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アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「上海ルージュ」を見ました。

2022-07-29 14:30:35 | 映画とドラマと本と絵画

  チャン・イーモウの1995年の作品。映像がいい。隙のない画面がつづきます。一枚一枚がポストカードのしたくなるほど。

  出だしは、たくさんの人ごみの中で、一人の少年が不安げに目だけがきょろきょろ動かすところから。この映像を見ただけで、どっと安心感が押し寄せました。「この映画、身を任せてみていられる」

  語り手の少年は、田舎から上海に出てきて叔父の彼の仕える唐家に連れていかれる。この唐家の建物がすごい。こんな建物、ほんとにあるのだろうか。廊下に置かれた家具はたぶん黒檀。壁はほぼ大理石。セットをつくったのだろうか。とにかくすごい。

  唐家は実は巨大やくざ。少年は唐家の主人の愛人の歌姫のおつきとなりますが、この歌姫がコンリー。ものすごく嫌な奴です。やくざ同士の抗争に巻き込まれ、叔父は死にます。その抗争は映像では描かれず、音と、すりガラス越しに映った影だけで表現。見ているのは少年。扉を開くと廊下に延々と血痕が続いているのですが、人影はなし。この時の少年の不安な気持ちが映像にそのまま描かれています。うまい。

  叔父の犠牲で唐家の主人は命拾いしますが、敵の手が迫るのを恐れて愛人と少年、わずかの手下を連れて小島に逃げます。そこで出会う母と娘。娘の美しさと明るさに少年は快活さを取り戻します。しかし、愛人の軽率な行動により、この母娘に悲劇が。

  脚本がとりたててすばらしいとはおもえませんでしたが、映像には不思議な魅力がありました。日本軍が本格的に介入する直前の上海のつかの間の光と闇。あるいは、監督は、あえて日本の影を排して中国人同士の無意味に思えるような争いを描きたかったのかもしれません。秀作です。


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