アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

再生した古民家を見学しました

2010-09-12 12:04:01 | 稲武のモノ・コト・ヒト・バ
  9月11日と12日、となりの野入町でリフォームした古民家の見学会が開かれています。ブルーベリーレーンいなぶのブログで知ったので、友人と出かけました。

  153号線沿いの野入のバス停裏に旧街道が残っていて、その一角にある大きな古民家が目指す家。昔はかやぶき屋根だったのが今は瓦屋根にかわってはいますが、形はほぼ昔のまま。200年前から荒物屋さんを営む家だったのだそうです。もとは今より10間も横に長い家だったそうですが、何度も増築ならぬ「減築」をして、今の大きさになったそうです。


  店舗部分を改造した広い玄関に立って上を見上げると、何本もの太い梁に圧倒されます。なかでももっとも太い梁は「牛梁」と呼ばれているそうで、牛が横たわっている姿が想像されるところからこの名がついたのだとか。とにかく太いのにおどろきます。

  家の隅には、わざと屋根の内側が残してあります。太い煤竹とカヤがよくみえます。これだけでも一見の価値があります。かや葺きの急勾配の屋根の内側は長年囲炉裏やかまどの火の煙でいぶされ、骨になっている竹もカヤもいい色に乾燥しています。

  窓際の廊下の天井には、もとの天井裏にあったたくさんの煤竹をふんだんに使っています。一朝一夕には手に入らない貴重な煤竹。とても贅沢な天井です。いいつやしてます。
  
  こちらの家は、株式会社アイサンがリフォームしました。耐震を考えての改装だったので、かなり大掛かりだったようです。

  昔の家は、「つか石」といって大きな石の上に柱を載せた構造なのですが、そのつか石の周りを囲む形で補強し、元の土壁はそのままにしてさらにまた新たに土壁を増やし、一軒の家のバランスを考えて改装したのだそうです。

  ところで、昔の家の梁はたいてい湾曲しています。まっすぐに切る機械がない時代に作られたものだから、と思っていたのですが、それだけではないことが、担当者の説明を聞いて分かりました。

  昔はわざと湾曲した木を選んで山型に梁を付けることで、上から強い力が加わっても十分保つことができるように考えていたのだそうです。

  実は、木というものはどんな木でも目の詰まっているほうと荒いほうがあり、まっすぐに切った角柱でも、弱い側と強い側があるのだとか。それなのに、今の大量生産の方式では、どちらの向きにしたほうが家の強度が保たれるか、などということはほとんど考えもせずに建ててしまうのが一般的だそう。

  今、たぶん一番よく作られている工法の家は寿命が20年とか30年とかいわれています。大金を費やして作る家がたったそれだけの年数しかもたないというのは、驚きです。

   200年前、一本一本木を見定めて丁寧に作られた古民家の中に立っていると、見た目だけかっこいい今風の家がいかにひ弱か、よくわかります。今、古材や昔の家のよさが少しずつ見直されているのは、人々がやっと、何が豊かなのかきちんと考えるようになったからではないかな、などなどあれこれ考えさせられた見学会でした。

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