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アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

「フードインク」の衝撃

2012-04-02 22:21:45 | 映画とドラマと本と絵画
  「フードインク」とは、食品会社のこと。アメリカの巨大食品会社にかんするドキュメント映画のDVDを、たまたま見つけて借りてきました。

  アメリカの食品会社の規模はすごい! たとえば精肉会社。日本に、どれくらいの規模でどれくらいの数があるのか知らないけれど、アメリカではほんのいくつかの会社がすっかり牛耳を取っているらしい。種苗会社そのほかいろんなジャンルの食品会社が、それぞれ実はほんの片手で数えられる数しかなく、そしてどれも、ものすごく大きな会社に成長しているようなのです。

  わずかな数の会社しかないとなると、当然競争は減ります。競争が減れば、中身の質は会社の思うとおりのものになります。そういうことを取材し、実態を教えてくれる映画でした。

  おおよその想像はついていたことなのですが、実際に具体的な映像や数値を見せられたので、けっこうな衝撃を覚えました。

 たとえば、アメリカでは、ハンバーガーを食べて食中毒が起きる事件が最近続発しているらしいのですが、精肉工場が不衛生だからおきるのではなく、牛の餌の大半がトウモロコシになったせいで大腸菌が急増したためにおきるというのです。
 
  もともと牛は草を食べる動物です。彼らの体にトウモロコシは栄養がありすぎるのでしょう。単純に考えると、栄養過多。でも、トウモロコシで育てた牛に、トウモロコシの飼料を与えるのを抑えて牧草だけ食べさせると、牛の体から大腸菌が80%も消えるのだそう。

   そういうことがわかっていても、報道はいっさいせず、それどころか食中毒事件がおきても、当の会社は肉を何週間も回収せず、同じ事件を起こしているのだそうです。

   栄養を過剰に摂取させれば病気には弱くなるけれど、体は大きくなってたくさんの肉が取れます。だからやめない。遺伝子組み換えトウモロコシのほうが、値段も安くて、放牧してのんびり草を食ませたり、牧草飼料を与えたりするよりずっと効率よく太らせることができるのでしょう。

  ぎゅうづめの鶏舎で飼われているニワトリが、ちょっと立ったとたん、足が折れ、倒れる映像も見ました。でも、足の踏み場のないほどの鶏舎なので、倒れたニワトリは放置されたまま他のニワトリに踏みつけにされ、人間に発見されると、専用のゴミ箱に投げ捨てられます。

  やわらかい胸肉をたくさんとるため、胸だけ大きくなる薬を投与し、短期間で急成長させ、従来の発育日数と同じ期間の間に、ほぼ2倍の大きさにしています。だからいっそう足は、大きな体を支えられず、立てないのです。その大きな鶏がベルトコンベアで運ばれてきて、端からどんどん吊るされ、簡単に首を切られ、ただの機械の部品のように扱われている様子には、胸が詰まりました。

  牛肉のの様子も悲惨でした。そこでは、一般の工場労働者とまったく同じように、吊り下げられた牛を部位ごと切り分ける人たちがいて、終日まったく同じ仕事をし続けていました。

  彼らの多くは中南米からやってきた不法滞在者で、会社は安く使える彼らを積極的に採用するくせに、年に一回ほど、警察と結託して、それまで自分の会社で働いていた不法滞在者の存在を通報し、逮捕に協力するのだといいます。

  さらに驚くべきことに、アメリカでは、巨大食品会社の役員クラスの人が、司法省や農務省、果ては、食品や薬品の安全性に関わる法律を作る権限を持っているFDAの上層部に入り込んでいるのです。これなら、会社に都合のよいような国の方針を作り、都合の悪いことをする人たちや団体を法律で規制するのも簡単な仕事です。

   全員が極度の肥満の、アメリカンネイティブか南米の移民らしい一家は、「ブロッコリー1個より、ハンバーガー2個買うほうが安いから」という理由で、ほとんど毎食ファーストフードですませています。一家の主人が糖尿病とわかっても、食餌療法するお金は捻出できず、結局高い薬を飲みながら、ファーストフードに依存する生活を続けていました。

   こうした悲惨な映像が続く一方、昔ながらの循環農業を実践している農場主も登場しました。

   ハーブと草が自生する彼の農場では、牛はのんびり草を食んでいます。ニワトリも、殺されるまでは元気に飛び回っているし、豚などは始終あちこちの土を掘り返していました。彼らの糞が農場の土を肥えさせるのは当然ですが、豚が掘り返すことで空気が入り、よりいい土になるのだそう。詳しいことは忘れましたが、彼らと人間がともに暮らす様子は、つくづく気持ちの和むものでした。とくに、精肉工場の殺伐とした光景を見たあとは。

   このすばらしい農園の持ち主が、こんなことを言っていました。

   「いまや、牧場でも鶏舎でも精肉工場でも、豚や牛やニワトリをモノとしてしか見なくなっている。家畜をモノとしてしか見ていない人たちは、いつしか、人間をもモノとして侮蔑した目でしか見なくなると思う。そうなると以前とは異なる文化に変わってしまう」

   映画の後半で、身動きできない狭い場所に入れられて、四六時中食べることばかりさせられている豚の顔が、大写しになっていました。目はとろんとし、疲れたという顔でもなく、ただぼんやりして考えることをすっかりやめてしまった顔でした。一方、先の農場にいた放し飼いの豚は、始終餌を探したり、土を掘り返す楽しさに没頭したりしているらしく、顔も体も引き締まり、生き生きした表情を見せていました。

   このブログを書きながら、昔見たイタリア映画「木靴の木」を思いだしました。20世紀初頭の、貧しい村の人たちの生活が描かれている作品なのですが、とくに興味ぶかかったのは、彼らが、自分たちの育てた家畜を殺したあとも丁寧に扱い、一滴の血も余さず利用していることでした。

   肉食文化に育った人たちは家畜の扱いを心得ていて、彼らの生命を断ち切った分、きちんと責任を取って始末をつけているように思えました。ほんの何十年か前まで、家畜の内臓を「ほうるもん(捨てるもの)」としか思わなかった日本人には、やはり肉を食べる文化が育っていないのだな、と痛感したことでした。

   でもこのヨーロッパの伝統は、いまの、少なくともアメリカには受け継がれていないようです。この先、どこまでこうした偏頗な文化が続くのだろうか、とおもうと背筋が寒くなります。この映画を見たあとしばらくの間、スーパーでアメリカ産の豚肉や牛肉を見ると、胸がむかむかするのを感じました。
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とうふ屋しろの豆腐

2012-04-02 16:03:34 | たべもの
   足助で開かれた、「ほんわか里山交流祭り」で、とてもおいしい豆腐を手に入れました。   

   瀬戸市のとうふ屋しろの豆腐です。右からすくい豆腐、木綿豆腐、ゴマ豆腐です。

   すくい豆腐です。大豆の味が濃厚。何もつけずにかなり食べてしまった。醤油をちょっとだけつけたら、別のおいしさを感じました。メイプルシロップをかけたら、アイスクリームみたい! レモンには合いませんでした。

   しっかりできている木綿豆腐。これもとってもおいしい。

   豆腐と一緒にもらったしおりに、商品それぞれのおいしい食べ方が書かれているのに、食べてから気がつきました。すくい豆腐は、「最初は何もつけないでお召し上がりください。次にお塩をつけてお召し上がりください」とあります。醤油だけでなく、塩もつけてみればよかった。絹ごしは、「塩こしょうで食べるとビールに合う」とあります。試してみたい!

   Hpを開けてみて、驚きました。現在使っている豆腐の原材料の大豆の名前が書かれているのです。当然全部国内産なのですが、豆腐によって大豆の使いわけをしているのがすごい!

   どの商品もそそられます。通信販売もしているので、何かの機会にまとめて頼んでみたいとおもいます。
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小麦のまるごとスープ

2012-04-02 15:34:34 | 手作りのたべもの
   こめこなクラブで昨年収穫した小麦は、やせ細っていてかなり軽くて、あまりいい出来とはいえませんでした。それでもせっかく採ったのだから、唐箕にかけてごみを飛ばし、粉にしてすいとんか何か作ってみんなで食べようと思っていたのですが、この冬の寒さで仕事ができず、脱穀だけしたままほったらかしになっていました。

   クラブメンバーのYさんが、あらためてこの小麦を見て、「唐箕にかけたら、軽過ぎてほとんど飛んでいってしまうかもしれない。私は前に自分で小麦を作ったとき、粉にするのが面倒だったので、丸麦のまま豆と一緒にスープに入れて食べたよ」といいました。

   大麦を平たくした押し麦をスープに入れたことはあっても、丸麦のまま使ったことはありません。ましてや、小麦を粒のまま使うという発想をそもそも誰ももたなかったのですが、彼女の発案で、とりあえずグループ全員で丸ごとの小麦を分けることにしました。

   水の中に入れると、たくさんのごみや虫の死骸、もしかしたらネズミの糞みたいなものがたくさん浮かび上がってきました。何度も水を替え、一晩か二晩水にさらしたあと、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンなどの野菜といっしょに煮込みました。

   相当長い時間、煮込みましたが、麦の粒はさほど柔らかくならず、プチプチした食感が残りました。でも、それも、Yさんの言うとおり、「お肉みたいな食感」なので、スープの実としてけっこういけます。まだだいぶ残っているので、ゆでてコロッケや麦バーグにしてみるのもいいかな、と思っています。

   
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ゲラントの塩の塩キャラメル

2012-04-02 15:13:46 | たべもの
  豊田市足助地区のスーパーマーケット・パレットには、そのあたりの町場のスーパーにも置いていないようなちゃんとした食品が並べられていることがあって、びっくりします。前も、フランスのゲラントの塩を見つけて(コチラ→)、それ以来ずっと、アンティマキの焼き菓子やパンには、このゲラントの塩を使っています。

  先日久しぶりに訪れたら、こんな商品を売っていました。

  ゲラントの塩を使った、フランス産の塩バターキャラメル「ル・プチ・ソーニエ」です。「ソーニエ」は塩職人のこと。経木で作った小さなかわいい箱には、たぶん子供と思われる浜子(塩職人)が、浜辺に築いた塩の山のそばにたたずんでいる絵が描かれています。

  キャラメルなんて久しぶり。ましてや塩キャラメルは初めてです。箱の中にはキャンディ包みにしてあるキャラメルが5,6個。口に入れたとたん、塩のおいしい味が広がります。口当たりがいいというのか、食べた後がとてもスッキリしています。べたべたした甘さがないのです。バターがいいのか、コンデンスミルクが良質なのか、それとも塩が効いているのがいいのか、よくわかりませんが、印象に残るいいキャラメルでした。

  このキャラメルの置いてあるコーナーには、ほかにも珍しい品がいろいろ並んでいました。そして、次のような文句が書かれた紙が貼ってありました。

  「こんな田舎のこんな小さなスーパーでも、こんな商品を置いています」

  「小さなスーパー」の大きな自負心がうかがえる文句です。

  
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末広家のうどん

2012-04-02 14:46:09 | 稲武のモノ・コト・ヒト・バ
   「稲武の土産には何がいい?」と訊かれて、私が即座に答える品は、蓬莱泉吟醸工房の生原酒、和菓子屋まつ月の蕨もち、それに末広家のうどんです。

   うどんもきしめんもラーメンもおいしいのですが、最初驚いたのは、干しうどんのゆで時間の長さ。種類によって違うのですが、たしか太切りうどんだったかは、指定時間がなんと25分なのです。

   麺好きの私たち夫婦は、あちこちでいろんな麺を求めるのですが、ゆで時間がこんなに長いものは初めて。はじめは半信半疑、固さを見ながらゆでたのですが、ほんとうに25分ちゃんとかかりました。それでも、ぐちゃぐちゃにはならず、十分コシがあります。

   うどんもきしめんも、生麺、半生麺、乾麺とあり、絹入り、黒米入りなど種類はいろいろ。特に生麺は、どんぐり横丁でも人気らしく、すぐに品切れになっています。乾麺は天日乾燥で、無添加。稲武でしか買えない、隠れた人気商品になっているらしい。

   先日、新発売の山ごぼう入りうどんを買ってみました。稲武の漬物屋さん・小沢商店との共同開発でできた品だそうで、味噌漬けにする山ごぼうの粉末を粉に練りこんだ珍しいうどんです。

   どんぐり横丁で販売に立っていた末広家の息子さんの言葉に従って、豚肉を少しだけ入れた、私にしては濃厚な出し汁を作り、ゆでたてのうどんを入れて食べました。

   おいしい! そもそもうどんがおいしいのですが、山ごぼうの香りがちゃんと立っています。食べたあとも、ふわっと口中に香りが残る気がします。味噌仕立てなら、なおおいしいかも。またぜひ買ってみようと思います。

  体にいいとされる海草や野菜、野草を練り込んだうどんやそばがよく出回っていますが、はっきり言って、おいしいとおもったことがありません。小麦粉は、マクロビオティックでは米に比べて陰性の、体を冷やす食べ物です。海草や青菜、野草も、小麦同様陰性の食品だから、それで合わないのではないかと思います。一方、山ごぼうは土の中で育つ陽性の食品。小麦の陰性とうまく調和が取れて、おいしい食べ物になるのかもしれない、と思ったことでした。

   
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