はそもそも親父描写が一切ないので
正に無敵そのもの(笑)で、その違いを見比べるのも面白いかなあ、と
読切版も非常に完成度が高い仕上がりになってるので
これも是非、って感じですね
この卵かけご飯は本気で旨そうなんだよなあ・・・(笑
連載でもこれを超えるほど旨そうな料理がこの後ちょいちょい登場するのでお楽しみに・・・って所ですね

それとおまけ漫画、しかも本格作画で5ページも載ってるのがまた更に嬉しいですね
こちらは1話以降全く出番がない幼なじみの女の子が主役の作品
サービスシーンに加えて
淡い恋心・・・も少々垣間見れる内容になってるので意外と無味無臭なおまけになってないのが良い
それに、ある意味本編の補填とも取れますしね。本誌読者にも楽しい仕様沢山の1巻目でした。

あまり触れませんでしたが、
過剰なリアクションはいかにも少年誌らしいハッタリが効いてて最高ですし
絵の美麗さも読んでてため息がでるくらいに素晴らしいものです
この感想では創真の格好良さを掘り下げましたが
前評判を信じて触れても大丈夫な作品、だとも付け加えておきます
だけど、一番の売りはやっぱり少年誌らしいスケールの大きさと純粋なワクワク感かな~。
久々に私自身の「面白い!」とメイン読者層の反応がカッチリ合わさった作品に出会えただけで幸せでしたね。









あと、佐伯俊さんはどう見てもtoshさんですね(笑 2話のカラー扉の時点で隠す気なし!
快楽天読んでて「この人絵上手いなあ」って数年前に思ってたんですが、まさかジャンプに来るとはね。

それと原作者の附田祐斗は元々ジャンプの短期打ち切り作家ですけど
彼が描いた「57th」って読切は絶品なので機会があったら読んでみて下さい
疾駆の1巻に載ってますが小気味良い青春漫画に仕上がってるので。