ゴールデンウィークの三日目、遠方から人が来たので、彼女を連れて雨の稲武をあちこち見て回りました。
まず最初に腹ごしらえ。古橋懐古館前にこの4月にできたばかりのカフェ・ヒトトキに。二度目の来訪です。

今回はカレーを注文しました。大豆ミート入り。言われるまで、普通のお肉だと思っていました。それくらいコクがあっておいしかった。

食後はイチジクのブラウニーとおからのガトーショコラを二人で分け合いました。ガトーショコラは私が納品しているもの。こちらでは、白いお皿に載せて粉砂糖をかけ、豆腐クリームにメイプルシロップを添えて出してくださっているので、どんな味になるのか知りたかったのです。想像通り、より濃厚においしくなっていました。

こちらのカフェは、稲武の木工の工房first handが経営。店内のテーブル、いす、プレートなどすべてご自身の作品です。ギャラリースペースには、座り心地のいい椅子やおしゃれな小物が、センス良く配置されています。

お店の外は花ざかり。

懐古館の敷地内は色とりどりの花であふれています。ひときわ目立つのがぼたん。

車に乗る前に、国道153号線の橋の下をくぐって名倉方面をのぞむと、すがすがしい景色が広がります。

次は、中馬資料館へ。館の横の藤棚が見事です。

稲武で育っている木々。ちょっと見にはスギとヒノキしかないように思える土地ですが、ほんとはこんなに豊かな種類が、探せばあるのだなとおもいました。

まゆの里稲武といわれていた時代は今から40年以上前のこと。でも、当時の面影を残す品々が、あちこちの家からこの資料館に集められたようです。初めて見た道具もたくさんでした。下の写真、一番右の黄色い糸は、カリヤスで染めたものです。
「複数の蚕が作ったまゆから引き出した糸」とあります。

これは真綿を作る道具。子供のころ、風邪を引いてのどを痛めると、真綿で首をまいて温めてもらった記憶があります。

縞の見本帳です。各家で布を織っていた時代、きっと、各家の女の人たちが代々伝えていった、大事な帳面だったのではないでしょうか。

カラムシ(チョマ)の繊維です。織物にしていました。うちの敷地内にも結構たくさん生えています。

軍靴。この靴を履いた人がほんとに戦地に赴いたのだなと思うと、胸がぐっと苦しくなるのを覚えます。

ガラスケースの中に、36年前、父が著した本が陳列されているのを発見。「三河馬盛衰記」というタイトルで、自費出版したものです。稲武を中心にした三河東北部で、明治半ばころから末まで馬の育成が盛んだったそうで、当時の資料を入手したのを機会に、諸処の資料も漁り、退職の記念にまとめたものです。知人等に配り、今は家に一冊残っているだけ。まさかこんな場所でお目にかかるとはおどろきました。ちなみにこの本は、15年前、日本馬事財団から刊行された「馬の叢書5 近代 馬と日本史4」に収録されています。先年、稲武交流館に、送付されたうちの一冊を寄付しました。
資料館のあとは黒田ダムへ。ダム湖の公園には車が一台とまっているきりでした。しずかです。

ダム湖から、来た道の反対の道をとり、設楽町駒が原の集落を目指して進みました。広葉樹の緑が雨のぬれて、いっそう輝いて見えます。

舞い散った桜の花びらもうつくしい。

駒が原の集落を真ん中を通る広い農免道路をしばらく走り、153号線に出て稲武市街地を抜けて大井平公園へ。吊り橋の手前には池ができていて、水車が回っていました。

吊り橋をわたって対岸に出て、名倉方面にちょっと行ったところにある岩場。

けっこうな急流でした。

この近くの山には、古橋会の所有する山があり、間伐と植林を同時に進める方法で人工林を管理している「展示林」の入り口がありました。下から見上げただけですが、間伐して日差しがとおるようになっている森の木々は、太いものや細いものが混じっていました。
さてこのあとは、257号線を名倉方面に進み、氷瀑のある広場でやまの水を飲んでから、帰路につきました。雨の中でも、この五月の稲武、けっこう楽しめました。